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第二章 動き出す何か
第十八話 アオイは十九歳
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「お待たせ……って、どうしたの、ダリウス?」
「いや、いい。手続きしてやってくれ」
「そう? まあ、いいわ。じゃあ、これに書いてもらえるかな」
「これに書けばいいんだな」
アオイはノエルさんが差し出した登録用の羊皮紙を受け取り、何も気にすることなく「書く」と言ったのにあれ? と思ってアオイに確認してみる。
「アオイ、書けるの? っていうかその前に読めるの?」
「ああ、コータのを読んだからな」
そうだった。アオイはそういうことが出来るんだった。コイツの前では思考を閉じるようにしないとダダ漏れになってしまうんだな。
『肯定します』
「もう、色々と遅いと思うけどな」
「ん? どういうことなの?」
「ノエル、コイツらの細かいことは気にするな」
「ん? よく分からないわね。まあ、言いたいことは分かる気がするけど……」
「出来たぞ。これでいいのか?」
「ちょっと確認するわね」
ノエルが書いた内容を横からチラリと見て「ブフッ!」と噴き出す。
「ちょ、ちょっとアオイ! これはダメだって!」
「ん? どこがだ?」
「ここ! 特技『ドラゴン狩り』って……何、書いちゃってんのよ!」
「ダメなのか?」
「ダメだよ! そもそも『ドラゴン狩り』ってどこでするのさ」
「どこって、そうか。俺はまだここがどこかも分かっていないんだった」
「コータ、お前達は何を言ってるんだ?」
「あ、ゴメンね。アオイ、これはダメだから。特技は『ナシ』でいいから。それから、年齢は十九歳だからね。これは忘れないでね」
「そうか? でも、間違いなくこの年齢は超えていると思うんだがな」
「だから、そういうのはいいから。とにかく『アオイは十九歳』だから。はい、復唱して『アオイは十九歳』はい!」
「アオイハジュウキュウサイ」
「そう、忘れないでね」
「お~い、そろそろいいか」
「あ、ごめん。ノエルさん不備がなければお願いします」
「ん~それはいいんだけどさ。ダリウス、ランクはGからでいいの?」
「そうだな、面倒だからCランクでいいぞ」
「面倒って……」
「お前な、本体になられたら誰がコイツに勝てるんだよ」
「あ!」
ギルマスの言葉に皆の視線が俺に集中する。多分、出来るだろうけどしないからね。だから、アオイもそのままでいようね。
「じゃあ、はいこれね。なくさないようにしてね」
「おう、これが俺のギルドカードになるんだな。ほう……」
「それと、コータ君。ちゃんとしたのを着せてあげてね」
「あ!」
「な、何よ。どうしたの?」
「ノエルさん。お願い出来ませんか?」
「え? 私なの」
「だって色々と身に着ける物が必要になりますよね。そんな場所に連れて行けと言われても」
それだけ言うと目をうるうるさせながらノエルさんを上目遣いで見る。
「わ、分かったわよ」
「ついでにある程度の常識もお願いします」
「常識って?」
「ソイツ、面倒だと脱ごうとするから」
「あ~」
「ノエル、ソイツを野放しにする訳にもいかないだろ。行ってやれ。これも人助けだと思ってだな。ついでに手間賃としてお前のも買えばいいさ。ハンスが喜ぶようなな」
「ダリウス! いいの?」
「お、おう。いいんだろコータ」
「まあ、そのくらいなら」
「よっし、行こう! アオイちゃん」
「あ、ああ。分かった。分かったから、そんなに強く引っ張らないでくれ。あまり強く引っ張られると……あ~」
「ダリウス、見ないの!」
ノエルがアオイを余りにも強く引っ張る物だから、ただ巻き付けているだけのシーツがハラリとアオイの足下に落ちるのを慌てて引っ張り上げる。
アオイがノエルさんに引っ張られるように部屋を出て行くとキュリもソファから立ち上がる。
