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37 相談
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「クニー、やっぱり無理だ」
クニーに会いに行って、顔を見た瞬間、アレスの口からその言葉が飛び出した。
その言葉にクニーは何のことか分からなかったようで一度首を傾げた後、ニヤニヤと笑い出した。
「昨日、門のとこであんなに抱き合ってたのに、言えなかったんだ」
「そ、それは――」
見られていたことに恥ずかしくなったアレスは下を向いた。
昨日はルーカスが無事に戻ってきてくれて本当に安心した。雪山でのあの絶望が、奴らが襲いかかってきて、ルーカスが血を流し倒れたあの時のことが忘れられない。
今は万全の状態でルーカスが負けないと頭では分かっていても、それでも怖い。ルーカスを失ってしまうことを考えただけでも恐ろしい。
昨日はクニーとペッツァと一緒に話していたお陰で、色々と考え込むことがなくて良かった。もし家で1人だったら、アレスは確実に怖くなって震えてルーカスの帰りを待っていただろう。
「まあ、中に入りなよ!」
「――うん」
クニーの家に入り、クニーの向かい側に座って話を続ける。
「そんなに焦んなくてもいいんじゃない? まだ村に来てそこまで経ってないんだしさ。昨日はちょっと揶揄いすぎちゃったけど、2人の間に入ってくるような奴はこの村にはいないと思うよ!」
「そうかな……」
「うん! だって、どう見ても2人は番だもん。番じゃないですって言いふらさなかったら、勝手にみんな勘違いしていってくれるさ!」
番だと村の皆に思われるのは気恥ずかしいが、その方が安心できる。「うん」と頷いたアレスは、今後は誤解されていても解かないようにしようと決めた。
「あと、相談があって……」
「なになに?」
「この村でオレに何かできることないかなって」
アレスは早くこの村での役割が欲しかった。
ルーカスは狩りができるし、力も強い。この村でできることはたくさんあるだろう。現に、駆逐隊にも参加して村の役に立っている。しかし、アレスには狩りもできないし、空を飛ぶこともできない。今までは1人で生活していたので、自分の分の食料や日用品を確保できるだけでよかったが、この村では村の一員として迎え入れてもらっているので、アレスも何かの役に立ちたい。家まで提供してもらっているのに、何もせずにいるわけにはいかないと思い、クニーに相談しに来たのだ。
「えー、アレスは真面目すぎるよ! 大怪我してたんでしょ? 暫くはゆっくりしてていいのに」
「いや、そんな訳には」
「うーん、僕は集会所とか大きい場所の掃除を担当してるんだよね……アレスは何がいいかな? 何か得意なことある?」
得意なこと――急に言われても何も思いつかない。アレスは腕を組んで考え始めた。
「鳥人族は手先が器用って言われてるけど、他の種族とちゃんと比べたことがないから、分かんない」
「なるほどね、器用か――そう言えば、先生が助手的な人を探してたな。薬草の仕分けとかをしてくれる人いないかなって言ってたけど、どう?」
「え! 薬草の仕分けならできそう!」
「ほんと!? じゃあ、早速診療所に行こう!」
「うん」
薬草なら今まで集めていたし、見分けることもできそうだ。ようやくこの村でできそうなことが見つかって、アレスは安心し、嬉しくなった。
診療所へと向かうためにクニーの家から出ると、なんとそこにはルーカスが立っていた。
「あれ? ルーカス?」
「俺の用事が終わったから、迎えに来た」
「え、ありがとう!」
ルーカスにお礼を言うアレスの横で、何故かクニーが呆れた顔をして首を横に振った。
「実は、オレも村のために何かできることないかなって思ってクニーに相談したら、丁度診療所で人手が足りないみたいだから、今から行くとこだったんだ」
「アレスはまだ完治していないんだから、もう少しゆっくりしていても……」
「もう包帯も取れて血も出てないし、大丈夫だよ!」
ルーカスは心配なようだが、激しい動きをしなければ大丈夫だ。アレスが説得していると、クニーが呆れたように口を挟んできた。
「ちょっと、ここでイチャイチャしないでよ。あー僕もウルスに会いたくなっちゃった」
「え、別に……」
「はいはい、診療所に行くよ。ルーカスも心配なら着いてきなよ。どんな事するのか分かれば安心できるでしょ!」
「そうだな」
