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海辺の街
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恐る恐る振り返ると、ガタイの良い短髪の男が見たものを凍りつかせるような冷たい目をして立っていた。
傍らの男は後退り、店頭の籠にぶつかる。
ひっくり返った籠から、カブがゴロゴロと零れ落ちて道に転がった。
「退け」
「は、は、はい、すんません。奥様とはいざ知らず…あ、まことに可愛らしい奥様で、その…」
「黙れ、見るな」
青年はほうほうの体で仲間たちの元へ走り去る。
チュセは小さくため息をつき、落ちたカブを拾うために屈んだ。
「カイザス、その仏頂面、怖いんだって」
大きな手がチュセの目の前に伸びて、小ぶりなカブをまとめて掴む。
「わざとだ」
「知ってるけどさぁ」
「お前こそ、何度こんな目に合えばわかるんだ?」
「私は何にもしてないよ」
「だから、指輪を買ってやると言ってるのに」
「勿体ないよ」
カブを全て拾い集め籠の中に戻すと、カイザスはチュセから荷物を奪い取り、腕を掴んで引っ張る。
チュセはその大きな背中を見上げてハァと息を吐く。
…まあ、まだ今日はこの程度で済んで良かった。
流行の先端の品々が集まるこの街には、多くの若者が訪れる。
若い娘と見れば、声を掛ける輩も多い。
チュセも幾度となく絡まれたが、その度に駆けつけたカイザスがいき過ぎるほどの制裁を加えるので、否が応でも目立ってしまう。
ひっそりと暮らすことを望むチュセにとっては、些か頭の痛い問題だった。
とは言え、心強いのも確かだ。
覚悟はしていたとは言え、全てが村とは大違いの街での暮らしには戸惑うことも多く、怖さもあった。
あのまま一人で生活していたら、部屋と仕事場を往復するだけのつまらない毎日を過ごしていたに違いない。
腕をぐんぐんと引かれ、半ば引きずられるように街道を抜け、緑と色鮮やかな花が白い壁を彩る住宅街に入る。
その隙間にある細い脇道を曲がれば、凪いだ波の音が潮の香りと共に運ばれてくる。
そして二十数歩余り歩くと、片側の視界が開け、オレンジに染まる海が見える。
その海に面して建つ白いアパートが、今の住まいだ。
少し錆び付いた鉄アイアンの扉を開け、漆喰が塗られた壁と同じく白い階段を上る。
仕立て屋の女将がチュセの為に用意してくれた海が見下ろせるアパート。
チュセとカイザスは、ここに二人で住んでいる。
部屋の扉を開けて直ぐに、乱暴に引き寄せられ、唇を塞がれた。
カイザスはそのまま背中で扉を閉める。
がっちりと後頭部を固定され、大きく口を開けて食われる。
その性急な責めに、チュセの息が上がる。
漸く唇を解放したカイザスは、チュセの顔をその硬く大きな両手で挟み、額を合わせる。
「お前は俺のものだ」
チュセは乱れた呼吸を落ち着けつつ答える。
「私は…ものじゃないって…言ってる」
「他の男に近付かせるな、チュセ。何をするか俺にもわからない」
「誰のところへも行かない。カイザスのそばにいる」
チュセは、自分に付き合って親兄弟を捨てる羽目になったカイザスに対し、申し訳ない気持ちを抱えていた。
あの狭い村だからこそチュセに対して芽生えた感情も、新しい場所で他の女性を目にすれば、薄れるのではないかと思った。
水龍同様カイザスにも、何物からも過去からも解き放たれて自由になって欲しかった。
それだから、どこか村の外にカイザスを連れ出す事を水龍には願っても、自分の元へは連れて来なくても良いと言ったのだ。
しかし、カイザスはチュセを追ってきた。
「この街は人が多すぎる。チュセを奪われないか心配だ」
カイザスにかけられた呪縛はまだ解けないらしい。
「私なんて、たいした事ないよ。カイザスの方がよっぽど女の人の目を引くと思うのだけど」
「他の女など興味がない」
それ、かつては私にも言ってたやつ。
「俺は始終こんな感じだから、女共も恐れて近寄って来ない。チュセも見習え」
「私は接客もするんだから、無理だよ」
それに、その絶対零度の目付き。
簡単に習得できるものじゃない。
「早く結婚したい」
「私達にはこの国の戸籍が無いんだもの。正式にはまだ無理だよ。申請はしたから結果を待とうよ」
「なら、先に子供を作っておこう、やるか」
「なら?ならの意味がわかんないし、やるか、ってなんだよ、やるかって…」
「疲れただろうから服は俺が脱がせてやろう」
「恩着せがましいな。それに、まだやるとは言ってない。シャワーもしたいし」
「じゃあ、一緒に行こう。節約できる」
「え?!やだよ」
怪力のカイザスはチュセの抵抗をものともせず、小柄な身体を易々と引きずっていく。
サッサと服を脱がされ、自らも手早く裸になったところで、シャワールームの壁に押し付けられた。
逞しい胸板を目の前にして、チュセは目を伏せる。
小さな窓から入る陽の光は今は少し紫を帯びて、何とも隠微な雰囲気を醸し出す。
やがて、頭上から降り注ぐぬるい湯水が二人の身体を濡らした。
「チュセ…」
熱い囁きに全身がゾワゾワと波打つ。
カイザスは、チュセの耳朶に下がる雫をじゅっと吸い取ると、そのまま耳を口に含み、舌で耳穴を舐めまわした。
たちまち身体から力が抜けてしまったチュセを片腕で支えながら、カイザスは首を甘噛みし、鎖骨に溜まる水をペロンと舐める。
本当に私のどこが良いんだか。
カイザスはまるで美味そうに食事をするように、毎回チュセを抱く。
水龍には食われなかったけれど、どうやら別の獣に捕まってしまったようだ。
獣は一生チュセを喰らい続けたいのだと言う。
掴まれた胸の先端を、滴る雫ごと舐め上げられ、チュセは顎を逸らした。
ビリビリとした快感が全身を茹だらせていく。
「ん、はあ、カイザス…っ」
足から力が抜けて立っていられない。
「ああ、もう少し我慢してくれ」
股の間に硬い太ももが分け入り、そこに身体を乗せられる。
滲んできた蜜が花びらの中でくちゅ、と音を立てた。
「や、カイザスを汚しちゃうから」
「汚せ。ヌルヌルにしろ」
なんちゅう要求だ。
カイザスは、胸の先端をくちゅくちゅ口の中でしごきながら、チュセの腰を掴み、自らの太ももに擦り付ける。
敏感な芯芽が擦られて、チュセは足を震わせた。
これでは本当にヌルヌルにしてしまう。
既にグチュグチュと鳴っている音を耳が拾い、泣きそうになって下を見れば、筋肉で割れた腹に滾り張り付く雄芯が目に入る。
チュセはキツく目を瞑って羞恥に耐える。
「お前はいつまで経っても恥じらう。どれだけヤレば慣れるんだ」
カイザスは太ももの間に指を捩じ込み、芯芽をくすぐる。
跳ねる身体を逃げぬようにもう片方の腕で押さえ込み、太い指で繊細且つ執拗にそこを苛める。
「あっ、あ、ああっ、だめ!」
「身体は直ぐに開くようになったのにな…感度も増してるし」
「や、や、も、やめっ」
カイザスは太ももを下げると、ふらつくチュセの腰を掴み回転させる。
チュセは壁に手を当てて何とか身体を支えるが、腰をぐいと引かれてよろめいた。
「そのまま壁に手をついてろ、大丈夫ちゃんと支えてやるから」
カイザスはチュセの花弁に硬い雄芯をあてがい、グッと押し込んだ。
ブチュブチュと蜜を押し出しながら、ズブズブと侵入してくる圧倒的な質量を持つソレを、チュセの花襞は締め付けうねり、奥へと誘う。
「ん、ああっ…お前のナカは最高だ。暖かくて、柔らかいのにキツくて」
ゆるゆると浅い所を抜き差しするカイザスに、チュセは懇願する。
「あっ、ね、カイザス、もっと奥を突いてっ」
「物足りないのか?もう少し堪能したかったのに」
「や、も、イキたい、奥ゴリゴリしてっ」
「くっ、仕方のない奴だ。その代わり後でもう一度だ」
「えっ、後で…」
返事を待たずにガンと奥を突かれ、チュセは与えられた衝撃に喘ぐ。
カイザスはチュセの腹を抱き込みながら、激しく深く突き上げた。
雁首に感じる所を引っ掻かれ、チュセの身体が快感に震える。
「あ、あ、いいの…気持ちいっ…」
「はあっ、チュセっ、くそっ」
カイザスは切羽詰まったように、チュセの花芽を摘み、押し潰した。
たちまち駆け上がる痺れに手足から力が抜ける。
その直後、再び激しくナカを抉られ、チュセは襲ってきた白閃光に支配され、意識を手放した。
傍らの男は後退り、店頭の籠にぶつかる。
ひっくり返った籠から、カブがゴロゴロと零れ落ちて道に転がった。
「退け」
「は、は、はい、すんません。奥様とはいざ知らず…あ、まことに可愛らしい奥様で、その…」
「黙れ、見るな」
青年はほうほうの体で仲間たちの元へ走り去る。
チュセは小さくため息をつき、落ちたカブを拾うために屈んだ。
「カイザス、その仏頂面、怖いんだって」
大きな手がチュセの目の前に伸びて、小ぶりなカブをまとめて掴む。
「わざとだ」
「知ってるけどさぁ」
「お前こそ、何度こんな目に合えばわかるんだ?」
「私は何にもしてないよ」
「だから、指輪を買ってやると言ってるのに」
「勿体ないよ」
カブを全て拾い集め籠の中に戻すと、カイザスはチュセから荷物を奪い取り、腕を掴んで引っ張る。
チュセはその大きな背中を見上げてハァと息を吐く。
…まあ、まだ今日はこの程度で済んで良かった。
流行の先端の品々が集まるこの街には、多くの若者が訪れる。
若い娘と見れば、声を掛ける輩も多い。
チュセも幾度となく絡まれたが、その度に駆けつけたカイザスがいき過ぎるほどの制裁を加えるので、否が応でも目立ってしまう。
ひっそりと暮らすことを望むチュセにとっては、些か頭の痛い問題だった。
とは言え、心強いのも確かだ。
覚悟はしていたとは言え、全てが村とは大違いの街での暮らしには戸惑うことも多く、怖さもあった。
あのまま一人で生活していたら、部屋と仕事場を往復するだけのつまらない毎日を過ごしていたに違いない。
腕をぐんぐんと引かれ、半ば引きずられるように街道を抜け、緑と色鮮やかな花が白い壁を彩る住宅街に入る。
その隙間にある細い脇道を曲がれば、凪いだ波の音が潮の香りと共に運ばれてくる。
そして二十数歩余り歩くと、片側の視界が開け、オレンジに染まる海が見える。
その海に面して建つ白いアパートが、今の住まいだ。
少し錆び付いた鉄アイアンの扉を開け、漆喰が塗られた壁と同じく白い階段を上る。
仕立て屋の女将がチュセの為に用意してくれた海が見下ろせるアパート。
チュセとカイザスは、ここに二人で住んでいる。
部屋の扉を開けて直ぐに、乱暴に引き寄せられ、唇を塞がれた。
カイザスはそのまま背中で扉を閉める。
がっちりと後頭部を固定され、大きく口を開けて食われる。
その性急な責めに、チュセの息が上がる。
漸く唇を解放したカイザスは、チュセの顔をその硬く大きな両手で挟み、額を合わせる。
「お前は俺のものだ」
チュセは乱れた呼吸を落ち着けつつ答える。
「私は…ものじゃないって…言ってる」
「他の男に近付かせるな、チュセ。何をするか俺にもわからない」
「誰のところへも行かない。カイザスのそばにいる」
チュセは、自分に付き合って親兄弟を捨てる羽目になったカイザスに対し、申し訳ない気持ちを抱えていた。
あの狭い村だからこそチュセに対して芽生えた感情も、新しい場所で他の女性を目にすれば、薄れるのではないかと思った。
水龍同様カイザスにも、何物からも過去からも解き放たれて自由になって欲しかった。
それだから、どこか村の外にカイザスを連れ出す事を水龍には願っても、自分の元へは連れて来なくても良いと言ったのだ。
しかし、カイザスはチュセを追ってきた。
「この街は人が多すぎる。チュセを奪われないか心配だ」
カイザスにかけられた呪縛はまだ解けないらしい。
「私なんて、たいした事ないよ。カイザスの方がよっぽど女の人の目を引くと思うのだけど」
「他の女など興味がない」
それ、かつては私にも言ってたやつ。
「俺は始終こんな感じだから、女共も恐れて近寄って来ない。チュセも見習え」
「私は接客もするんだから、無理だよ」
それに、その絶対零度の目付き。
簡単に習得できるものじゃない。
「早く結婚したい」
「私達にはこの国の戸籍が無いんだもの。正式にはまだ無理だよ。申請はしたから結果を待とうよ」
「なら、先に子供を作っておこう、やるか」
「なら?ならの意味がわかんないし、やるか、ってなんだよ、やるかって…」
「疲れただろうから服は俺が脱がせてやろう」
「恩着せがましいな。それに、まだやるとは言ってない。シャワーもしたいし」
「じゃあ、一緒に行こう。節約できる」
「え?!やだよ」
怪力のカイザスはチュセの抵抗をものともせず、小柄な身体を易々と引きずっていく。
サッサと服を脱がされ、自らも手早く裸になったところで、シャワールームの壁に押し付けられた。
逞しい胸板を目の前にして、チュセは目を伏せる。
小さな窓から入る陽の光は今は少し紫を帯びて、何とも隠微な雰囲気を醸し出す。
やがて、頭上から降り注ぐぬるい湯水が二人の身体を濡らした。
「チュセ…」
熱い囁きに全身がゾワゾワと波打つ。
カイザスは、チュセの耳朶に下がる雫をじゅっと吸い取ると、そのまま耳を口に含み、舌で耳穴を舐めまわした。
たちまち身体から力が抜けてしまったチュセを片腕で支えながら、カイザスは首を甘噛みし、鎖骨に溜まる水をペロンと舐める。
本当に私のどこが良いんだか。
カイザスはまるで美味そうに食事をするように、毎回チュセを抱く。
水龍には食われなかったけれど、どうやら別の獣に捕まってしまったようだ。
獣は一生チュセを喰らい続けたいのだと言う。
掴まれた胸の先端を、滴る雫ごと舐め上げられ、チュセは顎を逸らした。
ビリビリとした快感が全身を茹だらせていく。
「ん、はあ、カイザス…っ」
足から力が抜けて立っていられない。
「ああ、もう少し我慢してくれ」
股の間に硬い太ももが分け入り、そこに身体を乗せられる。
滲んできた蜜が花びらの中でくちゅ、と音を立てた。
「や、カイザスを汚しちゃうから」
「汚せ。ヌルヌルにしろ」
なんちゅう要求だ。
カイザスは、胸の先端をくちゅくちゅ口の中でしごきながら、チュセの腰を掴み、自らの太ももに擦り付ける。
敏感な芯芽が擦られて、チュセは足を震わせた。
これでは本当にヌルヌルにしてしまう。
既にグチュグチュと鳴っている音を耳が拾い、泣きそうになって下を見れば、筋肉で割れた腹に滾り張り付く雄芯が目に入る。
チュセはキツく目を瞑って羞恥に耐える。
「お前はいつまで経っても恥じらう。どれだけヤレば慣れるんだ」
カイザスは太ももの間に指を捩じ込み、芯芽をくすぐる。
跳ねる身体を逃げぬようにもう片方の腕で押さえ込み、太い指で繊細且つ執拗にそこを苛める。
「あっ、あ、ああっ、だめ!」
「身体は直ぐに開くようになったのにな…感度も増してるし」
「や、や、も、やめっ」
カイザスは太ももを下げると、ふらつくチュセの腰を掴み回転させる。
チュセは壁に手を当てて何とか身体を支えるが、腰をぐいと引かれてよろめいた。
「そのまま壁に手をついてろ、大丈夫ちゃんと支えてやるから」
カイザスはチュセの花弁に硬い雄芯をあてがい、グッと押し込んだ。
ブチュブチュと蜜を押し出しながら、ズブズブと侵入してくる圧倒的な質量を持つソレを、チュセの花襞は締め付けうねり、奥へと誘う。
「ん、ああっ…お前のナカは最高だ。暖かくて、柔らかいのにキツくて」
ゆるゆると浅い所を抜き差しするカイザスに、チュセは懇願する。
「あっ、ね、カイザス、もっと奥を突いてっ」
「物足りないのか?もう少し堪能したかったのに」
「や、も、イキたい、奥ゴリゴリしてっ」
「くっ、仕方のない奴だ。その代わり後でもう一度だ」
「えっ、後で…」
返事を待たずにガンと奥を突かれ、チュセは与えられた衝撃に喘ぐ。
カイザスはチュセの腹を抱き込みながら、激しく深く突き上げた。
雁首に感じる所を引っ掻かれ、チュセの身体が快感に震える。
「あ、あ、いいの…気持ちいっ…」
「はあっ、チュセっ、くそっ」
カイザスは切羽詰まったように、チュセの花芽を摘み、押し潰した。
たちまち駆け上がる痺れに手足から力が抜ける。
その直後、再び激しくナカを抉られ、チュセは襲ってきた白閃光に支配され、意識を手放した。
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