51 / 64
51 でぃーぷきす!
しおりを挟む
「虎太郎、そろそろ寝るぞ」
「はーい」
最近では虎太郎も慣れてきたので、寝るときには人の姿のままだ。一緒に寝ると、お互いに抱き合うことができる。虎太郎は、ドキドキするが安心できるこの寝方がとても好きだ。
今日もいつものように一緒にベッドに上がり、横になる。
だた、1つだけいつもと違うことがあった。寝る前にはおやすみのキスをするが、そのキスがいつもと違ったのだ。
唇と唇が合わさった後、虎太郎がいつものように離れようとすると、蓮が虎太郎の後頭部を押さえて、そのまま続けてきた。
「――んんっ」
虎太郎が驚いているうちに、蓮の舌が虎太郎の唇を割って口の中まで入ってくる。そのまま蓮の舌が虎太郎の口内を探ってきた。虎太郎は必死に蓮の服を掴み耐える。今まで感じたことのない感触に、自分の舌をどうすればいいのか分からなかった虎太郎は固まるしかなかった。
しばらくの間固まっていたが、息が苦しくなってきたため虎太郎は蓮の胸を叩いて伝える。
虎太郎の訴えに蓮が、ようやく舌の動きを止めた。最後に虎太郎の下唇を軽く噛んで離れていく。
「――はっ、い、息が」
ようやく呼吸ができた虎太郎は大きく息を吸った。まるで運動をした後のように心臓がバクバクと音を立てている。
「鼻で息をするんだよ」
息を乱していない蓮が、虎太郎の鼻をつまみながら教えてくるが、虎太郎は息を整えることに必死でそれどころではなかった。
蓮は虎太郎の頭をなでた後、「先に寝てな」と虎太郎に布団をかけなおして寝室から出て行った。
キスにこんなに激しいものがあったなんて。落ち着いてきた虎太郎は、今さらながら恥ずかしくなった。蓮の舌が虎太郎の口の中で好き勝手に動いていた。まるで虎太郎の口内の形を探っているかのようだった。
虎太郎も蓮に対して同じようにしなければならなかったのだろうか。思い返してみても、どんな風にされていたのか、よく覚えていない。口を両手で抑えた虎太郎は、先程蓮に教えてもらったように鼻で息をした。蓮の顔があれほど近くにあると、虎太郎の鼻息がかかってしまうかもしれない、そう思った虎太郎は少しずつ鼻で息を吸って少しずつ出す練習を開始した。
布団を被って練習をしていると寝室のドアが開く音がしたため、虎太郎は急いで布団から頭を出した。
「起きてたか」
虎太郎が布団の端をめくると、隣に蓮が入ってくる。
「さっきの凄かったですね」
「ああ、ディープキスな」
「でぃーぷきす。僕、全然上手くできませんでした」
「練習すれば、そのうち慣れるさ」
「はい」
抱きしめられた虎太郎は、蓮の胸元に顔を埋めて寝る体勢に落ち着いた。
「……なあ」
「なんですか?」
「お前って、自慰とかしたことあるのか?」
「――え、もちろんありますよ! 僕だって男ですから」
「そっか」
「え、なんでですか?」
「いや、確認しときたかっただけだ」
一体蓮が何を確認したかったのか、よく分からなかった。ただ、何か考え込んでいる様子だったため、虎太郎は蓮の腕の中で大人しく眠った。
「はーい」
最近では虎太郎も慣れてきたので、寝るときには人の姿のままだ。一緒に寝ると、お互いに抱き合うことができる。虎太郎は、ドキドキするが安心できるこの寝方がとても好きだ。
今日もいつものように一緒にベッドに上がり、横になる。
だた、1つだけいつもと違うことがあった。寝る前にはおやすみのキスをするが、そのキスがいつもと違ったのだ。
唇と唇が合わさった後、虎太郎がいつものように離れようとすると、蓮が虎太郎の後頭部を押さえて、そのまま続けてきた。
「――んんっ」
虎太郎が驚いているうちに、蓮の舌が虎太郎の唇を割って口の中まで入ってくる。そのまま蓮の舌が虎太郎の口内を探ってきた。虎太郎は必死に蓮の服を掴み耐える。今まで感じたことのない感触に、自分の舌をどうすればいいのか分からなかった虎太郎は固まるしかなかった。
しばらくの間固まっていたが、息が苦しくなってきたため虎太郎は蓮の胸を叩いて伝える。
虎太郎の訴えに蓮が、ようやく舌の動きを止めた。最後に虎太郎の下唇を軽く噛んで離れていく。
「――はっ、い、息が」
ようやく呼吸ができた虎太郎は大きく息を吸った。まるで運動をした後のように心臓がバクバクと音を立てている。
「鼻で息をするんだよ」
息を乱していない蓮が、虎太郎の鼻をつまみながら教えてくるが、虎太郎は息を整えることに必死でそれどころではなかった。
蓮は虎太郎の頭をなでた後、「先に寝てな」と虎太郎に布団をかけなおして寝室から出て行った。
キスにこんなに激しいものがあったなんて。落ち着いてきた虎太郎は、今さらながら恥ずかしくなった。蓮の舌が虎太郎の口の中で好き勝手に動いていた。まるで虎太郎の口内の形を探っているかのようだった。
虎太郎も蓮に対して同じようにしなければならなかったのだろうか。思い返してみても、どんな風にされていたのか、よく覚えていない。口を両手で抑えた虎太郎は、先程蓮に教えてもらったように鼻で息をした。蓮の顔があれほど近くにあると、虎太郎の鼻息がかかってしまうかもしれない、そう思った虎太郎は少しずつ鼻で息を吸って少しずつ出す練習を開始した。
布団を被って練習をしていると寝室のドアが開く音がしたため、虎太郎は急いで布団から頭を出した。
「起きてたか」
虎太郎が布団の端をめくると、隣に蓮が入ってくる。
「さっきの凄かったですね」
「ああ、ディープキスな」
