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第三章 旅の始まり
第三十五話 そっちじゃなかった
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オジサンに正直に話してもらったことで分かったのは、カリナを狙っているある貴族がいるということだった。
「いや、まさかとは思ったけど……まさかとはね。しかし物好きな人もいるもんだよね」
「ぐっ……言っておくが俺の趣味じゃないぞ。誰がそんな男!」
「え?」
「あ?」
「……」
俺が物好きと言えば、オジサンはそんな男と言うのでお互いに目が点になる。そしてカリナもまさかだったようで無言になる。
「えっと、オジサンはカリナが一応は女であることは知らなかったの?」
「女ぁ! 嘘だろ、だって……俺と言ってるし、胸も……」
「見るな!」
「「いや、見るもんねえし……」」
「ヒドい!」
俺がオジサンにカリナが女であることを話せば、オジサンはカリナの一部分を見て嘘だろと口にするが、カリナはその一部分を隠し見るなと叫ぶが、見るべき物がないと俺達が声を揃えて言えば、その場にしゃがみ込む。
そして、そんなカリナに対しアオイは勝ち誇った様な顔で「これで分かっただろ」とカリナの肩に手を置く。
「ふん! これから成長するんだから、いいの!」
「「「え?」」」
「何よ! だって聞いたことあるもん! 揉んで貰えば大きくなるって!」
「「「……」」」
「何、その可哀想なモノを見るような目は……」
「ふん! では、言わせてもらうが、その揉むべきモノはどこにある?」
「それは……いいの! 揉んでもらえば大きくなるんだから!」
「だから、それは揉める大きさがあってのことだろ? 可哀想だが、今のカリナの大きさでは「言わないで!」……ふむ、これも武士の情けか」
アオイの言葉に使い方が違うぞとも言えずに今はこの茶番劇をなんとか終わらせることに集中する。
「それでカリナが男じゃないのなら、その貴族様の執着もないんじゃないの? ね、どうなのかな?」
「……まあ、そうだな。坊主の言う様に、ソイツが女であるなら、何も言うまい。分かったよ。ほら、借用書だ」
「ねえ、ちなみにだけど、その貴族ってのは女でいいのかな?」
「……言わせるな。お前も余計なことは知らない方がいいだろ」
「まあね」
既に『強制自白』の効果は薄れているので、オジサンが貴族について喋ることはないが、オジサンの態度が言っている。「あっ!」な人だと。
それは置いといて、オジサンが正式な借用書を出して来たので俺はそれに対し金貨を十枚とは別にもう十枚を横に置く。
「なんだこれは?」
「お礼だよ。その貴族様に色々と言い訳しないとなんでしょ。その手間賃込みで」
「ふん、ガキのくせに。まあ、くれるって言うんなら有り難く貰っておくわ。ありがとよ」
俺達はオジサンに挨拶を済ませると建物から出る。
「さてと、じゃあ行くか」
「何? 今から、どこか行くの? なんだか気が進まなそうだけど?」
「まあな、カリナも会えば分かるだろうよ」
「へぇ……コータでも苦手なことがあるんだ。ふぅ~ん。なんだか面白そうじゃない」
「他人事だな……」
俺は気が進まないながらもエミリーさんの屋敷を目指す。
「確か、この辺りだよな」
「どうした、コータ」
「ねえ、アオイ。貰った地図だと、この辺りのハズなんだけど、どう思う?」
「どう思うって、その地図の通りなら目の前のコレがそうなんじゃないのか?」
『肯定します』
「あ~やっぱり……」
俺は自分の目の前にそびえ立つ荘厳な鉄製の門の向こうには、小学校の運動場程の庭が広がり、その先には大きな屋敷が建っていた。
「ギルドマスターって、そんなに儲かるのかな」
「コータ、アイツは就任してから長いだろうからな。それに独り身が長かったようだしな」
「ギルドマスター……コータ、俺はちょっと用事を「どこに行く」……エミリー」
「「『あ!』」」
カリナが目の前の屋敷がギルマスであるエミリーが持ち主であると聞くと踵を返し振り向いたところで、エミリーに腕を掴まれる。
「来てくれたんだな、コータ。だが、コイツがなんでここにいるのだ? まさか!」
「先に行っておくけど、色恋沙汰なんかは微塵もないからね」
「そうだな。コータは大きいのが好きだからな。ふふん!」
俺がカリナを連れていることにエミリーが何やら思い違いをしているようなので、先回りしてカリナとは何もないことを言えば、アオイはアオイで自前の胸を揺らし妙なことを言い、揺らせないエミリーとカリナは一応、両手を胸へと持って行くのだが掴むモノがない為に揃って「ハァ~」と嘆息する。
「それよりも入れてくれないの?」
「あ、ああ。そうだな、頼む」
「「はっ!」」
大きな門の陰から門番らしき二人が出て来ると、大きな門をゆっくりと開く。そして、エミリーが乗ってきた馬車に乗せられ、屋敷の敷地内へと案内される。
「ヤバい……絶対に叱られる……恐い……」
「カリナ?」
