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第4章 お姫様達と黒の宮廷魔術師と、そいつらが使役したモノ達。 第2部 復讐の邪神vs フェイクROUND1

第25話 後始末は大変だ。3 実はキレたのではなく、逃げていた。

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 フェイクランドから、地球世界へと超高次元の海を渡る超行為な存在である、フェイクが上司と呼ぶ存在の部下が、悪態をついていた。

 「クソ!室長から様子を見てこい!なんて言われたから、あのバカ姫(フェイクの中の王女達の事)を見に行ったが、まさか分解していたとは。」

 焦げた右手に、神気を集めて回復させようとする上司の部下。
 どうやらこの言葉からわかることは、上司=室長というコトらしい。
 室長という事から、どこかの組織の一部なのか?よくわからない。
 おや?地球が見えて来ましたよ。

「ふ~。室長にどう報告したらいいのだ。
あの方はキレるだろうな~。
嫌だな~。会うのが憂鬱になる。」

 そんな愚痴を言いながら、本人は南米大陸のアルゼンチンにある地上絵を目指す。
 その地上絵に、実は南極大陸を指し示す矢印のものもあるのだが、その矢印直線方向の南米大陸と南極大陸との間の海の中間点に飛び込んでいった。
 海底地下秘密基地である。

 噂の室長
「やっと帰って来たか。どうだった?あのフロンダーパのお姫様がまた修行するのが嫌だ~とか、お湯を入れて3分でレベルアップ出来る食べ物が出来る不思議アイテムをくれとか言っているのか?!」

 なんと、フロンダーパ(フェイク主人格)が上司と呼んでいる、正確には室長と呼ばれる存在がそこにいた。

「室長!とんでもない事が起こっていました。あの執事長のセバスチャン7の奴が言っていた事よりも、事態は酷くなっていましたよ。」

噂の室長
「これの事か?俺もお前に様子を見に行くように言った後に、こいつを見つけて最近の事を聞いたのだが酷いな。」

 秘密基地の別の部屋に、縄で縛られて天井から吊り下げられたセバスチャン7がいた。
 執事長はフェイクから逃げ出したのだが、なんと地球でエジプトのピラミッド周辺で捕まっていたのだ。

「フロンダーパを主人格として、この天界第4特殊調査室が総力を上げて作り出した、
[多魂魄連結合体型・合成管理者神試作品1号フロンダーパ=フェイク]
が、その…信じられないことに魔力エンジンユニットとして縫い付けた[黒き魔導師カンターレ]の、1億次元以上の高次元製の拘束ユニットが破壊されて少し繋がりを残して分離してました。
 そして、他の補充的ユニットとして封印具で拘束していた、あのフロンターレの王妃とかフロンダーパの姉妹のクソ姫共が分離分解して各々勝手に動き出していたのですよ!」

噂の室長
「ハァ?なんだって!そんな事が…つまり、フロンダーパの精神状態がユルユルなのが原因で、他の王女達が好き勝手し始めたのでは無くて、封印具が破壊されていたのか!
 で?貴様は、何をしてきた?」

「なんとか、王女G達10人をとっ捕まえてフロンダーパに押し込んで、さらに力任せに押し込んで私の使える封印式で封印してきましたが、そんなに長く拘束できないでしょう。
 カンターレの奴には逃げられて、拘束することは無理でした。」

噂の室長
「チッ!使えないな!で?執事長セバスチャン7が言っていたのだが、フロンダーパに切り札として渡していた無限回廊の術を破った奴が出てきたのだって?
 そんな奴、アイツらぐらいしかいないだろう!」

「わかりませんでした。とりあえず天界に居るアイツらの一党の独特な波動は感じられませんでした。
 あと、その~、凶悪指名手配邪神のゴキブリ一族とか、イナゴ一党とか、フェイクランドにより集まってました。
 無理ですよ!あいつらに面と向かって戦うなんて、無理ですよ!」

