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第三章 旅の始まり
第十五話 どこまで上に行くんだろ
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衛兵のお兄さんに先導され王城へと来た。
「へぇ~意外と大きいんだね」
「お前……あのな、普通なら一般の連中は入れないところなんだぞ。なのに……最初の感想がソレなのかよ」
「なんかゴメンなさい」
「ハァ~いいよ。じゃあ、俺から離れないようにしてくれ」
「うん」
王城を見た俺の感想に対し、衛兵のお兄さんはもっと他に言うことがあるだろうとばかりに呆れているが、俺にはそれ以外の感想はないのだからしょうがない。そんなことを思っている内に王城の門を警備している同じ衛兵のお仲間に話が通り、俺達は王城の中へと案内される。
「なんか思ったよりすんなりだったね」
「そりゃ、俺がいるからに決まっているだろ」
「あ、そうか。で、俺達はどこに連れて行かれるのかな?」
「そうだな。先ずはお前達を待っている親衛隊のところだろうな」
「そこはクサいのか?」
「アオイ……」
「すまんな。多少は臭うと思うが我慢してくれ。そっちのもな」
『ワフ~』
アオイが面倒そうにしているが、内心俺はこのまま大人しくしていてくれと願うしかなかった。
「ここだな」
衛兵のお兄さんが王城の中を先導して進むと部屋の前で立ち止まる。
「いいか。取り敢えずは何を言われても大人しくしていろよ。頼むからな」
「俺はいいけど……」
「あ~」
そう言って俺がアオイ達の方を見たことで衛兵のお兄さんも察してくれたのか、渋い顔になる。
「なあ、不満は分かるがお前が何かした場合、その責任は誰に行くと思うか、考えてから行動しろよ」
「責任? なんのことだ?」
「だから、お前がそうやって不満をどこかに打つけた場合は一緒にいるコイツのせいになるって言ってんだよ!」
「はん! そんなことか。コータなら、そんなことで文句を言わないさ。なあ、コータ。そうだろう、そいつに言ってやれ!」
「ハァ~お兄さん、俺はアオイの何者でもないから、責任はアオイ単体でお願いします」
「「え?」」
衛兵のお兄さんがアオイが考えなしに暴れると俺に責任が押っ被されると言うが、俺は引率者ではない。タロは飼い主だから責任を持つが、アオイは勝手に着いてきているだけだから、俺に責任はないと思い。いや、そう思いたい。
「ハァ~お前、それが通じると思うか?」
「やっぱダメ?」
「ダメだろうな。諦めろ。そして、ちゃんと言い聞かせろ。頼んだぞ」
「ハァ~胃が痛い……」
「コータ、大丈夫か?」
「俺のことを心配してくれるなら、大人しくしててくれな」
「……頑張ってみる」
アオイの頼りない返事に期待するしかないが、何も起きませんようにと願ってみるが多分無理だろうな。
『肯定します』
「じゃあ、開けるぞ。いいな?」
「もう、やっちゃって」
「投げやりだな。ま、いいか」
衛兵のお兄さんは部屋の扉を『コンコンコン』と軽くノックすると中から「はい、どうぞ」と声がしたので、衛兵のお兄さんは扉を開けながら「失礼します」と中へ入る。
部屋の中に入ると衛兵の詰所とは違い、無駄に広いと感じた。白を基調とした内装で床には赤い絨毯が敷かれており、その上には応接セットのソファがコの字型に組み合わされ中央にテーブルが置かれている。
そしてそのソファには衛兵のむさ苦しさとは無縁の爽やかな感じの四,五人のイケメンが白を基調とした制服に身を包み並んで座っていた。
「ジム、その子が例の?」
「はい。手配書に書かれているのは自分であると認めましたのでお連れしました」
衛兵のお兄さんはイケメンの一人から『ジム』と呼ばれると俺を連れて来た事情を話す。そして話し終わると同時に俺をグッとイケメンの前に押し出す。
「ふぅ~ん、隊長はこの子供のせいで辞めることになったんだ~」
「え? それ俺に関係あるの?」
「あるよ! 大ありだよ!」
「あの、すみません。話が見えないんですけど……」
「ちっ」
イケメンは舌打ちすると、面倒そうに話し出す。要は手配書を作り配布したまではいいが、数日待っても何も成果が出ないことに業を煮やした王妃達が連日隊長を呼び出しては叱りつけていたらしい。
だからなのか隊長はそんな毎日に嫌気がさし「辞める」と宣言することになったそうだ。まあ、本来の仕事ではないことばかりか、王妃達の鬱憤を晴らす為になぜ親衛隊隊長の自分が連日叱責を受けないとダメなのかと思ったのが切っ掛けだったという。
「やっぱり、俺のせいじゃないよね」
「まあ、そうでもあるし、そうでもないな」
「え?」
「分からないか。聞けば、お前は王都に入る時に手配書の存在を知っていたというじゃないか。なら、その時にお前が名乗り出ていれば、隊長も辞めることはなかったとは思わないか?」
「え~それって屁理屈じゃないの」
「屁理屈も理屈の内だと習わなかったか?」
「で、俺をどうしたいの?」
「それはだな……」
「へ?」
親衛隊のイケメンが超屁理屈で俺にも関係があると言ってきたのだが、どう考えても無理目な話なんだけど、結局は俺をどうしたいのかが分からない。なので、そのことを聞いてみたら目玉が飛び出るかと思ったよ。