ウルスの名前を呼びながら頭の後ろで手を組み診療所へと向かい始めたクニーの後を、慌ててアレスとルーカスは追いかけた。
クニーに会いに行って、顔を見た瞬間、アレスの口からその言葉が飛び出した。
その言葉にクニーは何のことか分からなかったようで一度首を傾げた後、ニヤニヤと笑い出した。
「昨日、門のとこであんなに抱き合ってたのに、言えなかったんだ」
「そ、それは――」
見られていたことに恥ずかしくなったアレスは下を向いた。
昨日はルーカスが無事に戻ってきてくれて本当に安心した。雪山でのあの絶望が、奴らが襲いかかってきて、ルーカスが血を流し倒れたあの時のことが忘れられない。
今は万全の状態でルーカスが負けないと頭では分かっていても、それでも怖い。ルーカスを失ってしまうことを考えただけでも恐ろしい。
昨日はクニーとペッツァと一緒に話していたお陰で、色々と考え込むことがなくて良かった。もし家で1人だったら、アレスは確実に怖くなって震えてルーカスの帰りを待っていただろう。
「まあ、中に入りなよ!」
「――うん」
クニーの家に入り、クニーの向かい側に座って話を続ける。
「そんなに焦んなくてもいいんじゃない? まだ村に来てそこまで経ってないんだしさ。昨日はちょっと揶揄いすぎちゃったけど、2人の間に入ってくるような奴はこの村にはいないと思うよ!」
「そうかな……」
「うん! だって、どう見ても2人は番だもん。番じゃないですって言いふらさなかったら、勝手にみんな勘違いしていってくれるさ!」
番だと村の皆に思われるのは気恥ずかしいが、その方が安心できる。「うん」と頷いたアレスは、今後は誤解されていても解かないようにしようと決めた。
「あと、相談があって……」
「なになに?」
「この村でオレに何かできることないかなって」
アレスは早くこの村での役割が欲しかった。
ルーカスは狩りができるし、力も強い。この村でできることはたくさんあるだろう。現に、駆逐隊にも参加して村の役に立っている。しかし、アレスには狩りもできないし、空を飛ぶこともできない。今までは1人で生活していたので、自分の分の食料や日用品を確保できるだけでよかったが、この村では村の一員として迎え入れてもらっているので、アレスも何かの役に立ちたい。家まで提供してもらっているのに、何もせずにいるわけにはいかないと思い、クニーに相談しに来たのだ。
「えー、アレスは真面目すぎるよ! 大怪我してたんでしょ? 暫くはゆっくりしてていいのに」
「いや、そんな訳には」
「うーん、僕は集会所とか大きい場所の掃除を担当してるんだよね……アレスは何がいいかな? 何か得意なことある?」
得意なこと――急に言われても何も思いつかない。アレスは腕を組んで考え始めた。
「鳥人族は手先が器用って言われてるけど、他の種族とちゃんと比べたことがないから、分かんない」
「なるほどね、器用か――そう言えば、先生が助手的な人を探してたな。薬草の仕分けとかをしてくれる人いないかなって言ってたけど、どう?」
「え! 薬草の仕分けならできそう!」
「ほんと!? じゃあ、早速診療所に行こう!」
「うん」
薬草なら今まで集めていたし、見分けることもできそうだ。ようやくこの村でできそうなことが見つかって、アレスは安心し、嬉しくなった。
診療所へと向かうためにクニーの家から出ると、なんとそこにはルーカスが立っていた。
「あれ? ルーカス?」
「俺の用事が終わったから、迎えに来た」
「え、ありがとう!」
ルーカスにお礼を言うアレスの横で、何故かクニーが呆れた顔をして首を横に振った。
「実は、オレも村のために何かできることないかなって思ってクニーに相談したら、丁度診療所で人手が足りないみたいだから、今から行くとこだったんだ」
「アレスはまだ完治していないんだから、もう少しゆっくりしていても……」
「もう包帯も取れて血も出てないし、大丈夫だよ!」
ルーカスは心配なようだが、激しい動きをしなければ大丈夫だ。アレスが説得していると、クニーが呆れたように口を挟んできた。
「ちょっと、ここでイチャイチャしないでよ。あー僕もウルスに会いたくなっちゃった」
「え、別に……」
「はいはい、診療所に行くよ。ルーカスも心配なら着いてきなよ。どんな事するのか分かれば安心できるでしょ!」
「そうだな」
ウルスの名前を呼びながら頭の後ろで手を組み診療所へと向かい始めたクニーの後を、慌ててアレスとルーカスは追いかけた。
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