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第一章 旅立ち
第十五話 やっぱりお風呂だよ
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姫さんとクリフさんが部屋から出て行ってしばらくするとメイドさんが「お風呂はいかがなさいますか」と聞いて来たので「もちろん」と答え、下着セットを手にタロと一緒に浴場へと案内してもらう。
「こちらになります」と案内してくれたメイドさんにお礼を言って浴室手前の脱衣場らしきところで用意されている籠に持ってきた下着セットを入れ、着ている服に手を掛けようとしたところで、メイドさんが部屋に残っていることに気付く。いや、それどころかメイドさんまで服に手を掛けているんだけど、どういうことなのかな。
「あの、すみません。着替えるので……」
「あ、どうぞお気になさらずに」
「ああ、そうですか……って、違うんです! 恥ずかしいので一人にして欲しいんです!」
「え? 一人で入られるのですか?」
「ええ、そのつもりですけど、何か?」
「いえ、一人で入られる方はそうそういないので……」
「は?」
メイドさんの話を聞き『うらやまけしからん』と思ったが、なんとか自分の理性に頑張って貰い泣く泣くメイドさんに退室してもらう。
メイドさんが退室したのを確認したら、タロに見張ってもらい誰もいないことを確認すると素早く着ている服を全部脱いでから浴室の扉を開ける。
そこは湯気がもうもうとしており、どこかの温泉地を思わせる景色だったがお湯がたっぷりな浴槽から手桶でお湯を掬うと掛け湯をしてから浴槽へと身を沈める。
思わず「ハァ~」と声が出るのは元日本人としてはしょうがないことだ。
浴槽で温まってから、脱衣所で見張ってくれていたタロを浴室へと入ってもらい、タロの体に手桶でお湯を掛ける。
「タロ、俺はもう疲れたよ」
『え~まだ頭しか濡れてないよ』
「そうは言ってもな~ん? 待てよ、そうだよ。何マジメに手桶でタロの体を濡らそうとしているんだよ」
タロを洗おうと手桶で浴槽からお湯を掬っては掛けていたが十回もこなさないうちに疲れてしまった。だって十二歳だもの。
しかし、ここで魔法が使えることを思い出す。今なら思いっ切りやれるんじゃないかと。
『肯定します』
なんか知らんけどお許しも出たみたいなので、まずはやってみる。
タロに向かって右腕をかざし『水流放出』と唱えると結構な勢いで水が出て来た。
『コータ、ちょっと待って! 冷たいから!』
「あ、ごめん……ちょっと待ってね」
単に水だけなら、そりゃ冷たいよねと考える。なら、何が出来るかと。
「え~と、水が冷たいのなら温水を出せればいいんだよね。お湯か……お湯ってなんて言えばいいんだっけ……温かいなら『ホット』か。まあ、ものは試しってことで『温水噴出』」
『あ~温かい。コータ、気持ちいいよ』
タロが気持ち良さそうにしているので、熱すぎず冷たすぎずってことなんだろう。なんにせよ上手くいったようでよかったよ。でも、ここからタロを洗うんだよな、俺しかいないんだよなと考えてしまう。
「いや、無理でしょ」
『え? なにか言った?』
「タロ、自分で洗える?」
『ん~無理!』
「そうだよな~」
さてせっかく全身をくまなく濡らすことが出来たタロだけど、このまま俺一人で洗うのは無理だ。ならば、さっきのメイドさんに頼もうかと思うが、それは愚策だろう。一人二人増えたところでタロの体の大きさはカバー出来ない。
「タロ、我慢してくれよ」
『え? なに? 何が始まるの?』
タロは俺が何をしようとしているのか全く見当が付かないようだが、面白いことをしてくれそうだとは感じているみたいだ。
ならば、その期待に応えてあげようじゃないかと、タロに向かって右手をかざすと『水球』を唱え、左手では『火球(小)』を唱えると二つの魔法が重なりタロを包む。
タロは水球が火球でほどよい温度になったのか、気持ち良さそうにしているが俺が考えているのはこれで終わりじゃない。
ここからの追加で『撹拌』を唱えるとほどよく温まった水球の中でタロが前後左右に撹拌されている。俺はその中にそっと浴室に用意されていた石鹸を放り込むとすぐに泡立ちタロが見えなくなった。
そのまま、五分ほど撹拌させたところで、魔法を解除するとタロが俺をジッと睨んでいる。
『コータ、ヒドいよ! 死ぬかと思ったよ!』
「でも、死ななかったよね」
『そうだけど、言うことがあるでしょ!』
「うん、綺麗になったね」
『そうだね、コータのおかげだね。ありがと……って、そうじゃないでしょ!』
「ゴメンよ。でも、今日はゴブリンにオークと戦ったし汚れがヒドかったししょうがないよ」
『……』
タロに言い訳めいたことを言ってみたが、許してくれそうにはないなと感じた。
機嫌を直すには時間が掛かりそうだと思ったので、まずは自分を洗うのが先だと思い、洗い場に座り頭を洗った後は、もちろん体も隅々まで綺麗に洗う。特に未使用な部分も丁寧に洗うのは忘れない。
体を洗った後はタロと一緒に湯舟で温まり百まで数えてから湯舟から出る。
「ハァ~気持ちいい。ね、タロ」
『……』
残念ながらタロは不機嫌なままだが、俺が丁寧にブローして毛並みがふわふわになると途端に機嫌がよくなった。
「ラクショー」と思ったことはタロには内緒だ。
「こちらになります」と案内してくれたメイドさんにお礼を言って浴室手前の脱衣場らしきところで用意されている籠に持ってきた下着セットを入れ、着ている服に手を掛けようとしたところで、メイドさんが部屋に残っていることに気付く。いや、それどころかメイドさんまで服に手を掛けているんだけど、どういうことなのかな。
「あの、すみません。着替えるので……」
「あ、どうぞお気になさらずに」
「ああ、そうですか……って、違うんです! 恥ずかしいので一人にして欲しいんです!」
「え? 一人で入られるのですか?」
「ええ、そのつもりですけど、何か?」
「いえ、一人で入られる方はそうそういないので……」
「は?」
メイドさんの話を聞き『うらやまけしからん』と思ったが、なんとか自分の理性に頑張って貰い泣く泣くメイドさんに退室してもらう。
メイドさんが退室したのを確認したら、タロに見張ってもらい誰もいないことを確認すると素早く着ている服を全部脱いでから浴室の扉を開ける。
そこは湯気がもうもうとしており、どこかの温泉地を思わせる景色だったがお湯がたっぷりな浴槽から手桶でお湯を掬うと掛け湯をしてから浴槽へと身を沈める。
思わず「ハァ~」と声が出るのは元日本人としてはしょうがないことだ。
浴槽で温まってから、脱衣所で見張ってくれていたタロを浴室へと入ってもらい、タロの体に手桶でお湯を掛ける。
「タロ、俺はもう疲れたよ」
『え~まだ頭しか濡れてないよ』
「そうは言ってもな~ん? 待てよ、そうだよ。何マジメに手桶でタロの体を濡らそうとしているんだよ」
タロを洗おうと手桶で浴槽からお湯を掬っては掛けていたが十回もこなさないうちに疲れてしまった。だって十二歳だもの。
しかし、ここで魔法が使えることを思い出す。今なら思いっ切りやれるんじゃないかと。
『肯定します』
なんか知らんけどお許しも出たみたいなので、まずはやってみる。
タロに向かって右腕をかざし『水流放出』と唱えると結構な勢いで水が出て来た。
『コータ、ちょっと待って! 冷たいから!』
「あ、ごめん……ちょっと待ってね」
単に水だけなら、そりゃ冷たいよねと考える。なら、何が出来るかと。
「え~と、水が冷たいのなら温水を出せればいいんだよね。お湯か……お湯ってなんて言えばいいんだっけ……温かいなら『ホット』か。まあ、ものは試しってことで『温水噴出』」
『あ~温かい。コータ、気持ちいいよ』
タロが気持ち良さそうにしているので、熱すぎず冷たすぎずってことなんだろう。なんにせよ上手くいったようでよかったよ。でも、ここからタロを洗うんだよな、俺しかいないんだよなと考えてしまう。
「いや、無理でしょ」
『え? なにか言った?』
「タロ、自分で洗える?」
『ん~無理!』
「そうだよな~」
さてせっかく全身をくまなく濡らすことが出来たタロだけど、このまま俺一人で洗うのは無理だ。ならば、さっきのメイドさんに頼もうかと思うが、それは愚策だろう。一人二人増えたところでタロの体の大きさはカバー出来ない。
「タロ、我慢してくれよ」
『え? なに? 何が始まるの?』
タロは俺が何をしようとしているのか全く見当が付かないようだが、面白いことをしてくれそうだとは感じているみたいだ。
ならば、その期待に応えてあげようじゃないかと、タロに向かって右手をかざすと『水球』を唱え、左手では『火球(小)』を唱えると二つの魔法が重なりタロを包む。
タロは水球が火球でほどよい温度になったのか、気持ち良さそうにしているが俺が考えているのはこれで終わりじゃない。
ここからの追加で『撹拌』を唱えるとほどよく温まった水球の中でタロが前後左右に撹拌されている。俺はその中にそっと浴室に用意されていた石鹸を放り込むとすぐに泡立ちタロが見えなくなった。
そのまま、五分ほど撹拌させたところで、魔法を解除するとタロが俺をジッと睨んでいる。
『コータ、ヒドいよ! 死ぬかと思ったよ!』
「でも、死ななかったよね」
『そうだけど、言うことがあるでしょ!』
「うん、綺麗になったね」
『そうだね、コータのおかげだね。ありがと……って、そうじゃないでしょ!』
「ゴメンよ。でも、今日はゴブリンにオークと戦ったし汚れがヒドかったししょうがないよ」
『……』
タロに言い訳めいたことを言ってみたが、許してくれそうにはないなと感じた。
機嫌を直すには時間が掛かりそうだと思ったので、まずは自分を洗うのが先だと思い、洗い場に座り頭を洗った後は、もちろん体も隅々まで綺麗に洗う。特に未使用な部分も丁寧に洗うのは忘れない。
体を洗った後はタロと一緒に湯舟で温まり百まで数えてから湯舟から出る。
「ハァ~気持ちいい。ね、タロ」
『……』
残念ながらタロは不機嫌なままだが、俺が丁寧にブローして毛並みがふわふわになると途端に機嫌がよくなった。
「ラクショー」と思ったことはタロには内緒だ。
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