リアルチェンジ 1

1.チェンジする日々

1.チェンジの日 その1

1.チェンジの日　その1

　202X年。
　2024の人口統計が実はランサムウェアと言うコンピュータウイルスのせいで間違った統計を出しており、東京都の本当の出生率が0.45だと判明して、いい加減本気の出生率対策をしろとガチギレの世間になっていたころ…。

　某国の景気が、かつての日本国が大失敗した時と同じく、景気急降下に入ってしまった。

　さて困った某国の研究所は、資金を調達するべくあるものを売り出し、特許も売ってしまおうと研究員がアメリカに行くが入国できず、
日本に入ってきた。


　その頃、ある結婚相談所が崩壊していた。

　「なぜ条件通りの男をださないのよ！年齢20～21！　初婚！　年収10000000000円！もちろんイケメン！
　18才から20才に年齢は譲歩したでしょ！早く出せや！」

　いるかよ、そんなヤツ。
　それが結婚相談所の受付の総意であった。事務長は、（やれ！）とアゴを触って合図をだす。

　実行役は、今度入ったアルバイト女性（35）だ。この結婚相談所では、この試練をくぐり抜けないと、すぐに結婚相談所同業者組合のアラスカ支店（アメリカ）に転勤になる。

　しかし、この出生率0.45の時代は国内投資もされずに不景気なので、アルバイト先なんてほとんどない。
　泣く泣くやるしかないのだ。

バイト受付係
「お相談者様？　申し訳ございませんが、普通会員だと、ご紹介できる方はございません。プレミアム会員か、エクセレントハイリッチ会員様のデーターでも難しいです。」

女性相談者（58）
「なんですって！使えないわね！もう良いわ！」

バイト受付係
「（やった！チャンス！）ありがとう御座います。それではもう良いと仰られたので、退会手続きをしておきます。ハイできました。どこかで良いご縁がありますように。」

　所長
「（え？確かにそうだが、大丈夫か？）」

女性相談者（58）
「ざけんな！お詫びとして、探してこいや！」
　バックから出したハンマーで受付係をフルスイングで殴る元相談者の元客。

　次に対応するのが嫌な同僚は、すぐに「人殺しー！」と叫んで警察と救急車をよんだ。

　すぐに殺人未遂で捕まる容疑者（58）。
　「女なのだから、無罪よーーー！」
　そんなわけあるか！ぼけ！

　最近、こんなのばっかりだ。所長と経営者はため息をつく。
　しかし、そこにやってきたのは労働基準監督署と、厚生労働省の検査官。

　出生率0.45を受けて、結婚促進法が成立して
結婚相談所は公的なノルマを課される。


　中堅で月に3組。小規模で月に1組結婚カップルを成立しさせないといけない。
　中堅企業以上企業は、国の定める規模の結婚相談所を併設しないといけない。
　企業は、結婚したカップルに子供ができないと、1家族につき１億の罰金を課す。
　偽装離婚、偽装結婚は懲役最低20年から。そして、獄中でも結婚しないといけない。
　国際結婚詐欺は、すぐに是正される。
　
　
　これをなんとかくぐり抜けるために、中学生に金を貸し付けて、成人になった時に借金の支払いとして、男女問わず結婚させると言う手口も横行した。

　しかし、それも今や廃れた。
　女性の玉の輿願望が凄いのだ。

　そして、この結婚相談所の経営者は警告を受けた。厚生労働省の方針として今年から中堅は月に10組を結婚させろという。
　無理だと言っても、あと30分後に法が改正されるのでやること！と言われた。

　は～。午後６時に閉店。
　結婚相談所の経営には強制的受け取り補助金と言うものがあり、無理矢理ハローワーク２週間以上通いの者が受け取らされて、開業させられる法律がある。

　もちろん逃げたかつての同僚達もいた。
　しかし、なにか別の法律で捕まる。そういうシステムになってしまった。
　どうしようもない。

　経営者は、すでにいまの事務職の所長に経営を任せる手続きを極秘に行っていた。
　逃げるツモリなのだが、どう逃げるかが問題だった。
　いまの流行りはアメリカで国際結婚して、現地のグリーカード（市民権）を買って、別の職を得ることだ。

　やるか！と、夜の食事にファミレスに入った。
　飲みセット1200円。水で薄めた氷入りのビールに、焼き鳥とレタス、トマトの輪切りを挟んだフランスパンのセットだ。

　むかしは、牛丼（味噌汁つき）で400円の時代があったらしいが、今は牛丼のみで7500円（水１杯別料金360円）だ。

　底辺飯を食っている奴らはたくさんいる。なぜこんなクソ地雷ばっかりふむどころか投げつけられ無いといけない！

　しかし、今日は不穏な雰囲気だな…。あれ？あれは同業者か？あ、同業者多くね？
　そんな気持ちを表すように、ゲリラ強雨が降り出す。

　そんな時に某大国の人間が、レストランに入ってきた。
　
　それが、これから起こるある変革の始まりだとは、まだオレはわかっていたなかった。