 しかめっ面する室長と、泣きが入っているその部下と、ボコボコにされながら吊り下げられて聞いていたセバスチャン7。
 そう、この部下はフロンダーパ(フェイク主人格)の不甲斐なさにキレて怒ってフェイクランドから離れたのではなくて、あまりにフェイクを伴った自分たちの計画の進捗状況がひどかったので関わるのが嫌なのと、邪神達が集結していたので逃亡してきたのだ。

天界第4特殊調査室・室長
「おい!今から、日本の商業施設ビオンの店員に化けてヤツらの隙を探っている、管理者神のマイネを呼んでこい!ヤツにこの面倒くさいフロンダーパの対応をやらせよう!」

 天界第4特殊調査室の室長様は、実は人間時代のフェイクの中にいる王妃達と面識があって、苦手だ。すぐに部下に対応を放り投げる。

他の部下
「嫌ですよ!ヤツらに見つかると俺たちがぶっ殺される!」

 第4特殊調査室の者が恐れる[ヤツら]とは?

 ドーーン!
 南極を震源とする地震が起る。
 震度7を軽く超えている。無理矢理に日本式の震度表記するなら震度8超!震度9だ。
 既に旧ソビエト連邦が作り出した超水爆を超える爆発が南極大陸で何度もおこっている。
 そして、地球の固有振動を超える地震が何度も起こっているが、不思議と地球は壊れていないのと、津波とか起こっていない不自然さが、何者かの強力な加護に依って地球が一時的に保護されている事を示していて、なぜ天界第4特殊調査室という、泣く赤ん坊ですら発狂死するという恐怖の部署の存在が、こんな海底岩盤の地下に籠もっていたのかの理由が、なんとなくわかってきた執事長部下天使セバスチャン7は、ある嫌な予感に襲われる。

部下天使セバスチャン7
「ま、まさか!ヤツが!ヤツらが生きていたのか!」

室長
「大きな声を出すな!」
 キレた、室長達に八つ当たり的に再びボコボコにされてしまった執事長部下天使セバスチャン7であった。





 その頃、ガス国王達は隣の領のブース侯爵の領都の屋敷を急襲したが、逆に歓待されて豪華な食事をしていたが…。
 
ガス国王
「う!貴様!盛ったな!」

宰相
「な、なぜ!」

ブース侯爵
「当たり前だろう!このブサイクな顔に生まれた私や、娘に対しても分け隔てなく接してくれたラッド国王やスントー公爵一家を蔑ろにして、私達の派閥を苔にしてくれた貴様らを許すと思ったか!」

黒き魔導師カンターレ(ブレーダー王女)
「なぜ?アタイの料理に毒を入れなかった?」

勇者ゴン太
「俺の皿の料理にも、入ってないぞ。」

ブース侯爵
「カンターレ陛下には、恨みはありません。
ブレーダー王女にはありますが、もはや陛下に心を砕いて身体を提供して仕える身になっており、手を出すつもりはありません。
 勇者君は、大変なのだとわかります。
 我が家は、この世界に連れて来られた全勇者一人のひ孫に当たるですが、レベル1から本当に苦労した事と、騙されて元の世界に戻れなかった無念さと怒りを私達も受け継いでいます。
 敵対するつもりはありません。」

黒き魔導師カンターレ(ブレーダー王女)
「わかった。これは激痛だけを起こす塗り薬なのだが、バカ共(国王と宰相)に塗ってやれ。
 意味ある復讐であり理由があり分別をしっかり持っている以上、ガス国王と宰相に復讐することを許可する。
 ただ、アタイが今からこの世界に干渉するのに支障がないようにしろ。」

ブース侯爵
「は!ありがとうございます。」



 その夜…
 領都の処刑場にて、処刑では無いが激痛薬でのたうち回るガス国王と宰相が領民達にお披露目されたという。

 そして、それが何を意味するの段々とわかって来た領民達は、ガス王国崩壊予告と解釈したのと、ラッド国王の元に亡命する算段を始めた。
 それを見ていたガス王国貴族たちは、しかめっ面をしていた侯爵とかもいたが、鬱憤が少し晴れたように爽やかな顔になっていた貴族たちも多数いたのだった。
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