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第一章 はじめまして
第4話 教えてくれたのはラノベ先生
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「動いたよ、お母さん!」
「動いたって何が?」
「何がって、魔力の塊だよ。お母さん達にもあるでしょ?」
「え? ちょっと、あんた……」
「ん? ちょっとこっちは手が離せないんだ!」
「もう、大事な時に役に立たないんだから……で、サン。何がどうなったって?」
「だからね……」
サンはマーサに自分の中にある魔力の塊を感じ取り、それを動かすことが出来たと話す。
「ん~よくは分からないけど、サンはそれが出来たって言うけど、私達にはそれがどんなに凄いことなのかが分からないわ。ごめんね」
「お母さん、そんな謝らないでよ。でね……」
「はあ~よくそういうこと思い付くもんだわね。それもにほんが関係するの?」
「あ、いやぁ~それは……いや、ちょっとは関係するのかな?」
「もう、ハッキリしないわね」
「ごめんなさい……」
サンはマーサにハッキリとは言えなかったが、自分の考え方の元になっているのは、日本で培った知識もそうだが、それにはラノベで得た知識も含まれるのかなと自分なりに解釈してみたものの、まだ魔法として使えていないのでマーサに対しあやふやになってしまった。
「ほれ、出来たぞ」
「え? もう出来たの?」
「まあな。後はこれを組み立てて、実際に動かしてみるだけだ。どら」
父親はそう言うと片手に桶を持ち、井戸へと水汲みへ向かい、サンは、広げられたポンプの試作品を持ち、父親の元へと近寄る。
「なんだ、持って来たのか」
「うん、だって近くにあった方がいいでしょ」
「まあな。じゃ、早速組み立てるか」
「うん!」
サンは父親と一緒に試作品のポンプを組み立てると、水が入った桶の中へと入れる。
「あとは、このレバーを動かせばいいんだな」
「うん。あ、ちょっと待って!」
「どうした?」
「上の部分にね、水を入れないと」
「水を汲むのにか?」
「そう。呼び水が必要なんだよ」
「どうしてもか?」
「うん、どうしても」
「そうか、説明は今はいいが後で教えてくれな」
「うん!」
サンが試作品のポンプに呼び水を注いだ後に父親がレバーをグッと下げれば、そのポンプから水が出て来た。
「お! おぉぉぉ~!」
「ちょっと、あんた! 私にもさせてよ!」
「待て待て! まだ俺がテスト中だろ!」
「いいから、ちょっと貸しなさい! へぇ~こりゃいい! あんた、これは試作品だと言ったね」
「お、おお。そうだ」
「うん、ならちゃんとした物を作りなさい! 私も手伝うから!」
「マーサ手伝うって……」
「なにさ! 不満なのかい?」
「いや……じゃ作っちまうか。と、その前に寸法を出さないとな。この大きさじゃ小さすぎるからな」
「なら、私はお茶を用意してくるわ」
「おお、ありがとうな」
「うふふ、しっかり売れる物作ってね」
「あ、ああ……」
父親と母親が忙しそうにしているのを横目にサンはさっきの続きと魔力の塊を操作することに集中する。
「ラノベだとこれで魔力操作のスキルが生えたりするんだけどな」
サンが集中して自分の体内の魔力の塊を移動させたり、小さく圧縮したり、体全体に広げてみたりと色々試していたら『魔力操作スキルを得ました』と脳内に音声が流れた。
「あ! 出来ちゃった……なら、今度は……」
魔力操作スキルを得たサンは、今度は自分の両目に魔力を集中させて見た。すると……『鑑定スキルを得ました』と聞こえてきた。
「やっぱり、思った通りだ。じゃあ、先ずは……」
両目に魔力を集中させた状態で鑑定スキルを発動させると、サンは父親をジッと見詰める。すると……。
~鑑定結果~
名前:ジル
年齢:二十八歳
性別:男
種族:ドワーフ
スキル:身体強化、鍛冶
「えぇ~ウソ!」
「ん? サン、どうした?」
「あ……ねえ、お父さんは『ジル』って名前で二十八歳なの?」
「おう、そうだぞ。ん? 俺、名前とかお前に教えたか?」
「あ~えっとね……」
コレばかりは誤魔化すのはもっとマズいことになるだろうと思ったサンは、父親であるジルに正直に鑑定スキルを使ったことを話した。
「……鑑定スキルだと!」
「うん。ダメだった?」
「お前、そんなこと誰に教わったんだ?」
「誰にって……ラノベかな」
「らのべ? それはこの町のヤツなのか?」
「えっと、正確には人の名前じゃないんだけど」
「なら、なんだ? どうやってお前は知ったんだ?」
「……怒らないでね」
「ちょっと、待て! その言い方はヤバい! マーサが来るまで待て」
「分かったよ」
ジルはサンが元日本人だと明かした時と同じ言い回しをしたことで不安になり、マーサと一緒に説明を聞くからとサンを止める。
「お茶、持って来たよ。おや、あんた。どうした?」
「マーサ……どうやら、俺達の息子はとんでもないヤツみたいだぞ」
「うふふ、そうね。あんな物を作り出したんだもの。そりゃそうでしょ」
「……違う。違うんだ、マーサ」
「もう、何が違うのよ。ねえ、サン」
「……」
「サン? ちょっと、あんた! 今度は何をしたの?」
サンはマーサの言葉に返事をしなかった。と言うか、何と答えればいいのかが分からなかったから、黙るしかなかった。だけど、それをジルがサンに対し何かをしたものと決めつけて怒鳴りつけるが、ジルはそうじゃないと答える。
「いや、だから、したのは俺じゃなくてだな……」
「え? もしかして……」
「だから、さっきからそう言っているだろ」
「えぇ~」
「動いたって何が?」
「何がって、魔力の塊だよ。お母さん達にもあるでしょ?」
「え? ちょっと、あんた……」
「ん? ちょっとこっちは手が離せないんだ!」
「もう、大事な時に役に立たないんだから……で、サン。何がどうなったって?」
「だからね……」
サンはマーサに自分の中にある魔力の塊を感じ取り、それを動かすことが出来たと話す。
「ん~よくは分からないけど、サンはそれが出来たって言うけど、私達にはそれがどんなに凄いことなのかが分からないわ。ごめんね」
「お母さん、そんな謝らないでよ。でね……」
「はあ~よくそういうこと思い付くもんだわね。それもにほんが関係するの?」
「あ、いやぁ~それは……いや、ちょっとは関係するのかな?」
「もう、ハッキリしないわね」
「ごめんなさい……」
サンはマーサにハッキリとは言えなかったが、自分の考え方の元になっているのは、日本で培った知識もそうだが、それにはラノベで得た知識も含まれるのかなと自分なりに解釈してみたものの、まだ魔法として使えていないのでマーサに対しあやふやになってしまった。
「ほれ、出来たぞ」
「え? もう出来たの?」
「まあな。後はこれを組み立てて、実際に動かしてみるだけだ。どら」
父親はそう言うと片手に桶を持ち、井戸へと水汲みへ向かい、サンは、広げられたポンプの試作品を持ち、父親の元へと近寄る。
「なんだ、持って来たのか」
「うん、だって近くにあった方がいいでしょ」
「まあな。じゃ、早速組み立てるか」
「うん!」
サンは父親と一緒に試作品のポンプを組み立てると、水が入った桶の中へと入れる。
「あとは、このレバーを動かせばいいんだな」
「うん。あ、ちょっと待って!」
「どうした?」
「上の部分にね、水を入れないと」
「水を汲むのにか?」
「そう。呼び水が必要なんだよ」
「どうしてもか?」
「うん、どうしても」
「そうか、説明は今はいいが後で教えてくれな」
「うん!」
サンが試作品のポンプに呼び水を注いだ後に父親がレバーをグッと下げれば、そのポンプから水が出て来た。
「お! おぉぉぉ~!」
「ちょっと、あんた! 私にもさせてよ!」
「待て待て! まだ俺がテスト中だろ!」
「いいから、ちょっと貸しなさい! へぇ~こりゃいい! あんた、これは試作品だと言ったね」
「お、おお。そうだ」
「うん、ならちゃんとした物を作りなさい! 私も手伝うから!」
「マーサ手伝うって……」
「なにさ! 不満なのかい?」
「いや……じゃ作っちまうか。と、その前に寸法を出さないとな。この大きさじゃ小さすぎるからな」
「なら、私はお茶を用意してくるわ」
「おお、ありがとうな」
「うふふ、しっかり売れる物作ってね」
「あ、ああ……」
父親と母親が忙しそうにしているのを横目にサンはさっきの続きと魔力の塊を操作することに集中する。
「ラノベだとこれで魔力操作のスキルが生えたりするんだけどな」
サンが集中して自分の体内の魔力の塊を移動させたり、小さく圧縮したり、体全体に広げてみたりと色々試していたら『魔力操作スキルを得ました』と脳内に音声が流れた。
「あ! 出来ちゃった……なら、今度は……」
魔力操作スキルを得たサンは、今度は自分の両目に魔力を集中させて見た。すると……『鑑定スキルを得ました』と聞こえてきた。
「やっぱり、思った通りだ。じゃあ、先ずは……」
両目に魔力を集中させた状態で鑑定スキルを発動させると、サンは父親をジッと見詰める。すると……。
~鑑定結果~
名前:ジル
年齢:二十八歳
性別:男
種族:ドワーフ
スキル:身体強化、鍛冶
「えぇ~ウソ!」
「ん? サン、どうした?」
「あ……ねえ、お父さんは『ジル』って名前で二十八歳なの?」
「おう、そうだぞ。ん? 俺、名前とかお前に教えたか?」
「あ~えっとね……」
コレばかりは誤魔化すのはもっとマズいことになるだろうと思ったサンは、父親であるジルに正直に鑑定スキルを使ったことを話した。
「……鑑定スキルだと!」
「うん。ダメだった?」
「お前、そんなこと誰に教わったんだ?」
「誰にって……ラノベかな」
「らのべ? それはこの町のヤツなのか?」
「えっと、正確には人の名前じゃないんだけど」
「なら、なんだ? どうやってお前は知ったんだ?」
「……怒らないでね」
「ちょっと、待て! その言い方はヤバい! マーサが来るまで待て」
「分かったよ」
ジルはサンが元日本人だと明かした時と同じ言い回しをしたことで不安になり、マーサと一緒に説明を聞くからとサンを止める。
「お茶、持って来たよ。おや、あんた。どうした?」
「マーサ……どうやら、俺達の息子はとんでもないヤツみたいだぞ」
「うふふ、そうね。あんな物を作り出したんだもの。そりゃそうでしょ」
「……違う。違うんだ、マーサ」
「もう、何が違うのよ。ねえ、サン」
「……」
「サン? ちょっと、あんた! 今度は何をしたの?」
サンはマーサの言葉に返事をしなかった。と言うか、何と答えればいいのかが分からなかったから、黙るしかなかった。だけど、それをジルがサンに対し何かをしたものと決めつけて怒鳴りつけるが、ジルはそうじゃないと答える。
「いや、だから、したのは俺じゃなくてだな……」
「え? もしかして……」
「だから、さっきからそう言っているだろ」
「えぇ~」
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