28 / 35
黄泉帰り
しおりを挟む
シラユリの亡骸は、偶然か必然かとある島に流れ着いていた。貫かれた心臓には大穴が空き、最早蘇生は不可能な状態だ。数日が経過し、どこから分からないが妖気が辺りに満ち始める。
妖獣の中には動物や人間の死体を媒介にして生まれる種が存在する。傷付いた心臓を治すかのように胸に妖気が集まりだす。しかし、内に眠る龍白龍の覇気により妖獣化は抑制される。それどころか、覇気と妖気が混じり合い傷を修復していく。そう、覇たる龍の王は神が決めた死という理すら捻じ伏せるのである。それ故、シラユリの魂は未だ此処に繋ぎ止められている。次第に龍殺しに負わされた傷が覇気と妖気により修復されて行き、傷など元から無かったかのように修復される。
徐々に心臓マッサージするかのようにして、少しずつ鼓動させていく。失われた血液を補うかのように、覇気と妖気が血管を巡り失われていた身体機能が少しずつ蘇る。
(目覚めよ、我が龍姫)
白鹿の声により、繋ぎ留め置かれたシラユリの魂が肉体に戻り生命として機能が整う。
「ゲホッゲホッ、カハッ、はぁはぁーーー」
何処か懐かしい山小屋を思わせる屋内、それも寝台の上で彼女は目覚めたのだ。最後に覚えてる記憶は、コシに斬られ海に落とされた記憶だ。
「あら、本当に目覚めたの ? 賭けはワタシの負けね、白鹿 ?」
声の方向に目線を向けると、30後半くらいの美しい黒髪の女性が居た。整った顔立ちに、男勝りの気概が感じられる。
「おはよう、身体の調子はどうかしらシラユリちゃん ?」
自身の名前を呼ばれたコトに警戒し、寝台から飛び起きようとするが白龍に制止させられる。
(落ち着け我が龍姫、彼奴は敵ではない)
「そうそう、ワタシは気さくで優しいお姉さんよ~」
「ちょっと待って、なんで白龍と会話出来てるの ? それに、なんで私の名前をーーー」
「とりあえず、お茶淹れるわね」
寝台に横たわったまま、淹れて貰ったお茶を貰う。口当りが優しく、内からポカポカしてくる。
「さてと、ワタシの名前はメモリアス。そうね、アイツやバラカン、マリアンナとは昔なじみよ」
「おじさんのーーー」
「ええ、三英傑って世間では言われてるけど本当は4人居たのよ。まぁ、色々あってワタシの話しは隠されてるけどね」
「おじさん達の仲間ってのは分かったけど、なんで白龍と話せてるの ? それにどうして、アナタだけ英検と呼ばれてないの ?」
彼女はおもむろに両手を出すと、片方に闘気をもう一方には蒼気の塊を作り出す。そして2つの気を混ぜ合わせ、紫色の気つまりは妖気を創り出したのである。さらに、その妖気と自然の気を混ぜ合わせると驚愕の変化現れたのだ。
生成された気は、本来龍族しか持たない覇気に近しいモノだったのだ。
「覇気といえども、この世界にある有限の性質のモノなのは変わらないわ。微量しか作れないけど、コレを通して白龍と会話してるってわけ。ワタシが育った場所では仙術って呼ばれてたわね。旅してた頃は、仙術のメモリアスなんて呼ばれてたわね。そんな、ワタシから見てもシラユリちゃんに起こった変化は興味深いけどね」
手渡された手鏡で自分を写すと、タレ目だった目は釣り上がり、栗毛色の髪の毛は白色と紫色のメッシュが入っているかのようになっていたのだ。後にこの変化が私の身体にとんでもないコトを引き起こすことはまだ知らないーーー。
妖獣の中には動物や人間の死体を媒介にして生まれる種が存在する。傷付いた心臓を治すかのように胸に妖気が集まりだす。しかし、内に眠る龍白龍の覇気により妖獣化は抑制される。それどころか、覇気と妖気が混じり合い傷を修復していく。そう、覇たる龍の王は神が決めた死という理すら捻じ伏せるのである。それ故、シラユリの魂は未だ此処に繋ぎ止められている。次第に龍殺しに負わされた傷が覇気と妖気により修復されて行き、傷など元から無かったかのように修復される。
徐々に心臓マッサージするかのようにして、少しずつ鼓動させていく。失われた血液を補うかのように、覇気と妖気が血管を巡り失われていた身体機能が少しずつ蘇る。
(目覚めよ、我が龍姫)
白鹿の声により、繋ぎ留め置かれたシラユリの魂が肉体に戻り生命として機能が整う。
「ゲホッゲホッ、カハッ、はぁはぁーーー」
何処か懐かしい山小屋を思わせる屋内、それも寝台の上で彼女は目覚めたのだ。最後に覚えてる記憶は、コシに斬られ海に落とされた記憶だ。
「あら、本当に目覚めたの ? 賭けはワタシの負けね、白鹿 ?」
声の方向に目線を向けると、30後半くらいの美しい黒髪の女性が居た。整った顔立ちに、男勝りの気概が感じられる。
「おはよう、身体の調子はどうかしらシラユリちゃん ?」
自身の名前を呼ばれたコトに警戒し、寝台から飛び起きようとするが白龍に制止させられる。
(落ち着け我が龍姫、彼奴は敵ではない)
「そうそう、ワタシは気さくで優しいお姉さんよ~」
「ちょっと待って、なんで白龍と会話出来てるの ? それに、なんで私の名前をーーー」
「とりあえず、お茶淹れるわね」
寝台に横たわったまま、淹れて貰ったお茶を貰う。口当りが優しく、内からポカポカしてくる。
「さてと、ワタシの名前はメモリアス。そうね、アイツやバラカン、マリアンナとは昔なじみよ」
「おじさんのーーー」
「ええ、三英傑って世間では言われてるけど本当は4人居たのよ。まぁ、色々あってワタシの話しは隠されてるけどね」
「おじさん達の仲間ってのは分かったけど、なんで白龍と話せてるの ? それにどうして、アナタだけ英検と呼ばれてないの ?」
彼女はおもむろに両手を出すと、片方に闘気をもう一方には蒼気の塊を作り出す。そして2つの気を混ぜ合わせ、紫色の気つまりは妖気を創り出したのである。さらに、その妖気と自然の気を混ぜ合わせると驚愕の変化現れたのだ。
生成された気は、本来龍族しか持たない覇気に近しいモノだったのだ。
「覇気といえども、この世界にある有限の性質のモノなのは変わらないわ。微量しか作れないけど、コレを通して白龍と会話してるってわけ。ワタシが育った場所では仙術って呼ばれてたわね。旅してた頃は、仙術のメモリアスなんて呼ばれてたわね。そんな、ワタシから見てもシラユリちゃんに起こった変化は興味深いけどね」
手渡された手鏡で自分を写すと、タレ目だった目は釣り上がり、栗毛色の髪の毛は白色と紫色のメッシュが入っているかのようになっていたのだ。後にこの変化が私の身体にとんでもないコトを引き起こすことはまだ知らないーーー。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説



絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる