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第二章 動き出す何か
第二十五話 悲しすぎる
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テンプレを期待しながら食堂へと向かうと早速カモネギが寄って来た。
「おう、小僧には勿体無い姉ちゃんだな。俺達にちと貸せや」
「え?」
内心、『テンプレ、来たぁ~』と小躍りしそうな感情を押し殺して絡んできたオジサンにジト目で返す。
「貸すのはいいけど、大丈夫?」
「あ~何がだ?」
「多分だけど、結構食べるし飲むと思うよ」
「なんだ、そんなことか。そんなの小僧が心配することじゃねえよ」
「あ、そう。じゃあ、アオイ」
「なんだ?」
「このオジサン達がアオイにご馳走してくれるって言うから、遠慮なくご馳走になりなよ」
「ほう、俺にご馳走してくれるのか。だが、俺に何を求めるんだ?」
「へ、姉ちゃんは俺達の相手をしてくれればいいんだよ。なあ、そうだろ!」
「「「おう!」」」
俺達に絡んできたオジサンが他のオジサン達になんの同意か分からないが、まあ碌なことではないのだろう。だが、相手にしたのが悪かったんだと思う。
「ふへへ、そうだな。俺はソレを拝めればいいがな」
「これか?」
一人のオジサンがアオイの胸をガン見しながら見せろと言うが、アオイは自分の胸を持ち上げこれのことかと確認し、オジサンは「それだ!」と興奮する。
「悪いな。これはそこのコータの物だから、勝手に触らせたり見せたりすることは禁じられている。他のにしてくれ」
「「「なんだと!」」」
そこにいたオジサン達の厳しいというか『ウラヤマケシカラン』という視線が俺に向けられていた。
「関係ねぇ! 酔わせてしまえばこっちのもんだ! そうだろ!」
「「「おう!」」」
おいおい、こんな場所で平然と『やっちゃうけどいいよね』って言ってますよ。いいんですか? まあ、アオイを酔わせることが出来ればだけどね。大丈夫だよね。
『肯定します』
アオイにご馳走してくれるというので、アオイの飲食に関しては誘ってくれたオジサン達にお願いすることにして、俺とタロは静かに食事をする為に空いているテーブル席に着き、給仕のお姉さんに夕定食をお願いし、タロにはとりあえずデッカい肉を頼んだ。
「お待たせしました~」
「ってタロのが先か」
「すみません。すぐにお持ちしますので」
「急がなくてもいいので」
給仕のお姉さんにそう断り、美味しそうに食べているタロを眺める。オジサン達のテーブルではアオイを中心に大盛り上がりだ。無事に終わればいいんだけど。
『否定します』
「お待たせしました」
「おぉ!」
給仕のお姉さんがそう言って俺の前にトレイを置くと、その上にはパンとスープ、それと大きくて厚めのステーキだ。目測で三百グラムはあるんじゃないかな。
先ずは、トレイの上のナイフとフォークを手に取り、湯気が立つステーキをナイフを入れると肉汁がジュワッと染み出る。これだけで美味そうだと期待しながら、一口サイズに切った肉を頬張る。
「うん、美味いけど……なんか足りない」
作ってくれた人には悪いと思ったが、アイテムボックスから塩と胡椒を取り出し、目の前のステーキに少しだけ振りかける。
改めて、一口サイズに切り口に入れた瞬間に美味しさが爆発して、思わず「う~ん」と足をジタバタさせてしまう。
俺は十分にステーキを堪能し目の前の料理を綺麗に平らげると、まだ名残惜しそうに皿を舐めていたタロを立たせ部屋に戻ることにした。
部屋に戻る前にアオイの様子を確認すると、ジョッキを左手に持ち、右手に持ったフォークでアオイの前に貢がれた料理を口の中へと放り込んでいる。
オジサン達はアオイが動く度に揺れるモノを目で追い掛けている。男としての習性だから分かるけど、悲しすぎる。
アオイは俺に気付くと右手を振ってきたので、俺も手を振り返す。そしてオジサン達の視線も動く。
これならアオイも大丈夫だろうと確信してタロと一緒に部屋に戻る。
部屋に戻り、このままベッドに倒れ込みたいが、まずは風呂だなとタロを呼び、一緒に風呂を済ませる。
適度に乾かした後は、パジャマに着替えベッドの上で横になる。
「この町も明日の用事が終われば、明後日には王都かぁ~なんかイヤだな」
『ワフ!』
俺の隣で横になっているタロが慰めているつもりなのか、俺の顔をペロリとなめる。
「でも、その前に……殴りたいヤツがいる」
『ボクのせいなの?』
「タロを怒っているんじゃないんだよ。だけど、大事なことを隠したままにしているアイツは絶対に殴る!」
『ワフゥ~』
