125 / 171
だから、わたしの手をとって2
しおりを挟む
ゴルド・ガンモールはエンシェントドワーフである
齢は96歳になる
先祖返りと呼ばれたその身体能力はとてつもないものであった
火と、土の属性。それらがありえない程の適性を見せたのだ
そして彼は未だ全盛期と言って差し支えない
30年ほど前、アイエテスと、クナト、そしてアイエテスの妻となる王女と共にパーティを組んでいた
ウルグイン最強のパーティと呼ばれ、ウルグインのダンジョン50階層を攻略していた当時のトップパーティと呼ばれていた
そんな彼らが解散に至った理由は至極簡単で、アイエテスと王女の結婚と王位継承である
当然冒険者は引退となった
そして、それ以降にゴルドも引退し、結婚して子を儲け
死の危険の少ない炭鉱にて働いて行くようになった
さらに今ではその役目は息子に譲っている
それはもう全く問題もなく
ゴルドは長く伸びた髭を三つ編みにして、頭にはトゲの着いた鉄兜をピタリと嵌めている
鎖帷子を着込み、その背には大きな斧を背負う姿は戦うドワーフの正装である
そしてゴルドがアイエテスが言う修行の旅に同行したのも、まだ息子を見返したいとの想いがあってこそであった
それを見越した訳では無いが、アイエテスは彼が必ず同行すると思っていたからこそ誘ったのである
数十年ぶりとはいえその信頼は揺るぐことが無かったのことである
さて、グレンから聞かされた隠されたダンジョンであるがウルグインの広大な敷地のその一番端にあった
そこは…アイエテスが知らざる土地であった
「なんじゃあ、ここは…人が住んどらんのか?」
「どうやらそのようだな」
「お主、この国治めとったんじゃろ?知らんのか?」
「うぬ…だとしても知らぬことはある」
二人の会話から分かるように、そこは廃墟であった
その全てが石で作られており屋根は木材などで作られていたのか既に朽ち果て何も残っておらず、四角い壁の枠組みだけが残っている
それが幾つも残っているのに、まともな家などどれ一つとして無い
「ここはダンジョンからも遠いからな…廃れたのかもしれん」
アイエテスはそう呟いたが
「何言ってる。ウルグインの人口は100万もいるのだぞ?しかもここは街を覆う城壁内部だ。外部に人が溢れ出る程の人数が住んでいるのに、ここがぽっかりと人が住んでいない理由にはならんだろう?」
ふむ、とアイエテスは考えて何か原因があるとすればダンジョンだろうと予測を立てる
しかしそれは隠されているはずであり、害があるなどとも聞いたことが無かったのだが
ぴくり、とゴルドが動きを止める
「おい、坊主、何かいるぞ」
何かと称したのはそれが微かに動いた気がしたからだ
「まったく、モンスターなどいるわけではないだろうに」
アイエテスはそれでも警戒をする。それはゴルドを信用しているからだ
何度それでダンジョンで危機を回避してきたか
思い出してにやりと笑ってしまう
血が、踊る
しかしその先にあったものは二人の予想外のものだった
元民家であろうその石壁の向こう側に居たのは子供であった
そして、倒れ動かない。横たわるその子の傍にアイエテスはしゃがみ込んで言った
「おい、大丈夫か?」
息はしているようだった、わずかに揺れる体がそれを示している
年の頃は6.7歳と言ったところだろうか?さほど体が大きくはない
長くぼさぼさに伸びた髪、服もボロボロで何も履いていないその足は傷だらけであり、爪すらボロボロに割れている
「ゴルド」
「ああ、テントを張る。それと湯を沸かそう」
二人の動きは数十年ぶりとも思えないほどにてきぱきとしたものだった
体が覚えて居るとはこのことだろうか
当時は命のかかったダンジョンの中でやっていた作業である
要救助者を見つける事も多かった
そしてそれが仲間であることもある
だからこそこの作業は体にしみ込んでいる
いかに平和に過ごそうと、それはもう血肉となっているのだ
「さて、どうじゃな?」
「怪我は擦り傷、深い怪我がない。あとはまぁ、単に食っていないだけだろう」
「そのようじゃな。ガリガリだの、孤児だろう」
「孤児か…」
「ここは冒険者の街じゃ、ダンジョンで命を落とす者も多い…まぁ最近は減っておるようじゃがの。それでもそういう者が居なくなったわけではない」
それは宿命とも言える
安全な所ではないのはアイエテスもよく知っているからだ
潜ったまま持ってこない冒険者
それ自体、珍しいものではない。そして自己責任だ。誰も補償などしてはくれない
だからこそ彼らは豪快に金を使う。儲けた金を惜しみなく
しかし、それに残される者もいる
家族だ
中には両親が二人とも冒険者だった場合などもあるだろう
その場合は子供だけが残され、孤児院などに保護される
孤児院はギルトと国が運営しているが…もし、そこに保護されなかった子供がいるとしたら?