なんで俺が王妃の前に出ないと行けないんだよ! でも、姫さんの父親には文句ぐらいは言ってもいいよね。
『肯定します』
「へぇ~意外と大きいんだね」
「お前……あのな、普通なら一般の連中は入れないところなんだぞ。なのに……最初の感想がソレなのかよ」
「なんかゴメンなさい」
「ハァ~いいよ。じゃあ、俺から離れないようにしてくれ」
「うん」
王城を見た俺の感想に対し、衛兵のお兄さんはもっと他に言うことがあるだろうとばかりに呆れているが、俺にはそれ以外の感想はないのだからしょうがない。そんなことを思っている内に王城の門を警備している同じ衛兵のお仲間に話が通り、俺達は王城の中へと案内される。
「なんか思ったよりすんなりだったね」
「そりゃ、俺がいるからに決まっているだろ」
「あ、そうか。で、俺達はどこに連れて行かれるのかな?」
「そうだな。先ずはお前達を待っている親衛隊のところだろうな」
「そこはクサいのか?」
「アオイ……」
「すまんな。多少は臭うと思うが我慢してくれ。そっちのもな」
『ワフ~』
アオイが面倒そうにしているが、内心俺はこのまま大人しくしていてくれと願うしかなかった。
「ここだな」
衛兵のお兄さんが王城の中を先導して進むと部屋の前で立ち止まる。
「いいか。取り敢えずは何を言われても大人しくしていろよ。頼むからな」
「俺はいいけど……」
「あ~」
そう言って俺がアオイ達の方を見たことで衛兵のお兄さんも察してくれたのか、渋い顔になる。
「なあ、不満は分かるがお前が何かした場合、その責任は誰に行くと思うか、考えてから行動しろよ」
「責任? なんのことだ?」
「だから、お前がそうやって不満をどこかに打つけた場合は一緒にいるコイツのせいになるって言ってんだよ!」
「はん! そんなことか。コータなら、そんなことで文句を言わないさ。なあ、コータ。そうだろう、そいつに言ってやれ!」
「ハァ~お兄さん、俺はアオイの何者でもないから、責任はアオイ単体でお願いします」
「「え?」」
衛兵のお兄さんがアオイが考えなしに暴れると俺に責任が押っ被されると言うが、俺は引率者ではない。タロは飼い主だから責任を持つが、アオイは勝手に着いてきているだけだから、俺に責任はないと思い。いや、そう思いたい。
「ハァ~お前、それが通じると思うか?」
「やっぱダメ?」
「ダメだろうな。諦めろ。そして、ちゃんと言い聞かせろ。頼んだぞ」
「ハァ~胃が痛い……」
「コータ、大丈夫か?」
「俺のことを心配してくれるなら、大人しくしててくれな」
「……頑張ってみる」
アオイの頼りない返事に期待するしかないが、何も起きませんようにと願ってみるが多分無理だろうな。
『肯定します』
「じゃあ、開けるぞ。いいな?」
「もう、やっちゃって」
「投げやりだな。ま、いいか」
衛兵のお兄さんは部屋の扉を『コンコンコン』と軽くノックすると中から「はい、どうぞ」と声がしたので、衛兵のお兄さんは扉を開けながら「失礼します」と中へ入る。
部屋の中に入ると衛兵の詰所とは違い、無駄に広いと感じた。白を基調とした内装で床には赤い絨毯が敷かれており、その上には応接セットのソファがコの字型に組み合わされ中央にテーブルが置かれている。
そしてそのソファには衛兵のむさ苦しさとは無縁の爽やかな感じの四,五人のイケメンが白を基調とした制服に身を包み並んで座っていた。
「ジム、その子が例の?」
「はい。手配書に書かれているのは自分であると認めましたのでお連れしました」
衛兵のお兄さんはイケメンの一人から『ジム』と呼ばれると俺を連れて来た事情を話す。そして話し終わると同時に俺をグッとイケメンの前に押し出す。
「ふぅ~ん、隊長はこの子供のせいで辞めることになったんだ~」
「え? それ俺に関係あるの?」
「あるよ! 大ありだよ!」
「あの、すみません。話が見えないんですけど……」
「ちっ」
イケメンは舌打ちすると、面倒そうに話し出す。要は手配書を作り配布したまではいいが、数日待っても何も成果が出ないことに業を煮やした王妃達が連日隊長を呼び出しては叱りつけていたらしい。
だからなのか隊長はそんな毎日に嫌気がさし「辞める」と宣言することになったそうだ。まあ、本来の仕事ではないことばかりか、王妃達の鬱憤を晴らす為になぜ親衛隊隊長の自分が連日叱責を受けないとダメなのかと思ったのが切っ掛けだったという。
「やっぱり、俺のせいじゃないよね」
「まあ、そうでもあるし、そうでもないな」
「え?」
「分からないか。聞けば、お前は王都に入る時に手配書の存在を知っていたというじゃないか。なら、その時にお前が名乗り出ていれば、隊長も辞めることはなかったとは思わないか?」
「え~それって屁理屈じゃないの」
「屁理屈も理屈の内だと習わなかったか?」
「で、俺をどうしたいの?」
「それはだな……」
「へ?」
親衛隊のイケメンが超屁理屈で俺にも関係があると言ってきたのだが、どう考えても無理目な話なんだけど、結局は俺をどうしたいのかが分からない。なので、そのことを聞いてみたら目玉が飛び出るかと思ったよ。
なんで俺が王妃の前に出ないと行けないんだよ! でも、姫さんの父親には文句ぐらいは言ってもいいよね。
『肯定します』
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