「コータ、俺も戻るわ。また、用があったら言ってくれ。コータならいつでも歓迎するぞ」
「ありがとう」
「ああ、いいってことよ。じゃあな」
キュリが部屋を出てからギルマスとタロだけが残った空間でどことなく気まずい雰囲気が流れる。
「それで、お前はこれからどうするんだ?」
「そうなんだよね~ホントは王都に行って、ちょっとだけ見学してから他所に行こうと思ってたからね。ギルマスはどこがいいと思う?」
「そうだな~どうせなら、グッと離れるのもいいかもな」
「でしょ。あ! その前にさ、ヒュドラをどうにかしたいんだけど、錬金ギルドの方はどうなったの?」
「あ~あったな」
「あったなじゃなくて、どうなったのさ」
「いや~それがな。錬金ギルドの本部で買い取りたいって連絡があったんだけどな」
「まさか……」
「あ~そのまさかだ」
「王都にあるの?」
ギルマスにどこの国がいいか相談すると同時にヒュドラをどうにかしたいんだけどと言えば王都にある錬金ギルド本部からの買い取り依頼と同時に本部がある王都までの運送依頼も込みだという。
俺は王都に行きたくないので、その依頼は受けないとギルマスに断る。
「そうか。結構いい値段なんだけどな~」
「それより、もう一つの買い取り先は? 確か薬師ギルドだったよね」
「ああ、それならこの町での取引になるから王都に行く必要はないが。全部は要らないというんだ」
「なら、冒険者ギルドで全部買い取ってから、後は欲しい所に売ればいいじゃん」
「いや、そうしたいのは山々だけどな。その資金が足りないんだよ」
「足りないの? ならさ、掛け売りでいいよ」
「掛け売り……ツケってことか」
「そう。売れたら冒険者ギルドの俺の口座に入金してくれたらいいからさ」
「ギルドとしては助かるが、お前はいいのか?」
「いいよ。そんなに使わないし。タロもそんなに使わないし。ね、タロ」
『ワフ!』
そこまでギルマスに言ったところで「あれ? もしかしてコレもフラグになるの?」と思った所で『肯定します』とメッセージが流れた。
「いや、いい。手続きしてやってくれ」
「そう? まあ、いいわ。じゃあ、これに書いてもらえるかな」
「これに書けばいいんだな」
アオイはノエルさんが差し出した登録用の羊皮紙を受け取り、何も気にすることなく「書く」と言ったのにあれ? と思ってアオイに確認してみる。
「アオイ、書けるの? っていうかその前に読めるの?」
「ああ、コータのを読んだからな」
そうだった。アオイはそういうことが出来るんだった。コイツの前では思考を閉じるようにしないとダダ漏れになってしまうんだな。
『肯定します』
「もう、色々と遅いと思うけどな」
「ん? どういうことなの?」
「ノエル、コイツらの細かいことは気にするな」
「ん? よく分からないわね。まあ、言いたいことは分かる気がするけど……」
「出来たぞ。これでいいのか?」
「ちょっと確認するわね」
ノエルが書いた内容を横からチラリと見て「ブフッ!」と噴き出す。
「ちょ、ちょっとアオイ! これはダメだって!」
「ん? どこがだ?」
「ここ! 特技『ドラゴン狩り』って……何、書いちゃってんのよ!」
「ダメなのか?」
「ダメだよ! そもそも『ドラゴン狩り』ってどこでするのさ」
「どこって、そうか。俺はまだここがどこかも分かっていないんだった」
「コータ、お前達は何を言ってるんだ?」
「あ、ゴメンね。アオイ、これはダメだから。特技は『ナシ』でいいから。それから、年齢は十九歳だからね。これは忘れないでね」
「そうか? でも、間違いなくこの年齢は超えていると思うんだがな」
「だから、そういうのはいいから。とにかく『アオイは十九歳』だから。はい、復唱して『アオイは十九歳』はい!」
「アオイハジュウキュウサイ」
「そう、忘れないでね」
「お~い、そろそろいいか」
「あ、ごめん。ノエルさん不備がなければお願いします」