俺は仰向けのまま、右拳を上に掲げると『絶対に殴る! 相手が幼女の姿だろうが構うモノか!』と決意しながらゆっくりと目を閉じた。
『……』
「おう、小僧には勿体無い姉ちゃんだな。俺達にちと貸せや」
「え?」
内心、『テンプレ、来たぁ~』と小躍りしそうな感情を押し殺して絡んできたオジサンにジト目で返す。
「貸すのはいいけど、大丈夫?」
「あ~何がだ?」
「多分だけど、結構食べるし飲むと思うよ」
「なんだ、そんなことか。そんなの小僧が心配することじゃねえよ」
「あ、そう。じゃあ、アオイ」
「なんだ?」
「このオジサン達がアオイにご馳走してくれるって言うから、遠慮なくご馳走になりなよ」
「ほう、俺にご馳走してくれるのか。だが、俺に何を求めるんだ?」
「へ、姉ちゃんは俺達の相手をしてくれればいいんだよ。なあ、そうだろ!」
「「「おう!」」」
俺達に絡んできたオジサンが他のオジサン達になんの同意か分からないが、まあ碌なことではないのだろう。だが、相手にしたのが悪かったんだと思う。
「ふへへ、そうだな。俺はソレを拝めればいいがな」
「これか?」
一人のオジサンがアオイの胸をガン見しながら見せろと言うが、アオイは自分の胸を持ち上げこれのことかと確認し、オジサンは「それだ!」と興奮する。
「悪いな。これはそこのコータの物だから、勝手に触らせたり見せたりすることは禁じられている。他のにしてくれ」
「「「なんだと!」」」
そこにいたオジサン達の厳しいというか『ウラヤマケシカラン』という視線が俺に向けられていた。
「関係ねぇ! 酔わせてしまえばこっちのもんだ! そうだろ!」
「「「おう!」」」
おいおい、こんな場所で平然と『やっちゃうけどいいよね』って言ってますよ。いいんですか? まあ、アオイを酔わせることが出来ればだけどね。大丈夫だよね。
『肯定します』
アオイにご馳走してくれるというので、アオイの飲食に関しては誘ってくれたオジサン達にお願いすることにして、俺とタロは静かに食事をする為に空いているテーブル席に着き、給仕のお姉さんに夕定食をお願いし、タロにはとりあえずデッカい肉を頼んだ。
「お待たせしました~」
「ってタロのが先か」
「すみません。すぐにお持ちしますので」
「急がなくてもいいので」
給仕のお姉さんにそう断り、美味しそうに食べているタロを眺める。オジサン達のテーブルではアオイを中心に大盛り上がりだ。無事に終わればいいんだけど。
『否定します』
「お待たせしました」
「おぉ!」
給仕のお姉さんがそう言って俺の前にトレイを置くと、その上にはパンとスープ、それと大きくて厚めのステーキだ。目測で三百グラムはあるんじゃないかな。
先ずは、トレイの上のナイフとフォークを手に取り、湯気が立つステーキをナイフを入れると肉汁がジュワッと染み出る。これだけで美味そうだと期待しながら、一口サイズに切った肉を頬張る。
「うん、美味いけど……なんか足りない」
作ってくれた人には悪いと思ったが、アイテムボックスから塩と胡椒を取り出し、目の前のステーキに少しだけ振りかける。
改めて、一口サイズに切り口に入れた瞬間に美味しさが爆発して、思わず「う~ん」と足をジタバタさせてしまう。
俺は十分にステーキを堪能し目の前の料理を綺麗に平らげると、まだ名残惜しそうに皿を舐めていたタロを立たせ部屋に戻ることにした。
部屋に戻る前にアオイの様子を確認すると、ジョッキを左手に持ち、右手に持ったフォークでアオイの前に貢がれた料理を口の中へと放り込んでいる。
オジサン達はアオイが動く度に揺れるモノを目で追い掛けている。男としての習性だから分かるけど、悲しすぎる。
アオイは俺に気付くと右手を振ってきたので、俺も手を振り返す。そしてオジサン達の視線も動く。
これならアオイも大丈夫だろうと確信してタロと一緒に部屋に戻る。
部屋に戻り、このままベッドに倒れ込みたいが、まずは風呂だなとタロを呼び、一緒に風呂を済ませる。
適度に乾かした後は、パジャマに着替えベッドの上で横になる。
「この町も明日の用事が終われば、明後日には王都かぁ~なんかイヤだな」
『ワフ!』
俺の隣で横になっているタロが慰めているつもりなのか、俺の顔をペロリとなめる。
「でも、その前に……殴りたいヤツがいる」
『ボクのせいなの?』
「タロを怒っているんじゃないんだよ。だけど、大事なことを隠したままにしているアイツは絶対に殴る!」
『ワフゥ~』
俺は仰向けのまま、右拳を上に掲げると『絶対に殴る! 相手が幼女の姿だろうが構うモノか!』と決意しながらゆっくりと目を閉じた。
『……』
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