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15 病院と薬
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青木の運転する車に乗って、香月たちは病院までやってきた。
連れてきてもらった病院は想像していたよりもとても小さく、一軒家のようだった。
香月たちが到着したことに気づいたのか、中から白衣を着た優しそうな年配の男性が出てきた。
「阿部先生。こちらがお話していた香月です」
「初めまして。香月です。よろしくお願いします」
「はい、こんにちは。中へどうぞ」
挨拶をした後、診察室に案内される。
外観だけでなく内側も病院という感じはなく、普通の部屋に机とベットが置かれているような診察室だったため、あまり緊張することもなく2人で先生の向かい側の椅子に座った。
そのまま、香月は先生から口を開けられたり、手首を触られたりと診察をされた。その後、注射で血を抜かれたり尿を取ったりと詳しい検査まで行った。最後に身長や体重まで測って、ようやく終わったが、終わるころには香月はヘトヘトになっていた。
「うーん。体重も軽すぎるし、軽い栄養失調だね。貧血とかもあったんじゃないかな?」
「……貧血ですか?分からないです……」
「そうかそうか。これからはご飯を1日3食しっかり食べるようにね」
「はい」
もしかしたら、これまで疲労でフラフラしていると思っていたのは、実は貧血だったのかもしれないと思ったが、睡眠不足など他にもいくつかの要因が思い当たり、実際はどれが原因だったのか分からなかった。
「昨日もらった香月君が使用していたという薬だけど、かなり粗悪なものだね。ずっと飲んでいたんだよね?」
そう言って先生が見せてきたのは、父親から貰っていた発情期を抑える薬だった。
自分が毎日飲んでいた薬がなぜ先生のもとにあるのか香月は不思議に思ったが、隣で一緒に話を聞いている彼は特に驚いた様子もなかったので、きっと彼が調べてくれるように頼んでくれたんだろうと納得した。
「はい。15歳の時からです」
「……発情期は今まできたことはないのかな?」
「1回もありません」
「うーん。そうか……」
香月が質問に答えた後、先生は険しい表情になった。
「香月君の体内にあるオメガホルモンのバランスが、薬で無理やり抑えられていたから、おかしくなってしまっているんだよ。薬を止めたら、自然に発情期が来てくれればいいんだけど……」
「発情期ですか?」
「うん。発情期は悪いことじゃないからね。アルファの彼もいるから大丈夫だと思うけど……とりあえず、香月君はこの薬は今後絶対に飲まないこと、何か体に異変があったら、すぐに彼か、言いにくかったら私でもいいから相談すること。分かったかな」
「はい。分かりました」
毎日飲んでいた薬がそんなに悪いものだったと知って、香月は辛くなった。あの父親が良い薬を渡してくれるはずがなかったのだ。
入院する必要はないけど、しっかりご飯を食べて睡眠をとるように、と先生に言われ2人は病院を後にした。
連れてきてもらった病院は想像していたよりもとても小さく、一軒家のようだった。
香月たちが到着したことに気づいたのか、中から白衣を着た優しそうな年配の男性が出てきた。
「阿部先生。こちらがお話していた香月です」
「初めまして。香月です。よろしくお願いします」
「はい、こんにちは。中へどうぞ」
挨拶をした後、診察室に案内される。
外観だけでなく内側も病院という感じはなく、普通の部屋に机とベットが置かれているような診察室だったため、あまり緊張することもなく2人で先生の向かい側の椅子に座った。
そのまま、香月は先生から口を開けられたり、手首を触られたりと診察をされた。その後、注射で血を抜かれたり尿を取ったりと詳しい検査まで行った。最後に身長や体重まで測って、ようやく終わったが、終わるころには香月はヘトヘトになっていた。
「うーん。体重も軽すぎるし、軽い栄養失調だね。貧血とかもあったんじゃないかな?」
「……貧血ですか?分からないです……」
「そうかそうか。これからはご飯を1日3食しっかり食べるようにね」
「はい」
もしかしたら、これまで疲労でフラフラしていると思っていたのは、実は貧血だったのかもしれないと思ったが、睡眠不足など他にもいくつかの要因が思い当たり、実際はどれが原因だったのか分からなかった。
「昨日もらった香月君が使用していたという薬だけど、かなり粗悪なものだね。ずっと飲んでいたんだよね?」
そう言って先生が見せてきたのは、父親から貰っていた発情期を抑える薬だった。
自分が毎日飲んでいた薬がなぜ先生のもとにあるのか香月は不思議に思ったが、隣で一緒に話を聞いている彼は特に驚いた様子もなかったので、きっと彼が調べてくれるように頼んでくれたんだろうと納得した。
「はい。15歳の時からです」
「……発情期は今まできたことはないのかな?」
「1回もありません」
「うーん。そうか……」
香月が質問に答えた後、先生は険しい表情になった。
「香月君の体内にあるオメガホルモンのバランスが、薬で無理やり抑えられていたから、おかしくなってしまっているんだよ。薬を止めたら、自然に発情期が来てくれればいいんだけど……」
「発情期ですか?」
「うん。発情期は悪いことじゃないからね。アルファの彼もいるから大丈夫だと思うけど……とりあえず、香月君はこの薬は今後絶対に飲まないこと、何か体に異変があったら、すぐに彼か、言いにくかったら私でもいいから相談すること。分かったかな」
「はい。分かりました」
毎日飲んでいた薬がそんなに悪いものだったと知って、香月は辛くなった。あの父親が良い薬を渡してくれるはずがなかったのだ。
入院する必要はないけど、しっかりご飯を食べて睡眠をとるように、と先生に言われ2人は病院を後にした。
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