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闇の王国と光の魔物編

第六話 新貴族派と旧貴族派(2)

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 新貴族派と旧貴族派。
 そんな言葉が囁かれるようになって、いったいどれほど経っただろう。
 最大のきっかけは、やはりマガラニ同盟国との停戦条約が結ばれた二年近く前のことであるはず。
 しかし、それ以前から改革を求める王国内の動きはあった気がする。

 彼らが自分を新貴族と称するに対し、旧貴族とされる人間は自分たちが旧貴族などと決して言わない。というより、新貴族派が勝手に侮蔑として呼んでいるだけだったりする。

 その旧貴族派というのは、要するに古くから王宮で統治を行ってきた元老院と呼ばれる重鎮たち、つまりは古くから存在する名門貴族、中央貴族と称される者たちのことだった。
 当然王都で暮らし領地へは全くと言っていいほど帰らず、平民を差別し圧政を強い亜人を迫害する――という、アトール王国の典型的貴族と称される面々だ。

 対して新貴族派は、そんな彼らに属せない者たち――つまりは、田舎の方の貴族だったり何らかの理由で爵位を貰った歴史の浅い貴族だったり、王都にも住むことが許されず王宮での役職にも就けない、地方貴族と呼ばれる者たちだった。
 彼らは大概中央貴族より階級が低く扱われ、仮に何らかの武勲で伯爵や侯爵の地位を手にしたとしても、中央貴族の仲間入りは出来ない。階級としては同等としても、古くからある家とは別物として扱われ冷遇されるのだ。

 建国から五百年、そのような体制は誰もが当然と思っていたし、誰もが普通のことで気にもしなかったことだった――表面上は。
 だがその当然が、最近壊れつつあった。

 元より亜人差別の厳しいアトール王国だが、それでも亜人が多い地方というのはある。大抵圧政を強い力で服従させるのが王国貴族としてごく普通の対応だが、力の弱い地方貴族の場合はそれが出来ないことも多い。必然、彼らに対し寛大で融和的な政策をしないといけなくなる。

 しかもこの二十年近く、和平が結ばれた訳でもないが各国との戦争もあって小競り合い程度、大規模な戦争は無くなり、地方の反乱の類いもほとんど起こらなかった。平和になれば上がるのは出生率だ。人族も亜人も例外なく数を増やしてくる。

 数が増えれば、圧政を行う者たちへの反発心も大きくなる。王国での自分たちの地位向上を目論む勢力も増える。無論、そんなものは各地の軍団が潰しにかかるのだが、今回は事情少し違った。

 実は、各国との戦争が無くなったことで、第二から第四方面軍、つまり他国との防衛戦を張る地方方面軍の縮小が始まっていた。軍隊とは恐ろしいほどの金食い虫、魔物の被害は拡大しつつあるが、流石に多すぎて負担が大きすぎると言って、元老院たちは規模を下げることを決定したのだ。

 当たり前だが各地方軍を取り纏める辺境伯たちは猛反対した。しかし、元より辺境伯は王国で一定の地位があるものの中央貴族とは一段低く見られた上に、各国との戦争が減退し目立った活躍の場が消えた今逆らうのは難しかった。国からの予算がカットされ、軍は縮小を余儀なくされる。

 さて、金は減っても人手が必要なのは変わらない。止むなしということで、地方方面軍が求めたのは安く使える労働力、つまり仕事にあぶれた亜人たちだった。

 元より、飛行が可能な鳥人族や水中を自在に泳げる魚人族など、力や特別な能力を持つ亜人族は、特に地方方面軍では有用として軍に所属していることが少なくなかった。国王と王都を守護する近衛騎士団に亜人は絶対あり得ないが、地方方面軍では珍しくも無い。故に、亜人の登用を増やすのに抵抗はなかったろう。

 そうして地方方面軍で戦い、武勲を上げる亜人たちだったが――彼らは金だけで満足しなかった。

 というのも、地方方面軍ならば軍隊に入れて給金も貰え、重用されるのだが――亜人たちは、絶対に昇格だけは出来ない。
 せいぜいなれて尉官クラスの地位。前に第四方面軍の軍団長が亜人を佐官に据えて大騒ぎになったこともある。それだけ、亜人が軍で偉くなるというのは異常なのだ。

 かつて亜人の登用が一部に過ぎず、役目も限定されていた時期であれば、そのような扱いも表面上は許されていただろう。

 しかし、流石にあまりに増大してしまった地方方面軍の亜人たちは、いくら活躍しても地位も名誉も得られない現状に不満を訴え始めた。これが平時であればそのような不敬な発言をした者は処罰され終わっていたろうが、亜人の数が多くなりすぎた現在そんなことをすれば反乱すら起こしかねない。

