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 ほどなくして、ルルーと婚約破棄したアレンは「占いの結果だからしょうがない」という体でメノウと婚約した。そして、青年が占った通り、人さらいにさらわれて、消息不明となった。

 王と王妃は息子を失ったことを悲しんだが、占いにそう出たのだから仕方がないと納得した。メノウ子爵令嬢も、占いのとおりにアレンを誘惑しただけなので、罪には問われない。

 仕方がないのだ。占いは絶対だ。占いのとおりにしなければ、ウラーナ王国は滅びるのだ。昔々から、そう決まっているし、事実、占いのとおりにしていれば、国は平和だった。

「あの、アレン王太子はどうなったのですか」

 ルルーは占術士の青年に呼ばれ、部屋を訪れた際、そう質問した。青年は微動だにせずベッドに腰かけていた。首だけルルーの方に向けると、

「さあ? 他の国のことは俺には分かりませんから。王太子……元王太子が今どこでどうなっているかは、知りようがありませんね」

 と、眉ひとつ動かさずそう言った。

「そうですか……」

 私とアレン王太子の婚約も、十年前の占いで決まったことだけれど、全てはアレン王太子をウラーナ王国から追い出して、国を守るという筋書きの一部だったということなのかしら。

 ルルーにはよく分からなかった。

「ルルー様。今日お呼びしたのは、また占いの結果が出て、それに貴方が関係しているからなんですよ」

 青年は無表情にそう言い放った。

「まあ、そうなんですの」

 どんな占いの結果が出たとしても、そのとおりにしなければ。この国で、占いは絶対だ。

 仕方ないことなのだ。



 終わり
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