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64 大切な宝物!(最終話)
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ダイニングテーブルに虎太郎を抱きかかえたまま座った蓮は、虎太郎を膝の上に乗せた。テーブルの上には、虎太郎の料理が向かい側ではなく、蓮の物と同じ向きで置かれている。
「え、ここで食べていいんですか?」
「ポメの時みたいにされたかったんだろ? 食べさせてやろうか?」
「そこまではいいです!」
蓮の膝の上に乗せてもらうのはとても嬉しい。ただ、今の虎太郎はポメラニアンの時より重いので、長時間乗せてもらうと蓮は疲れてしまうだろう。そう思った虎太郎は、足を広げてもらい、その間に座ることにした。
「そこでいいのか?」
「はい! 逆に気になって、ゆっくり食べれなさそうです」
今日の朝ご飯改め、昼ご飯はハンバーガーだ。
ハンバーガーを手に取った虎太郎は、大きく口を開けてかぶりつく。レタスとトマトのさっぱり感と、挟まっている分厚いお肉のジューシーさがたまらない。バンズもフワフワだ。
一口目をしっかりと味わい、もう一口食べようと口を開けた瞬間、横からポテトが飛び出してきた。蓮が付け合わせのポテトを差し出してきたのだ。恥ずかしくなりながらも、虎太郎は口元へ差し出されたポテトを食べた。
「美味しいです」
「そうか。お前、昨夜より照れてないか?」
両手でハンバーガーを持ち、蓮の膝の間に座っているので、赤くなった顔を隠すことができない。虎太郎は照れ隠しにハンバーガーへと再度かぶりついた。
食べ終えた後、ソファへ運ばれた虎太郎は蓮に「少し待ってて」と言われたので大人しく座って待っていた。起きた時に感じていた体の違和感は、少し動いたおかげか楽になってきている。
ソファの端に置きっぱなしになっていた2体のぬいぐるみが何となく目に入り手に取る。壊れかけのライオンのぬいぐるみの『ガオくん』とイルカのぬいぐるみの『キューちゃん』だ。どちらも蓮にもらった大切な宝物だ。
「ライオンの方、まだ捨ててなかったのか……」
戻ってきた蓮がそう声をかけてきたので、虎太郎は慌てて言い返した。
「捨てないですよ! 蓮さんからもらった大切なものですから。勝手に捨てないでくださいね」
「ああ。――今日、大切な物がもう1つ増えるな」
「ん? ぬいぐるみ買ってきてくれたんですか?」
「いや、左手出してみろ」
そう言われた虎太郎は手のひらを上にして左手を差し出した。一体何を貰えるのだろうかとワクワクしていると、その手を取った蓮は虎太郎の手をひっくり返し、指に何かをはめてきた。
蓮が手を退けると銀色の指輪が輝いている。
左手の薬指だ。
虎太郎は思わず立ち上がった。
「――これ、これ、結婚指輪だ」
叫んだ虎太郎はたまらずに、リビングを駆け出す。体の違和感など、一瞬で吹き飛んだ。一周して元の場所に戻ってくると、一回転をして蓮に突撃した。
「ぼく、うれしい!!」
気持ちが高ぶった虎太郎はなんだか泣きそうだ。虎太郎をしっかり受け止めた蓮は背中に手を回し、虎太郎の額にキスを落とす。
「ポメ用ばかり上げてたからな。俺とお揃いだ」
虎太郎の目の前に掲げられた蓮の左手の薬指にも、虎太郎と同じ指輪がはめられている。光に反射してキラリと輝く指輪は、これまで見たことのあるどんな物よりも綺麗に輝いて見えた。
「首から下げれるようにチェーンもあるからな」
「ううん。もう、この指から絶対に取りません」
「そうか」
「はい!!」
蓮の顔を見た虎太郎は、半泣きになりながら笑った。
ずっとずっとつけていよう。蓮がくれた大切な大切な宝物だ。
(完)
※※※
最後までお読みいただきありがとうございました!
いいねやエール、感想など反応いただけますと嬉しいです。
近況ボード更新しています。
「え、ここで食べていいんですか?」
「ポメの時みたいにされたかったんだろ? 食べさせてやろうか?」
「そこまではいいです!」
蓮の膝の上に乗せてもらうのはとても嬉しい。ただ、今の虎太郎はポメラニアンの時より重いので、長時間乗せてもらうと蓮は疲れてしまうだろう。そう思った虎太郎は、足を広げてもらい、その間に座ることにした。
「そこでいいのか?」
「はい! 逆に気になって、ゆっくり食べれなさそうです」
今日の朝ご飯改め、昼ご飯はハンバーガーだ。
ハンバーガーを手に取った虎太郎は、大きく口を開けてかぶりつく。レタスとトマトのさっぱり感と、挟まっている分厚いお肉のジューシーさがたまらない。バンズもフワフワだ。
一口目をしっかりと味わい、もう一口食べようと口を開けた瞬間、横からポテトが飛び出してきた。蓮が付け合わせのポテトを差し出してきたのだ。恥ずかしくなりながらも、虎太郎は口元へ差し出されたポテトを食べた。
「美味しいです」
「そうか。お前、昨夜より照れてないか?」
両手でハンバーガーを持ち、蓮の膝の間に座っているので、赤くなった顔を隠すことができない。虎太郎は照れ隠しにハンバーガーへと再度かぶりついた。
食べ終えた後、ソファへ運ばれた虎太郎は蓮に「少し待ってて」と言われたので大人しく座って待っていた。起きた時に感じていた体の違和感は、少し動いたおかげか楽になってきている。
ソファの端に置きっぱなしになっていた2体のぬいぐるみが何となく目に入り手に取る。壊れかけのライオンのぬいぐるみの『ガオくん』とイルカのぬいぐるみの『キューちゃん』だ。どちらも蓮にもらった大切な宝物だ。
「ライオンの方、まだ捨ててなかったのか……」
戻ってきた蓮がそう声をかけてきたので、虎太郎は慌てて言い返した。
「捨てないですよ! 蓮さんからもらった大切なものですから。勝手に捨てないでくださいね」
「ああ。――今日、大切な物がもう1つ増えるな」
「ん? ぬいぐるみ買ってきてくれたんですか?」
「いや、左手出してみろ」
そう言われた虎太郎は手のひらを上にして左手を差し出した。一体何を貰えるのだろうかとワクワクしていると、その手を取った蓮は虎太郎の手をひっくり返し、指に何かをはめてきた。
蓮が手を退けると銀色の指輪が輝いている。
左手の薬指だ。
虎太郎は思わず立ち上がった。
「――これ、これ、結婚指輪だ」
叫んだ虎太郎はたまらずに、リビングを駆け出す。体の違和感など、一瞬で吹き飛んだ。一周して元の場所に戻ってくると、一回転をして蓮に突撃した。
「ぼく、うれしい!!」
気持ちが高ぶった虎太郎はなんだか泣きそうだ。虎太郎をしっかり受け止めた蓮は背中に手を回し、虎太郎の額にキスを落とす。
「ポメ用ばかり上げてたからな。俺とお揃いだ」
虎太郎の目の前に掲げられた蓮の左手の薬指にも、虎太郎と同じ指輪がはめられている。光に反射してキラリと輝く指輪は、これまで見たことのあるどんな物よりも綺麗に輝いて見えた。
「首から下げれるようにチェーンもあるからな」
「ううん。もう、この指から絶対に取りません」
「そうか」
「はい!!」
蓮の顔を見た虎太郎は、半泣きになりながら笑った。
ずっとずっとつけていよう。蓮がくれた大切な大切な宝物だ。
(完)
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