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幕間②

閑話 ソフィーの一日(後編)

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「この前話していたのことだけど、言乃花さんに聞いたら一緒にお話してくれるって!」
「ほんと? やったー! その話を聞けるのはものすっごく楽しみだよっ!」
「よかった。あ! もう午後の授業が終わる時間になっちゃった」

 二人が話し込んでいると午後の授業を終える鐘の音が学園に鳴り響く。

「ほんとだ! いっぱい話していたから時間が経つのはあっという間だね。ソフィーちゃんはこれからどうするの?」
「メイたちと一緒にお菓子作るよ! いつかしーちゃんにも食べてもらいたいな。私のクッキーをみんなが美味しいって言ってくれるの」
「うわ、いいなー。あたしもクッキー食べてみたいよ! あーあ、あたしも学園に行けたら……おっと、そろそろ寝ないと母さんに怒られちゃうよ。じゃあソフィーちゃん、またねー」

 通話を終えると急いでタブレットを片付け、メイと冬夜の教室へ急ぐソフィー。
 その頃のしーちゃんはベッドの上に寝転がったままニヤニヤしていた。そのままジタバタと悶え始める。

「ふふふ、迷宮ラビリンス図書館ライブラリかー。そんな面白いところ探検しないわけにはいかないよね! あーあ、行ってみたいなー。魔法使いがいるんだから、パパッと魔法で移動させてくれないかなー。もー!」

 思わず勢いよく部屋の壁を蹴りつけてしまい、鬼の形相でドアを開けた母さんにお説教をくらうのはまた別のお話。


「ソフィーちゃん、今日も可愛い! 気を付けてね」
「きゃーソフィーちゃんに会えた! きっといいことがあるわ!」
 ソフィーが急いでメイ達の教室へ向かっていると、行く先々で授業を終えた生徒達から声をかけられる。

「ソフィーちゃんがメイさんの教室方向に現在向かっていると……会長に報告を」

(この学園の人達は本当に優しい人ばかりで本当に毎日が楽しい。みんなのためにも、もっと頑張らなきゃ!)

 やがて見慣れた教室が見えてきた。入口にはもう冬夜とメイが立っており、ソフィーが来るのを待ってくれている。

「遅れちゃってごめんなさい」
「大丈夫だ。ちょうど終わったところだから。お菓子作りをするんだろ? 早く行こうぜ!」

 三人で仲良く寮まで帰ると、部屋に荷物を置きいつもの食堂に集合する。すると、中で人影がせわしなく動いているのが見える。

「ソフィーちゃん、待っていたわ。もう準備はできているから大丈夫よ」
「なんで俺たちより先にいるんだよ、リーゼ……は良かったのか?」
「会議? どうせ誰も集まらないから中止よ、中止」

 涼しい顔でサラッととんでもないことを言うリーゼ。その時、入口からが入ってくる。

「いつになったのかしら?」
「え、いや、あの、それは……ほら、今日はアレだし……」
「大丈夫よ、芹澤ならさっきレイスが捕まえてきたから。今日はから安心してね」
「ちょっと、待って……」

 無言で引きずる言乃花と対照的なリーゼ。
『ソフィーちゃんのお菓子が……!』と悲痛な叫び声が廊下に響き、遠ざかっていく。

「リーゼさん大丈夫かな?」
「あとでできたお菓子を届けてあげようね!」

 数時間後、うまく焼きあがったクッキーをお皿に並べていると、げっそりとした顔のリーゼが食堂に入ってきた。そして焼き上がったばかりでまだ温かいお菓子を目にした途端、涙を流しながら口いっぱいに頬張る。その様子に大きなため息をつき、頭を抱える言乃花と、そんなリーゼに困惑するソフィー。あわただしくも楽しい午後の時間はこうして過ぎていくのであった。

 夜も更けたころ、机に向かい一生懸命手紙を書くソフィーの姿があった。

「ソフィーはがんばり屋さんだね。誰にお手紙書いているの?」
「あのね、うさみちゃんっていうぬいぐるみのうさぎさんに書いてるの。お友達のために探し物をしながら冒険しているんだって」
「そうなんだ。探し物がみつかるといいね」
「うん! きっと見つかるよ!」

 手紙を書き終えたソフィーは、かわいいピンクの封筒にいれ、イチゴのショルダーバッグに大切そうにしまうと、ほっとしたのか大きなあくびする。

「今日も一日お疲れ様。そろそろ寝ようか?」
「うん。また明日も頑張らないと。おやすみなさい、メイ」

 こうしてソフィーの一日が幕を閉じる。
 明日も素敵な一日になりますように……。


 うさみちゃんへ

 こんにちは。ソフィーです。
 冒険は楽しいですか? 私はこの学園の外のことはよくわからないのでうさみちゃんのお話がすごく楽しみです。
 今日はみんなに手伝ってもらってクッキーを焼いてみました。上手くできたから、今度は一人で挑戦してみようと思います。
 いつか、うさみちゃんのところにも遊びに行きたいです。その時は、メイや大切なお友達と一緒に行きたいな。
 うさみちゃんにも学園に遊びに来てほしいです。

 ソフィーより
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