「それがこの子、と言うわけか?」
「その可能性があると言っただけだ」
ぱちぱちと火花の散る即席の石積み焜炉を取り囲み、アイエテスとゴルドが話している
子供を保護し、傷の手当を行ってまだ起きない子供を見守る
「傷薬は良く効いているようじゃな、どこのかは知らんが物凄い効き目じゃ」
その傷薬はルシータから貰ったものである
原材料は、言うまでもなくカンザキが持ち帰ったものから作られている
命さえ繋がっていれば、全ての傷を治し四肢の欠損ですら復活する奇跡の薬なのである
しかしながら治せるのは傷のみである
不足した栄養までは補う事ができない
まぁそれは別の食べ物や飲み物があるのだが…
今はそれはない、だから食事にて栄養を補給しなければならない
「ん…あれ?」
寝込んでいた子供が目をゆっくりと覚ます
「起きたのか?」
話しかけられたのがわからないのか、それが聞こえていない
「おい、お前、いや、お嬢ちゃん、か?聞こえているか?」
声を荒げるアイエテスとその子の目と目が合う
そして、子供はにっこりと笑って言った
「おかえり…おとう、さん」
齢は96歳になる
先祖返りと呼ばれたその身体能力はとてつもないものであった
火と、土の属性。それらがありえない程の適性を見せたのだ
そして彼は未だ全盛期と言って差し支えない
30年ほど前、アイエテスと、クナト、そしてアイエテスの妻となる王女と共にパーティを組んでいた
ウルグイン最強のパーティと呼ばれ、ウルグインのダンジョン50階層を攻略していた当時のトップパーティと呼ばれていた
そんな彼らが解散に至った理由は至極簡単で、アイエテスと王女の結婚と王位継承である
当然冒険者は引退となった
そして、それ以降にゴルドも引退し、結婚して子を儲け
死の危険の少ない炭鉱にて働いて行くようになった
さらに今ではその役目は息子に譲っている
それはもう全く問題もなく
ゴルドは長く伸びた髭を三つ編みにして、頭にはトゲの着いた鉄兜をピタリと嵌めている
鎖帷子を着込み、その背には大きな斧を背負う姿は戦うドワーフの正装である
そしてゴルドがアイエテスが言う修行の旅に同行したのも、まだ息子を見返したいとの想いがあってこそであった
それを見越した訳では無いが、アイエテスは彼が必ず同行すると思っていたからこそ誘ったのである
数十年ぶりとはいえその信頼は揺るぐことが無かったのことである
さて、グレンから聞かされた隠されたダンジョンであるがウルグインの広大な敷地のその一番端にあった
そこは…アイエテスが知らざる土地であった
「なんじゃあ、ここは…人が住んどらんのか?」
「どうやらそのようだな」
「お主、この国治めとったんじゃろ?知らんのか?」
「うぬ…だとしても知らぬことはある」
二人の会話から分かるように、そこは廃墟であった
その全てが石で作られており屋根は木材などで作られていたのか既に朽ち果て何も残っておらず、四角い壁の枠組みだけが残っている
それが幾つも残っているのに、まともな家などどれ一つとして無い
「ここはダンジョンからも遠いからな…廃れたのかもしれん」
アイエテスはそう呟いたが
「何言ってる。ウルグインの人口は100万もいるのだぞ?しかもここは街を覆う城壁内部だ。外部に人が溢れ出る程の人数が住んでいるのに、ここがぽっかりと人が住んでいない理由にはならんだろう?」
ふむ、とアイエテスは考えて何か原因があるとすればダンジョンだろうと予測を立てる
しかしそれは隠されているはずであり、害があるなどとも聞いたことが無かったのだが
ぴくり、とゴルドが動きを止める
「おい、坊主、何かいるぞ」
何かと称したのはそれが微かに動いた気がしたからだ
「まったく、モンスターなどいるわけではないだろうに」
アイエテスはそれでも警戒をする。それはゴルドを信用しているからだ
何度それでダンジョンで危機を回避してきたか
思い出してにやりと笑ってしまう
血が、踊る
しかしその先にあったものは二人の予想外のものだった
元民家であろうその石壁の向こう側に居たのは子供であった
そして、倒れ動かない。横たわるその子の傍にアイエテスはしゃがみ込んで言った
「おい、大丈夫か?」
息はしているようだった、わずかに揺れる体がそれを示している
年の頃は6.7歳と言ったところだろうか?さほど体が大きくはない
長くぼさぼさに伸びた髪、服もボロボロで何も履いていないその足は傷だらけであり、爪すらボロボロに割れている
「ゴルド」
「ああ、テントを張る。それと湯を沸かそう」
二人の動きは数十年ぶりとも思えないほどにてきぱきとしたものだった
体が覚えて居るとはこのことだろうか
当時は命のかかったダンジョンの中でやっていた作業である
要救助者を見つける事も多かった
そしてそれが仲間であることもある
だからこそこの作業は体にしみ込んでいる
いかに平和に過ごそうと、それはもう血肉となっているのだ
「さて、どうじゃな?」
「怪我は擦り傷、深い怪我がない。あとはまぁ、単に食っていないだけだろう」
「そのようじゃな。ガリガリだの、孤児だろう」
「孤児か…」
「ここは冒険者の街じゃ、ダンジョンで命を落とす者も多い…まぁ最近は減っておるようじゃがの。それでもそういう者が居なくなったわけではない」
それは宿命とも言える
安全な所ではないのはアイエテスもよく知っているからだ
潜ったまま持ってこない冒険者
それ自体、珍しいものではない。そして自己責任だ。誰も補償などしてはくれない
だからこそ彼らは豪快に金を使う。儲けた金を惜しみなく
しかし、それに残される者もいる
家族だ
中には両親が二人とも冒険者だった場合などもあるだろう
その場合は子供だけが残され、孤児院などに保護される
孤児院はギルトと国が運営しているが…もし、そこに保護されなかった子供がいるとしたら?