「でぃーぷきす。僕、全然上手くできませんでした」
「練習すれば、そのうち慣れるさ」
「はい」
抱きしめられた虎太郎は、蓮の胸元に顔を埋めて寝る体勢に落ち着いた。
「……なあ」
「なんですか?」
「お前って、自慰とかしたことあるのか?」
「――え、もちろんありますよ! 僕だって男ですから」
「そっか」
「え、なんでですか?」
「いや、確認しときたかっただけだ」
一体蓮が何を確認したかったのか、よく分からなかった。ただ、何か考え込んでいる様子だったため、虎太郎は蓮の腕の中で大人しく眠った。
98
お気に入りに追加
198
あなたにおすすめの小説
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~
戸森鈴子 tomori rinco
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。
そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。
そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。
あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。
自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。
エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。
お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!?
無自覚両片思いのほっこりBL。
前半~当て馬女の出現
後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話
予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。
サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。
アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。
完結保証!
このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。
※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。
幼い精霊を預けられたので、俺と主様が育ての父母になった件
雪玉 円記
BL
ハイマー辺境領主のグルシエス家に仕える、ディラン・サヘンドラ。
主である辺境伯グルシエス家三男、クリストファーと共に王立学園を卒業し、ハイマー領へと戻る。
その数日後、魔獣討伐のために騎士団と共に出撃したところ、幼い見た目の言葉を話せない子供を拾う。
リアンと名付けたその子供は、クリストファーの思惑でディランと彼を父母と認識してしまった。
個性豊かなグルシエス家、仕える面々、不思議な生き物たちに囲まれ、リアンはのびのびと暮らす。
ある日、世界的宗教であるマナ・ユリエ教の教団騎士であるエイギルがリアンを訪ねてきた。
リアンは次代の世界樹の精霊である。そのため、次のシンボルとして教団に居を移してほしい、と告げるエイギル。
だがリアンはそれを拒否する。リアンが嫌なら、と二人も支持する。
その判断が教皇アーシスの怒髪天をついてしまった。
数週間後、教団騎士団がハイマー辺境領邸を襲撃した。
ディランはリアンとクリストファーを守るため、リアンを迎えにきたエイギルと対峙する。
だが実力の差は大きく、ディランは斬り伏せられ、死の淵を彷徨う。
次に目が覚めた時、ディランはユグドラシルの元にいた。
ユグドラシルが用意したアフタヌーンティーを前に、意識が途絶えたあとのこと、自分とクリストファーの状態、リアンの決断、そして、何故自分とクリストファーがリアンの養親に選ばれたのかを聞かされる。
ユグドラシルに送り出され、意識が戻ったのは襲撃から数日後だった。
後日、リアンが拾ってきた不思議な生き物たちが実は四大元素の精霊たちであると知らされる。
彼らとグルシエス家中の協力を得て、ディランとクリストファーは鍛錬に励む。
一ヶ月後、ディランとクリスは四大精霊を伴い、教団本部がある隣国にいた。
ユグドラシルとリアンの意思を叶えるために。
そして、自分達を圧倒的戦闘力でねじ伏せたエイギルへのリベンジを果たすために──……。
※一部に流血を含む戦闘シーン、R-15程度のイチャイチャが含まれます。
※現在、改稿したものを順次投稿中です。
詳しくは最新の近況ボードをご覧ください。
トップアイドルα様は平凡βを運命にする
新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。
ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。
翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。
運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる