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第三章 旅の始まり

第十四話 面倒は嫌いです

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「隊長!」
「お、戻って来たか。で、どうだった?」
「はい! 実は……」

 衛兵の詰所から冒険者ギルドへと使いを走らせていたのが数十分経過して戻って来たので俺達も黙ってその若い衛兵の回答を待つ。

「その……そちらの少年が言っていた様に冒険者ギルドから王宮へと手配書の撤回を求める嘆願書をギルドマスター自らが王宮に向かっていると言う話が聞けました」
「そうか。では……」
「はい。その少年が言うことは本当でした」
「ふむ……」
「ですが……」
「どうした?」
「はい。大変、言いにくいことなのですが……」
「構わん。言え」
「はい。あのですね……」

 その若い衛兵は冒険者ギルドで手配書の撤回にギルドマスターが動いていることは証言して貰えたが、話はそこで終わらずに若い衛兵は何かあったことを隊長と呼んだ俺達の対応をずっとしていた衛兵に話し始める。

 その内容を聞いた俺は「マジか」と頭を抱えてしまう。そして、同じ様に話を聞いていた衛兵の隊長も右手で自分の顳顬を揉み出す。

「ふぅ~で、どうする?」
「どうするとは?」
「だから、さっきの話を聞いてお前はどうしたいと聞いている」
「俺が無視すると言ってそれが通るんですか?」
「無理だろうな」
「ですよね」
「スマンな」

 冒険者ギルドまで確認しに行った若い衛兵が言ったのは、まあ想像していたことなので焦ることはない。では、その若い衛兵が何を言ったのかだが、非常にシンプルなものだった。若い衛兵は冒険者ギルドに確認しに行った後に手配書を配布するように言った親衛隊の元へと確認しに行ったのだ。
 まあ、冒険者ギルドが動いているのは確認出来たが、では実際に手配書を出した大元はどうなのうだろうかと確認しに行ってみれば、それならば連れて来いと言われたと言う。

 どうやら、親衛隊長が辞める原因となった俺に興味があったのと、どうせならと俺を土産にすれば親衛隊長の辞任も撤回出来るのではと思ったようだ。
『肯定します』

「もう一度、確認するが本当にいいのか?」
「ええ、構いません。これで最後になるのなら望むところです」
「……お前、変わっているって言われないか?」
「さあ、どうなんでしょうね。自分では変わっているとは思っていないのですがね」
「それだよ」
「え? どれです?」
「……」

 俺が衛兵の隊長に「変わっている」と言われ「そんなことはない」と言うとそれだと言われるが、俺には何がソレなのかが分からない。

「ふぅ~まあいい。とりあえずこちらの落ち度ではあるが、お前達を王城まで連れて行くことになる。スマン」
「いいですよ。俺としてもこの騒ぎの元に一言言いたいし」
「お前、ホント変わってるな」
「そうですか」
「褒めてないからな。まあ、一緒に来てくれ」

 アオイに変な目で見られるが、気にすることなく衛兵のお兄さんの後を着いて王宮へと向かう。

「あ、エミリーさんに伝言お願いしていいですか?」
「ああ、いいぞ。何を伝えればいい?」
「えっと、そのまんま伝えてもらっていいですか?」
「そのまんまとは?」
「ですから、手配書の発行元に連れて行かれるので、お宅に伺うのが遅くなると」
「お前……ギルドマスターとどんな関係なんだ?」
「秘密です」
「秘密って……何か言えるだろう」
「いいえ、俺からは何も言えません。いや、何も言いませんから!」
「……」

 衛兵のお兄さんは俺に対しそれ以上問い質すことはなく「着いて来い」と言って詰所を出ると、そのまま王城を目指す。
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