「ん~それはいいんだけどさ。ダリウス、ランクはGからでいいの?」
「そうだな、面倒だからCランクでいいぞ」
「面倒って……」
「お前な、本体になられたら誰がコイツに勝てるんだよ」
「あ!」
ギルマスの言葉に皆の視線が俺に集中する。多分、出来るだろうけどしないからね。だから、アオイもそのままでいようね。
「じゃあ、はいこれね。なくさないようにしてね」
「おう、これが俺のギルドカードになるんだな。ほう……」
「それと、コータ君。ちゃんとしたのを着せてあげてね」
「あ!」
「な、何よ。どうしたの?」
「ノエルさん。お願い出来ませんか?」
「え? 私なの」
「だって色々と身に着ける物が必要になりますよね。そんな場所に連れて行けと言われても」
それだけ言うと目をうるうるさせながらノエルさんを上目遣いで見る。
「わ、分かったわよ」
「ついでにある程度の常識もお願いします」
「常識って?」
「ソイツ、面倒だと脱ごうとするから」
「あ~」
「ノエル、ソイツを野放しにする訳にもいかないだろ。行ってやれ。これも人助けだと思ってだな。ついでに手間賃としてお前のも買えばいいさ。ハンスが喜ぶようなな」
「ダリウス! いいの?」
「お、おう。いいんだろコータ」
「まあ、そのくらいなら」
「よっし、行こう! アオイちゃん」
「あ、ああ。分かった。分かったから、そんなに強く引っ張らないでくれ。あまり強く引っ張られると……あ~」
「ダリウス、見ないの!」
ノエルがアオイを余りにも強く引っ張る物だから、ただ巻き付けているだけのシーツがハラリとアオイの足下に落ちるのを慌てて引っ張り上げる。
アオイがノエルさんに引っ張られるように部屋を出て行くとキュリもソファから立ち上がる。
「コータ、俺も戻るわ。また、用があったら言ってくれ。コータならいつでも歓迎するぞ」
「ありがとう」
「ああ、いいってことよ。じゃあな」
キュリが部屋を出てからギルマスとタロだけが残った空間でどことなく気まずい雰囲気が流れる。
「それで、お前はこれからどうするんだ?」
「そうなんだよね~ホントは王都に行って、ちょっとだけ見学してから他所に行こうと思ってたからね。ギルマスはどこがいいと思う?」
「そうだな~どうせなら、グッと離れるのもいいかもな」
「でしょ。あ! その前にさ、ヒュドラをどうにかしたいんだけど、錬金ギルドの方はどうなったの?」
「あ~あったな」
「あったなじゃなくて、どうなったのさ」
「いや~それがな。錬金ギルドの本部で買い取りたいって連絡があったんだけどな」
「まさか……」
「あ~そのまさかだ」
「王都にあるの?」
ギルマスにどこの国がいいか相談すると同時にヒュドラをどうにかしたいんだけどと言えば王都にある錬金ギルド本部からの買い取り依頼と同時に本部がある王都までの運送依頼も込みだという。
俺は王都に行きたくないので、その依頼は受けないとギルマスに断る。
「そうか。結構いい値段なんだけどな~」
「それより、もう一つの買い取り先は? 確か薬師ギルドだったよね」
「ああ、それならこの町での取引になるから王都に行く必要はないが。全部は要らないというんだ」
「なら、冒険者ギルドで全部買い取ってから、後は欲しい所に売ればいいじゃん」
「いや、そうしたいのは山々だけどな。その資金が足りないんだよ」
「足りないの? ならさ、掛け売りでいいよ」
「掛け売り……ツケってことか」
「そう。売れたら冒険者ギルドの俺の口座に入金してくれたらいいからさ」
「ギルドとしては助かるが、お前はいいのか?」
「いいよ。そんなに使わないし。タロもそんなに使わないし。ね、タロ」
『ワフ!』
そこまでギルマスに言ったところで「あれ? もしかしてコレもフラグになるの?」と思った所で『肯定します』とメッセージが流れた。
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