許せまじ女は恋愛できるのか?29=彼氏いない歴なんだけど

成瀬りん

文字の大きさ
8 / 11
ふたりの関係

はじめての嫉妬

しおりを挟む
 「伊月くん、おっはよー!今日もいい天気で気持ちいいね」
 「由希さんおはようございます!」

 仕事中の名前呼び、許せまじ。
でも、今までのように相手に注意する気がなくなっている自分がいる。

 なんで?
由希ちゃんにも笑顔で挨拶するの?

当たり前なことなのに。
なんで、こんな気持ちになるんだろう。

 「岡田さん、今日は天気がいいからお昼は外でピクニックにしようかって、伊月くんと話してたんですけど、一緒にどうですか?」

 「…ピクニック?3人で?」
 「はい!どうです?」

 なんで、由希ちゃんが主導権握ってるの?
お昼はいつも私と伊月の2人で食べてたのに…。
 おいしそうに、うれしそうに食べている顔を見る時間が心地よかったのに。

 いつのまにかランチタイムの伊月を独り占めしていた私だから、由希ちゃんのお誘いに拒否感を抱いた。

 いつもは、ハッキリと言ってくれる伊月なのに、この時は何も言わずに立っていた。

 どうして?ふたりで食べたいからって断ってくれないの?
 直生ちゃんと食べたいんですって言ってよ!

 「ごめん、私、今日はひとりで食べるわ。由希ちゃん、川瀬くんとピクニック楽しんできてね」

 「はい!行こ、伊月くん!」

由希ちゃんは伊月と肩を並べて外へと小走りで出て行った。

今日の伊月は、普段と違う…。どうしたんだろ。

私は理由を知りたくてお昼休みが終わった時に伊月の席へ足を運ばせた。

 「川瀬くん、仕事終わったらお茶する時間空けてくれる?」

伊月は、声を出さずにうなずいた。



 「直生ちゃん、お待たせ!ちょっと仕事押しちゃった」

 「大丈夫、気にしないで。お疲れさま」

私たちは会社の近くのカフェに入り、私はカフェオレ、伊月はアイスコーヒーを注文した。

 「直生ちゃんからお茶に誘ってくれるのって、もしかして初めてじゃない?いったいどうしたの?」

伊月は氷をストローでカランカランと音を鳴らしながら、私に顔を近づかせて訊いてきた。

私はモヤモヤした気持ちを言葉にしてどうやって伊月に伝えたらいいか悩んだ。
言葉が先に出まくっていた、これまでの私にはないことだからかなりパニックになっている。

 「直生ちゃん?もしかしてお昼のこと怒ってたりする?」
伊月の方から切り出してくれた。

 「……怒ってないけど。不快っていうか、なんなんだろ…?そうだ!今日の伊月が変だなぁと違和感があったの」

肩をピクッとさせた伊月。
言いにくそうに、こう言った。

 「実は…。昼前に由希先輩から告白されたんだ。会社の先輩だから、何て断ったらいいかわからなくて…。」

 「告白…?」

私の頭は真っ白状態。
由希ちゃんが本気で伊月を好きだっただなんて…。

 「正直に自分の気持ちを伝えたらいいかな?僕には好きな人がいますって」


 「え!伊月、好きな人がいるの?」

 「うん、いるよ」

私は伊月の言葉に驚きを隠せなかった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...