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13 大学
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虎太郎は、夏季休暇も終わり大学も始まっていたため、ひとまず大学の友達に相談してみることにした。
熊田明人と馬場陽平の2人は、虎太郎が都会に出てきて初めてできた友達だ。
同じ学部で、入学ガイダンスの時に知り合ってから仲良くなった。2人とも髪の毛を金色に染めていてピアスをつけていたため、見かけはとても怖い。虎太郎は最初2人を見かけたとき、怖くて自分からは話しかけられなかった。ただ、ガイダンスで近くの席に座っていたため、2人から話しかけられたのだ。虎太郎が恐る恐る返事を返してみると、まったく怖くなく、むしろとても優しかった。
都会に出てきて右も左も分かっていなかった虎太郎に対して、馬鹿にせずに色々と教えてくれたのだ。そこから2人と仲良くなり、同じ講義を取っている際は一緒に受けたり、お昼ご飯を一緒に食べたりするようになったのだ。
2人は高校からの友達で現在はルームシェアをしており、虎太郎も何度か2人の部屋に遊びに行ったことがある。
「おはよう、虎太郎」
「おはよう熊田君。あれ、馬場君は?」
講義室で虎太郎がいつもの席に座っていると、金髪頭で背の高い熊田が1人でやってきた。
「何度起こしても起きなかったから、置いてきた」
「ふふっ、馬場君はいっつも起きれないね。プリント取っといてあげよう」
「いい、いい。虎太郎が甘やかすと、あいつ余計起きなくなるから」
隣に座りながら、熊田が呆れたように言ってきた。馬場はゲームが大好きで、よく朝方までオンラインゲームで遊んでおり、朝に余裕をもって起きることができないのだ。今日のように1限目の講義がある日は、遅れてくるか時間ギリギリで滑り込んでくることが多い。
「やばいやばい、遅れたわ」
講義の途中で後ろの扉からこっそりと入ってきた馬場は、こそこそと席に着いた後、そのまま机に伏せて寝てしまった。隣に座っていた虎太郎が起こそうとして何度か指でつついたが、まったく起きることなく講義が終わってしまう。
「馬場君、起きて! もう講義終わったよ!」
講義が終わって人がいなくなっても眠り続けている馬場を両手でゆすりながら、虎太郎は声をかける。
「……ううん。起きてる」
目を閉じたまま小さな声で返事を返してくる馬場の頭を、熊田が勢いよく叩いた。
「いってぇ!!」
「さっさと起きろや」
後頭部をさすりながら体を起こした馬場はむくれながら、「叩くことないだろ」と文句を言っていたが、熊田に睨まれて口を閉ざした。
「虎太郎。こいつは置いて先に昼飯行こうぜ。いまなら食堂も空いているだろうし」
「うん! ご飯行こう!」
「まってまって。ごめんって」
カバンを持って講義室を出ていく2人を、馬場が慌てて追いかけてきた。
熊田明人と馬場陽平の2人は、虎太郎が都会に出てきて初めてできた友達だ。
同じ学部で、入学ガイダンスの時に知り合ってから仲良くなった。2人とも髪の毛を金色に染めていてピアスをつけていたため、見かけはとても怖い。虎太郎は最初2人を見かけたとき、怖くて自分からは話しかけられなかった。ただ、ガイダンスで近くの席に座っていたため、2人から話しかけられたのだ。虎太郎が恐る恐る返事を返してみると、まったく怖くなく、むしろとても優しかった。
都会に出てきて右も左も分かっていなかった虎太郎に対して、馬鹿にせずに色々と教えてくれたのだ。そこから2人と仲良くなり、同じ講義を取っている際は一緒に受けたり、お昼ご飯を一緒に食べたりするようになったのだ。
2人は高校からの友達で現在はルームシェアをしており、虎太郎も何度か2人の部屋に遊びに行ったことがある。
「おはよう、虎太郎」
「おはよう熊田君。あれ、馬場君は?」
講義室で虎太郎がいつもの席に座っていると、金髪頭で背の高い熊田が1人でやってきた。
「何度起こしても起きなかったから、置いてきた」
「ふふっ、馬場君はいっつも起きれないね。プリント取っといてあげよう」
「いい、いい。虎太郎が甘やかすと、あいつ余計起きなくなるから」
隣に座りながら、熊田が呆れたように言ってきた。馬場はゲームが大好きで、よく朝方までオンラインゲームで遊んでおり、朝に余裕をもって起きることができないのだ。今日のように1限目の講義がある日は、遅れてくるか時間ギリギリで滑り込んでくることが多い。
「やばいやばい、遅れたわ」
講義の途中で後ろの扉からこっそりと入ってきた馬場は、こそこそと席に着いた後、そのまま机に伏せて寝てしまった。隣に座っていた虎太郎が起こそうとして何度か指でつついたが、まったく起きることなく講義が終わってしまう。
「馬場君、起きて! もう講義終わったよ!」
講義が終わって人がいなくなっても眠り続けている馬場を両手でゆすりながら、虎太郎は声をかける。
「……ううん。起きてる」
目を閉じたまま小さな声で返事を返してくる馬場の頭を、熊田が勢いよく叩いた。
「いってぇ!!」
「さっさと起きろや」
後頭部をさすりながら体を起こした馬場はむくれながら、「叩くことないだろ」と文句を言っていたが、熊田に睨まれて口を閉ざした。
「虎太郎。こいつは置いて先に昼飯行こうぜ。いまなら食堂も空いているだろうし」
「うん! ご飯行こう!」
「まってまって。ごめんって」
カバンを持って講義室を出ていく2人を、馬場が慌てて追いかけてきた。
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