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45 恋人!
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「お前、その革靴……」
「ポメラニアンの時に、持ってきちゃって……後で玄関に戻しておきます」
「そこまでして、俺を行かせたくなかったのかよ」
「……うん」
諦めた虎太郎は素直に返事をした。蓮に隠しごとをしようとしたことが間違いだったのだ。
「なんだ、そんなに俺のことが好きなのかよ」
「――うん、好きです」
蓮が片足をベッドの上にあげ、膝に肘を置き、手のひらで顎を支えたまま虎太郎を見つめてくる。なんとも言えない雰囲気に虎太郎はドキドキしてきた。
「そうか、俺もお前のことが好きだよ」
「――え!?」
思いがけない言葉が蓮から出てきて、虎太郎は驚いた。驚き過ぎて、目も口も開きっぱなしだ。心臓がバクバクと音を立てる。蓮からそんなことを言われたのは初めてだ。冗談を言っているような雰囲気でもない。
「お互い好き同士なら、付き合うか」
「――え゛!?」
一体蓮が何を言っているのか、虎太郎には理解できなかった。開きっぱなしだった口を閉じて、一呼吸置いた虎太郎は蓮に尋ねた。
「男同士って付き合えるんですか?」
「ん? ああ、別に禁止されてないだろ」
「た、たしかに、そうかも……」
男同士で付き合う。虎太郎は生まれてから今まで考えたこともなかった。身近にいる人は基本的に男女で付き合っていたし、自分もいつか女性と付き合うのかな、と漠然と思っていた。確かに、『付き合うのは、必ず男女じゃなければいけません』なんて聞いたことはない。盲点だった。
いまいち状況が飲み込めていない虎太郎は、蓮に確認した。
「ぼ、僕たちが恋人になるってことですよね?」
「ああ」
蓮と虎太郎が恋人になる。虎太郎は混乱しながらも、言葉の意味を真剣に考えた。
蓮は虎太郎の事が好きだと言ってくれている。虎太郎も蓮のことが大好きだ。つまり、よく分かっていないが両想いという状態になっているのだ。
蓮と恋人になれば、虎太郎が蓮を独り占めできる。誰かが蓮と付き合うかもしれないと、怯えることもなくなる。何より、蓮に甘えることができるのではないだろうか。
恋人同士はお互いに甘えているイメージがある。いつもは恥ずかしいので、ポメラニアンになって甘えに行っているが、いつかは人のまま甘えたい。
恋人になる。それはとてもいいことのように思えた。
虎太郎がここ数日蓮に恋人ができたかもしれないと悩んでいたことが、すべて解決されるのだ。今までの言葉にできなかったモヤモヤは、きっと蓮が好きだから恋人になりたいという気持ちだったのだろう。男同士だったからその発想が出てこなかったのだ。
何度か頷いた後、虎太郎は蓮のほうを振り向いた。蓮はずっと虎太郎を見ていたようで、目が合う。
「僕たち、恋人です!」
大声で宣言した虎太郎に蓮は笑い声をあげる。
嬉しくてニコニコとしている虎太郎に蓮が顔を近づけてきて、お互いの唇が重なった。
唖然としている虎太郎に、顔を離した蓮が「恋人だな」と言ってきたため、虎太郎の顔は真っ赤になり、咄嗟に片手に持っていた蓮の革靴で顔を隠した。
「ポメラニアンの時に、持ってきちゃって……後で玄関に戻しておきます」
「そこまでして、俺を行かせたくなかったのかよ」
「……うん」
諦めた虎太郎は素直に返事をした。蓮に隠しごとをしようとしたことが間違いだったのだ。
「なんだ、そんなに俺のことが好きなのかよ」
「――うん、好きです」
蓮が片足をベッドの上にあげ、膝に肘を置き、手のひらで顎を支えたまま虎太郎を見つめてくる。なんとも言えない雰囲気に虎太郎はドキドキしてきた。
「そうか、俺もお前のことが好きだよ」
「――え!?」
思いがけない言葉が蓮から出てきて、虎太郎は驚いた。驚き過ぎて、目も口も開きっぱなしだ。心臓がバクバクと音を立てる。蓮からそんなことを言われたのは初めてだ。冗談を言っているような雰囲気でもない。
「お互い好き同士なら、付き合うか」
「――え゛!?」
一体蓮が何を言っているのか、虎太郎には理解できなかった。開きっぱなしだった口を閉じて、一呼吸置いた虎太郎は蓮に尋ねた。
「男同士って付き合えるんですか?」
「ん? ああ、別に禁止されてないだろ」
「た、たしかに、そうかも……」
男同士で付き合う。虎太郎は生まれてから今まで考えたこともなかった。身近にいる人は基本的に男女で付き合っていたし、自分もいつか女性と付き合うのかな、と漠然と思っていた。確かに、『付き合うのは、必ず男女じゃなければいけません』なんて聞いたことはない。盲点だった。
いまいち状況が飲み込めていない虎太郎は、蓮に確認した。
「ぼ、僕たちが恋人になるってことですよね?」
「ああ」
蓮と虎太郎が恋人になる。虎太郎は混乱しながらも、言葉の意味を真剣に考えた。
蓮は虎太郎の事が好きだと言ってくれている。虎太郎も蓮のことが大好きだ。つまり、よく分かっていないが両想いという状態になっているのだ。
蓮と恋人になれば、虎太郎が蓮を独り占めできる。誰かが蓮と付き合うかもしれないと、怯えることもなくなる。何より、蓮に甘えることができるのではないだろうか。
恋人同士はお互いに甘えているイメージがある。いつもは恥ずかしいので、ポメラニアンになって甘えに行っているが、いつかは人のまま甘えたい。
恋人になる。それはとてもいいことのように思えた。
虎太郎がここ数日蓮に恋人ができたかもしれないと悩んでいたことが、すべて解決されるのだ。今までの言葉にできなかったモヤモヤは、きっと蓮が好きだから恋人になりたいという気持ちだったのだろう。男同士だったからその発想が出てこなかったのだ。
何度か頷いた後、虎太郎は蓮のほうを振り向いた。蓮はずっと虎太郎を見ていたようで、目が合う。
「僕たち、恋人です!」
大声で宣言した虎太郎に蓮は笑い声をあげる。
嬉しくてニコニコとしている虎太郎に蓮が顔を近づけてきて、お互いの唇が重なった。
唖然としている虎太郎に、顔を離した蓮が「恋人だな」と言ってきたため、虎太郎の顔は真っ赤になり、咄嗟に片手に持っていた蓮の革靴で顔を隠した。
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