【完結】虎太郎君はポメラニアン!

結城れい

文字の大きさ
上 下
60 / 64

60 キスの先!

しおりを挟む
 講義を受け終わった虎太郎は急いでマンションまで帰ってきた。

 リビングは暗く、蓮はまだ仕事から帰ってきていないようだ。電気をつけることなく、リビングを通り過ぎた虎太郎は自分の部屋まで足早に向かう。部屋に入ると普段はかけない鍵までかけて、椅子に座った虎太郎はノートパソコンを開いた。
 
 図書館で読んでいたページの続きを読み進める。

 初めて知ることだった。キスのその先に、まさか男同士でも性行為ができるなんて。その方法はお尻に相手のモノをいれるのだ。

 蓮が虎太郎のお尻に指を入れたのは、これを行いたかったからだろう。虎太郎のお尻に蓮のアレをいれるなんて。昨夜触った蓮のモノを思い出す。とても大きくて熱かった。
 思い出して一度赤くなった虎太郎の顔は、見る見るうちに青くなった。

――あんなものを入れるなんてできない

 きっと虎太郎のお尻が裂けてしまうだろう。他の人はどうやって入れているのだろうか。
 虎太郎は更に検索をかけた。

 よく分からなかったが、少しずつ広げていけば入るようになるらしい。まさか、お尻がそんなに有能な部位だったなんて知らなかった。指で慣らしていき、徐々に指の本数を増やしていくと書いてある。いったい蓮のモノは指何本分なんだろうかと、虎太郎が思い出しながら自分の指を眺めていたら、部屋の扉がノックされた。

「虎太郎、帰ってるのか?」
「――あ、は、はい」

 ノートパソコンを閉じた虎太郎は鍵を開け扉を開いた。どうやら、調べるのに夢中になり、随分と時間が経ってしまっていたようだ。

「どこも明かりがついてないし、メッセージも帰ってこないから心配したぞ」
「え、メッセージ?」

 スマホを探すため振り返ると、ノートパソコンを取り出した後、机の横に放り出していたバッグが目に入る。中を探して、スマホを見つけると、蓮からメッセージが入っていた。

「すみません、気づいてなかったです」
「ああ、とりあえず飯食うぞ」
「はい!」

 言われて、とてもお腹が空いていたことに気がついた虎太郎は、蓮に続いてリビングへと向かった。

 今日の夕飯は野菜炒めだ。シャキシャキとした食感の野菜たちに少しピリ辛なタレが絡みあいとても美味しい。ご飯もどんどん進む。
 ご飯の後に食べるおやつは、アイスだ。先週蓮が買ってきてくれたもので、1日1個ずつ食べている。いろんな味の果物のアイスで昨日はいちご味を食べた。
 冷凍庫を開けると、残っているのはみかんとバナナだ。虎太郎はみかん味のアイスを取り出し、急いで冷凍庫を閉めた。
 スプーンを手に持ち、席へと戻る。多めにスプーンですくい取り、口の中へと運ぶ。とても冷たくて美味しい。みかんの甘さが口いっぱいに広がった。まるでみかんを1個丸ごと口に頬張ったようだ。果肉もゴロゴロと入っている。いくらでも食べられそうだ。

 アイスをすべて食べ終わった虎太郎に、蓮が話しかけてきた。

「ちょっと話そうか」
「はい!」

 きっと虎太郎が調べてきたことについてだろう。蓮に続いてソファへと移動する。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】僕の大事な魔王様

綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。 「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」 魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。 俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/11……完結 2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位 2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位 2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位 2023/09/21……連載開始

あと一度だけでもいいから君に会いたい

藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。 いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。 もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。 ※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

【完】三度目の死に戻りで、アーネスト・ストレリッツは生き残りを図る

112
BL
ダジュール王国の第一王子アーネストは既に二度、処刑されては、その三日前に戻るというのを繰り返している。三度目の今回こそ、処刑を免れたいと、見張りの兵士に声をかけると、その兵士も同じように三度目の人生を歩んでいた。 ★本編で出てこない世界観  男同士でも結婚でき、子供を産めます。その為、血統が重視されています。

偽りの僕を愛したのは

ぽんた
BL
自分にはもったいないと思えるほどの人と恋人のレイ。 彼はこの国の騎士団長、しかも侯爵家の三男で。 対して自分は親がいない平民。そしてある事情があって彼に隠し事をしていた。 それがバレたら彼のそばには居られなくなってしまう。 隠し事をする自分が卑しくて憎くて仕方ないけれど、彼を愛したからそれを突き通さなければ。 騎士団長✕訳あり平民

貧乏大学生がエリート商社マンに叶わぬ恋をしていたら、玉砕どころか溺愛された話

タタミ
BL
貧乏苦学生の巡は、同じシェアハウスに住むエリート商社マンの千明に片想いをしている。 叶わぬ恋だと思っていたが、千明にデートに誘われたことで、関係性が一変して……? エリート商社マンに溺愛される初心な大学生の物語。

処理中です...