「コータ、いいから放っておけ」
「いや、でも……」
「ふふふ、久々の再会で舞い上がっているだけだ。なあ、カリナよ」
「ひぃ!」
カリナの様子から、そうは見えないんだけど、まあ藪蛇になるだけだから、触らない方がいいよねと考えれば『肯定します』と表示される。
「いや、まさかとは思ったけど……まさかとはね。しかし物好きな人もいるもんだよね」
「ぐっ……言っておくが俺の趣味じゃないぞ。誰がそんな男!」
「え?」
「あ?」
「……」
俺が物好きと言えば、オジサンはそんな男と言うのでお互いに目が点になる。そしてカリナもまさかだったようで無言になる。
「えっと、オジサンはカリナが一応は女であることは知らなかったの?」
「女ぁ! 嘘だろ、だって……俺と言ってるし、胸も……」
「見るな!」
「「いや、見るもんねえし……」」
「ヒドい!」
俺がオジサンにカリナが女であることを話せば、オジサンはカリナの一部分を見て嘘だろと口にするが、カリナはその一部分を隠し見るなと叫ぶが、見るべき物がないと俺達が声を揃えて言えば、その場にしゃがみ込む。
そして、そんなカリナに対しアオイは勝ち誇った様な顔で「これで分かっただろ」とカリナの肩に手を置く。
「ふん! これから成長するんだから、いいの!」
「「「え?」」」
「何よ! だって聞いたことあるもん! 揉んで貰えば大きくなるって!」
「「「……」」」
「何、その可哀想なモノを見るような目は……」
「ふん! では、言わせてもらうが、その揉むべきモノはどこにある?」
「それは……いいの! 揉んでもらえば大きくなるんだから!」
「だから、それは揉める大きさがあってのことだろ? 可哀想だが、今のカリナの大きさでは「言わないで!」……ふむ、これも武士の情けか」
アオイの言葉に使い方が違うぞとも言えずに今はこの茶番劇をなんとか終わらせることに集中する。
「それでカリナが男じゃないのなら、その貴族様の執着もないんじゃないの? ね、どうなのかな?」
「……まあ、そうだな。坊主の言う様に、ソイツが女であるなら、何も言うまい。分かったよ。ほら、借用書だ」
「ねえ、ちなみにだけど、その貴族ってのは女でいいのかな?」
「……言わせるな。お前も余計なことは知らない方がいいだろ」
「まあね」
既に『強制自白』の効果は薄れているので、オジサンが貴族について喋ることはないが、オジサンの態度が言っている。「あっ!」な人だと。
それは置いといて、オジサンが正式な借用書を出して来たので俺はそれに対し金貨を十枚とは別にもう十枚を横に置く。
「なんだこれは?」
「お礼だよ。その貴族様に色々と言い訳しないとなんでしょ。その手間賃込みで」
「ふん、ガキのくせに。まあ、くれるって言うんなら有り難く貰っておくわ。ありがとよ」
俺達はオジサンに挨拶を済ませると建物から出る。
「さてと、じゃあ行くか」
「何? 今から、どこか行くの? なんだか気が進まなそうだけど?」
「まあな、カリナも会えば分かるだろうよ」
「へぇ……コータでも苦手なことがあるんだ。ふぅ~ん。なんだか面白そうじゃない」
「他人事だな……」
俺は気が進まないながらもエミリーさんの屋敷を目指す。
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「どうした、コータ」
「ねえ、アオイ。貰った地図だと、この辺りのハズなんだけど、どう思う?」
「どう思うって、その地図の通りなら目の前のコレがそうなんじゃないのか?」
『肯定します』
「あ~やっぱり……」
俺は自分の目の前にそびえ立つ荘厳な鉄製の門の向こうには、小学校の運動場程の庭が広がり、その先には大きな屋敷が建っていた。
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「「『あ!』」」
カリナが目の前の屋敷がギルマスであるエミリーが持ち主であると聞くと踵を返し振り向いたところで、エミリーに腕を掴まれる。
「来てくれたんだな、コータ。だが、コイツがなんでここにいるのだ? まさか!」
「先に行っておくけど、色恋沙汰なんかは微塵もないからね」
「そうだな。コータは大きいのが好きだからな。ふふん!」
俺がカリナを連れていることにエミリーが何やら思い違いをしているようなので、先回りしてカリナとは何もないことを言えば、アオイはアオイで自前の胸を揺らし妙なことを言い、揺らせないエミリーとカリナは一応、両手を胸へと持って行くのだが掴むモノがない為に揃って「ハァ~」と嘆息する。
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「「はっ!」」
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「ヤバい……絶対に叱られる……恐い……」
「カリナ?」
「コータ、いいから放っておけ」
「いや、でも……」
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