 対処に困った各地方軍は、魔物退治で何名か特別優れた戦果を上げた物のみを選んで佐官に据えているようだが、それだけで満足するはずも無い。彼らが望んでいるのは、将軍クラスの地位――いや、軍団長の地位だ。

 とりあえず今は収まっているようだが、亜人たちの国内での出世を目論む野心は増える一方。王宮に巣くう中央貴族たちからの亜人登用を規制せよとの声にも責められ、各軍団長は板挟みとなっている、らしい。

 そして、その亜人たちの軍隊による地位向上と相まって、同じく野心を燃やす者たちがいた。
 同じく王国で冷遇されている、地方貴族たちだ。

 王都での要職に就いていないとはいえ、国防や治安維持など重要な仕事を担っているのは自分たちである。だというのに、冷遇と呼ぶべき扱いをされるのは許せない。我々の権利と地位をもっと保証しろという声が、高まっていったのだ。

 無論これはかなり危険な発言である。平時なら、家を取り潰しされるのが当たり前なくらいだ。

 だがそれは出来ない。仮に取り潰しということで軍を動員しようにも、地方貴族の領地は彼らと同調する亜人が所属する第二から第四方面軍の管轄なので、まず従わないだろう。従ったとしても余計に亜人たちの不満が溜まり反乱の可能性が上がるからだ。
 かといって手駒の第一方面軍を差し向ければ、管轄に侵入したとして各方面軍が機嫌を悪くする。そもそも不平不満があるのは地方方面軍とて一緒なのだ。彼らの不興を買う真似は出来なかった。

 故に対処法に困り、どうしようもないということで放置されていった結果、彼らは新貴族派を名乗り、アトール王国の改革を訴えるようになった。

 不当に差別されている亜人族の地位向上、地方貴族の権利の拡大、中央貴族のみに許される様々な特権や元老院への選出権など多岐にわたる。アトール王国という国を根本から変えようと訴えていた。

 平時ならば、こんな意見は握り潰されていたことだろう。しかし、アトール王国にもはやそれほどの力は無く、また訴える者はあまりに多すぎた。今や彼らの存在に、頭を悩ませるしか出来ない。

 それと、彼らを潰せない理由はもう一つあった。

   ***

「――ソロンに、王国を打倒して新しい国を作ろうという新貴族派が集まっているなんて話聞いたが、本当だったとはね」
「買い被りすぎだ。我々はそこまで好戦的な思想は持っていない。あくまで、今のこの国を憂いているだけだからな」

 ギリーの発言に、周囲の者たちも同意するような感覚らしかった。彼らとしては、自分たちは反動勢力ではなく、ただ不当に貶められている現状を改善したいだけと言いたいらしい。

「なるほど。しかし、新貴族派の方が、私のような根無し草に何のご用で?」
「――そうだな。単刀直入に言うべきだろう。君の力が欲しいのだよ」

 ほう? ととぼけた様子で聞き返す。

「君も知っているとおり、王都は今や滅ぶ危機にある。中央の連中はなんとか邪気溜まりを解決しようと躍起になっているが、もし解決できなければティマイオは放棄するしか無い。かといって、あいつらは自らの領地に逃げ帰りたくは無いだろう」
「そりゃ、何も無いような場所には帰りたくないでしょうね」

 失笑しつつそう発言する。

 王都住まいが貴族のステータスとして存在するアトール王国にとって、中央貴族たちの領地は蔑ろにされ空き地ぐらいしか無いなんて普通だ。王都で散々贅沢を享受してきた中央貴族たちが、今更そんな辺鄙な場所での生活を受け入れられるとは思えない。

「それに、いずれにしろ国の首都となる場所は必要だ。故に、その機能を果たせそうなソロンへ還都という話が持ち上がっている」
「その話のどこが問題なのですか? ソロンが王都として格上げされるのなら、ここにいる皆さんにとっても悪い話では無いと思いますが?」

 そう質問すると、ギリーはフッと笑い答えた。

「――彼らが、元々この地にいた我々のことを尊重すると思うかね?」
「――どうでしょうね」

 なんてそっぽを向いたものの、あり得ないだろうと思っていた。

 王族や大貴族の面々からすれば、単に嫌々別の場所に住むことにしただけだ。彼らからすれば田舎住まいを強いられただけ。特にソロンの市民の声を聞いたわけでも、新貴族派に同調したけでもない。新貴族派に取り入る必要も無い。というか、プライドから出来ないだろう。

 ならば、この街に、王族や大貴族の方々が新居を作る街から先住民たちは出て行って欲しいはずだ。

「つまり……王族たちはソロンに軍事侵攻する気だと?」
「まさか、最初からそこまではせんだろう。しかし、領主様には退去を命じるに違いない。当然、この街に住まう人間にもな。街の人間は反対するに違いないが――」
「それで暴動でも起きれば、却って軍隊を投入する理由が出来て好都合でしょうね」

 ギリーの発言を先に奪う。

 実は王国が新貴族派を叩き潰せないもう一つの理由がこれで、彼らは小さすぎて武力の類いを一切持っていなかった。地方方面軍も、正式に新貴族派と与したと公表したわけでは無い。そんなことをすれば事実上のクーデター宣言だ。

 だからこそ潰しづらかった。相手が訴えるだけで実力行使をしてこないからこそ、明確に抹殺する理由が作れない。でっち上げて拘束したとしても、数が多すぎて一つ二つ潰した程度では息の根を止めるのは無理だ。

 だがもし、ソロンで暴動でも起きれば新貴族派を反動勢力として定めて一気に取り締まることが出来る。このソロンをきっかけとして、大規模な粛正の口実を作れる可能性があった。

 新貴族派が一番懸念しているのはこれだろう。今回の還都から、王国が自分たちを滅ぼす算段をしていると思ったのだ。

 だからこそ、戦力を何より必要としている。これからソロンで起こる戦いを止めるか、この街を守るために。

「――グレイグ・アシュフォード侯爵も同様の判断なのですか?」
「勘違いするな。我々はあくまで我々の意思で行動しているに過ぎん。グレイグ様と関係があると思い込むのは邪推だ」
「そうですか」

 まあ建前だろう、とはレッドでも分かった。
 この街の、アシュフォード領の領主であるグレイグ・アシュフォード公爵がこの件と無関係とは到底思えない。何しろ、王国の一方的な還都によって住処を追い出されそうなのは彼自身なのだ。
 一応個人の意思ということにしておくのが、誰にとっても安全だからそうしているに違いない。レッドでもその程度は察せた。

「それで、私を雇い入れたいということですか」
「そうだ。お前の力はかなりのものだ。是非とも我々に助力して欲しい」
「なるほど。お話は分かりましたが――一つ聞いてよろしいですか?」
「なんだ?」

 そこで一度言葉を切って、レッドは尋ねる。

「仮に私一人雇ったところで、王国からの軍隊には勝てないと思いますが――他に使える手駒はあるので? まさか地方軍を買収したとか?」

 なんて質問を聞いたとき、周囲の面々は驚いていた。

 無理も無い。今殺気来たばかり奴が、そんな内面をずばっと迫るとは予想していなかったろう。一様に動揺を隠せていない。

 けれども、リーターであるギリーは平然とした様子で、ただ笑っていた。

「買いかぶりすぎるなと言ったはずだ。我々に、そのような事が出来る資金もコネも無いよ」
「ほう。てっきりティマイト五世の時のように、レムリー帝国の支援でもあると思いましたが」
「まさか。あの国にも我々にそんなことをする余裕はあるまい。飛躍しすぎだぞ」

 なんてにこやかに応じるギリーだったが、目は笑っていなかった。
 こちらを値踏みしているらしいが、実際に値踏みしているのはレッドたちの方だ。

(――どう思う、ジンメ)
(うーん……この様子だと、ホントにどこかの軍と結託してはなさそうだね。ま、今の段階でソロンを守るために軍を入れてもねえ)
(交易の中心地としてもか?)
(だとしても王国に反旗を翻す程じゃないってこと。地方方面軍も弱体化しているし、明確なメリットが無いと動かないでしょ。レムリー帝国なんかもっと理由無いよ。貿易の拠点なんか潰れてもちょっと不便になるだけさ)

 そうかと心の中で頷いた。ジンメの発言は正確であろう。王国と対立してまで各地の軍がソロンを守る可能性は低そうだった。
 だとすれば、なおさら違和感が大きかった。

 ――なら、どうしてこんな余裕なんだ?

 それが一番の違和感だった。
 仮に軍と結託しておらず、支援が何処からも来ないのなら、新貴族派はこの地に来た王族率いる軍隊に潰されるだけだろう。
 だというのに、目の前に居るギリーも他の面子も極めて余裕綽々だった。まさか、レッド一人や個人的に雇った冒険者の類いで戦いに勝てるとは思っていまい。

 となれば、考えられるのは一つしか無かった。

(――光の魔物、本当にこいつらが持ってるのか?)
(さあ? 伝説の魔物を制御するなんて、よっぽどのことがないと無理と思うけど)

 レッドは、前にジンメが話した光の魔物のことを思い出していた。

 不滅とも不死とも呼ばれる光の魔物。あらゆるものを焼き付くし、滅ぼし尽くすという、ベヒモスとも肩を並べる伝説の魔物。

 封印されていたその魔物が、このソロンの街へ秘密裏に運ばれたという話を聞きつけて、レッドたちはこの街へ訪れた。

 そして、本当に存在するとすれば、一番怪しいのはこいつら新貴族派だった。

 ――こいつら、本当に光の魔物を使って王国に反乱起こす気なのか?

 レッドは、その最悪の予想に震えるものを感じた。
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