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第5章 ついに始まった本当の戦い。

第4話 問題が片付いたら、また発生する。

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 やっと、ワンダフル王国やその周辺国の食糧危機が鎮まり、ニャントゥ王国だけは放置という事で、マトの街に向かうカザト達と商業・冒険者ギルド連合団は、帰路に入っていた。

 途中の野営地に急報が入る。
 元聖女統括フェルべーが発見される!
 なんと、大神殿の前で酒癖の悪いポーズを取って石化していた?

 聖女メーベルが、吹き出していた。
 どういう事?

聖女メーベル
「あの人は、密造酒のエキスパートでした。
 聖女の修行の中に、1年間断酒というものがあるのですが、普通にしていたら何の苦もありません。
 果実酢なんて飲んで紛らわせるとかするのですが、あのフェルべーは生産量の少ない密造酒に手を出してしまいまして、それだけで飽き足らずに自作の酒を作り出して、アルコール中毒まで行きまして、一時期中毒を治すために冒険者ギルドに預かってもらったらしいのです。」
(神聖皇国内では、禁酒修行中の司祭、神官、聖女達に酒を誤って飲ませないように、酒場や屋台、酒問屋、酒工場レベルで厳しく規制されている。
 禁酒修行中は、魔法で頭の上に禁酒修行中のマークが浮かんでいるので、そのものに決して販売してはいけない、販売すると罰則がまっている。)

マーベル
「まぁ、武勇伝は残っているわ。
 酔っ払いながら、ゴースト20体相手に浄化させたとか?
 コボルトキングに、酔いながら両手に一升瓶を持って接近戦を挑んで、強アルコール濃度の酒を無理矢理コボルトが息を吸い込む時に流し込んで急性アルコール中毒に退散させたとか。」
(後日、死亡しているコボルトキングが発見され、鑑定により急性アルコール中毒による死亡とされた。
 ものすごく珍しい例なので冒険者ギルドのモンスター研究班が動いたのだが、原因が肝臓破裂と急性アルコール中毒、胃にまだ消化されていない酒から、フェルべーの密造酒だと判明してギルドを驚かせた。)

 は?
 飲ん兵衛どころか、飲ませるのか?!

聖女メーベル
「シラフ(飲んでない・酔ってない通常時)になると、世界征服とか言い出してましたね。」

 実行したらしいよ。
 カンターレと契約をしていたのだって!
 それが、第一報目だった。

 第二報目。
 ガス貴族が、宰相を筆頭にガス国王討伐団を組む事になって、なんとか知っている奴らを巻き込んでラッド国王と交渉しようといている?

 だから、マトの街にしばらく近づかないほうがいいと知らせが来た。
 そこで、商業・冒険者ギルド連合団は、会議に入った。
 なんでも、続報だとガス宰相の娘にもお願い倒してなんとかカザトとの会談に持ち込むつもりらしいのだ。
 そして、新ガス国王を決めるらしい。
 だが、彼らは未だに牢屋のなか。

 うわ~。まだ牢屋から出られると思っていたのか。
 
 なので、ベイントス公国に行くことにする。
 こんな時にやって来る奴らがいた。
 ニャントゥ王国の残党だ。
 なんでも、元宰相らしい。

 で?何の用なの?
 奴隷にしようとか、言い出すと斬るよ!
 と言う内容をいうと、キレやがったが妙な事を言い出した。
 なんでも、前管理者神様の統治の頃から居られた側近が残した記録の在り処を知っているらしい。

 邪神を討伐したら報酬として見せてやろうなんて言い出したから、
「落書きでも、記録だよな?
 いいだろう、もってこい。それが鑑定で本物ならゴブリンエンペラーの時と条件はもっとキツくしたいが、そのままで魔法契約をする。

 但し、邪神は一体のみ。
 俺を隷属にしかねない、指揮権は認めない。」

 と言うと、ふざけるな!とか言い出したから本陣から放り出した。

 だが、カザトの鑑定では本人は知っている事は本当らしい。
 そして、まだまだ勇者召喚関連の知識で隠し事があると、反応がでている。
 だから、どういう神経でキレてやがるのかは考えたくないが、その事でカザトをこき使えると、かなり自信があるらしい。

 やれやれと、トワイライト達もため息を吐いていた。

トワイライト
「カザト様?ワンダフル王国の記録だと、勇者達の関連施設が、旧ホビット国連邦にあると書かれていましたが、どうします?」

カザト
「とりあえず、商業・冒険者ギルドの人達をベイントス公国まで送ろう。 
 それに、海の様子を見て出来れば船を作ろう。
 ガス国王達が使ったとされる、侵入方法は既に監視されているから、今、聖水と反応して熱湯になっている所が落ち着いたら、海路で侵入できるようにしたい。」

 そんな会話をしていたら、商業ギルドに昔の海図があるらしい。
 へ~。海の探険か!
 と、少しワクワクしていた。


 そんな頃、ガス王都では?

 ガス国王は、今日も寝ていた。
 だが、実は違う。
 布団の中で震えていたのだ。
 読者のみなさんも気がついているかもしれないが、ガス国王とガス宰相達の中に入っていたフェイクの部下天使がいないのだ。

 あのマトの街侵攻戦以後、ニャントゥ王国の王の間にいきなり現れた時からいない。
 そう!ガス国王の凶行と、狂った行動はなんと、権力の後ろ盾が無くなった事による、自分の権力の確認行動であった。

 だが、震えているのはそれだけでない。
 ブレーダー王女の変わりようである。
 なぜ変わった?
 わからないのだ。
 黙って聞いているだけ。
 権力欲から来る、いつもの積極的過ぎる政策立案とかが、全く無くなった。
 こんなに気色悪い事はない。
 そこに、ガス宰相の相談無しのマトの街への逃亡と、自分の国王の座を廃して新たな国王を立てるとか言い出した事だ。

 冷や汗が出る。
 自分の有用性とか、国王になっていて当たり前の功績が出ていないのが、原因なのか?

 ホビット達は、重症で今動けるは1000万兵士しかいない。
 6分の1にまで減った。
 自爆させたのは失敗だとは思えない。
 だが、その事で数が減ったのは痛い。
(ラッド国王や、皇帝や皇主達が民間人を無理矢理自爆させた事に、腹を立てているのは全く論外だとして、考えていない。)

 ブレーダー王女の動向を見ていた。
 部下から、疲労が溜まったとしてしばらく休暇を与えて政治をしないといけない状況にすれば、自ずと本性が出てくると言われても寝たフリをしたのだが。

 はじめに聞こえてきたのは、絶叫だ。
 そして、すぐに錬金術師達を回復させてポーションの製造を命令する。

 え?
 マトモ過ぎないか?
 いつもなら、教会から聖女をさらってこいとか言わないか?
 そんな、普通の対応になっていくブレーダー王女を見て、ガクブルするガス国王。
 こいつ、ある時期で俺を殺すつもりか?
 ガス国王は、寝室を抜け出して城の礼拝所に向かうと、フェイクに対してなんとかするように、いつもの司祭達がやっている事の真似をして拝みだしたのだった。

 それを、物陰からブレーダー王女本人が見ていたとは知らずに。
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