「それがこの子、と言うわけか?」
「その可能性があると言っただけだ」
ぱちぱちと火花の散る即席の石積み焜炉を取り囲み、アイエテスとゴルドが話している
子供を保護し、傷の手当を行ってまだ起きない子供を見守る
「傷薬は良く効いているようじゃな、どこのかは知らんが物凄い効き目じゃ」
その傷薬はルシータから貰ったものである
原材料は、言うまでもなくカンザキが持ち帰ったものから作られている
命さえ繋がっていれば、全ての傷を治し四肢の欠損ですら復活する奇跡の薬なのである
しかしながら治せるのは傷のみである
不足した栄養までは補う事ができない
まぁそれは別の食べ物や飲み物があるのだが…
今はそれはない、だから食事にて栄養を補給しなければならない
「ん…あれ?」
寝込んでいた子供が目をゆっくりと覚ます
「起きたのか?」
話しかけられたのがわからないのか、それが聞こえていない
「おい、お前、いや、お嬢ちゃん、か?聞こえているか?」
声を荒げるアイエテスとその子の目と目が合う
そして、子供はにっこりと笑って言った
「おかえり…おとう、さん」
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
女神に同情されて異世界へと飛ばされたアラフォーおっさん、特S級モンスター相手に無双した結果、実力がバレて世界に見つかってしまう
サイダーボウイ
ファンタジー
「ちょっと冬馬君。このプレゼン資料ぜんぜんダメ。一から作り直してくれない?」
万年ヒラ社員の冬馬弦人(39歳)は、今日も上司にこき使われていた。
地方の中堅大学を卒業後、都内の中小家電メーカーに就職。
これまで文句も言わず、コツコツと地道に勤め上げてきた。
彼女なしの独身に平凡な年収。
これといって自慢できるものはなにひとつないが、当の本人はあまり気にしていない。
2匹の猫と穏やかに暮らし、仕事終わりに缶ビールが1本飲めれば、それだけで幸せだったのだが・・・。
「おめでとう♪ たった今、あなたには異世界へ旅立つ権利が生まれたわ」
誕生日を迎えた夜。
突如、目の前に現れた女神によって、弦人の人生は大きく変わることになる。
「40歳まで童貞だったなんて・・・これまで惨めで辛かったでしょ? でももう大丈夫! これからは異世界で楽しく遊んで暮らせるんだから♪」
女神に同情される形で異世界へと旅立つことになった弦人。
しかし、降り立って彼はすぐに気づく。
女神のとんでもないしくじりによって、ハードモードから異世界生活をスタートさせなければならないという現実に。
これは、これまで日の目を見なかったアラフォーおっさんが、異世界で無双しながら成り上がり、その実力がバレて世界に見つかってしまうという人生逆転の物語である。
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話
白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。
世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。
その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。
裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。
だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。
そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!!
感想大歓迎です!
※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
僕の従魔は恐ろしく強いようです。
緋沙下
ファンタジー
僕は生まれつき体が弱かった。物心ついた頃から僕の世界は病院の中の一室だった。
僕は治ることなく亡くなってしまった。
心配だったのは、いつも明るく無理をして笑うお母さん達の事だった。
そんな僕に、弟と妹を授ける代わりに別の世界に行って見ないか?という提案がもたらされた。
そこで勇者になるわけでもなく、強いステータスも持たない僕が出会った従魔の女の子
処女作なのでご迷惑かける場面が多数存在するかもしれません。気になる点はご報告いただければ幸いです。
---------------------------------------------------------------------------------------
プロローグと小説の内容を一部変更いたしました。
突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます
ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。
何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。
何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。
それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。
そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。
見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる