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スピンオフ:【マルコの初恋】柔らかな感触と劣情(18R)
リズデのこと
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翌日の夕方、マルコが部署に戻ると、補佐のポールだけが机について作業していた。
他の職員はすべて退勤したようだ。
マルコの席の背後にある窓からは薄闇に浮かぶ弓形の月が見える。
ポールがマルコに気付いて立ち上がった。
「お帰りなさい、ボス。今日の会議はまた長引きましたね~」
マルコは胸元を緩めて椅子に腰を下ろし、背凭れに寄りかかった。
「ああ。年寄り連中が、いちいち難癖つけてきやがる。かといえば、休憩中には懲りもせず縁談話やらなんやらを持ち出してすりよってくるし」
ポールは苦笑いしながらマルコのデスクに近付くと、手元の書類を差し出した。
「お疲れのところ申し訳ないですが、サインをお願いします。今月締め切りの検定申請書類です。書記官が3人、2級事務官が2人、それでもって文芸司書1人」
「文芸司書?」
マルコは怪訝な表情で書類を受け取った。
外交部署から文芸司書の検定を受けるなど異例の事だ。
ポールは、笑みを浮かべながら答えた。
「リズデです」
その名前を思いがけずに聞いて、マルコの胸が一瞬跳ねた。
昨晩の失態を思い返しそうになり、振り払うように書類を捲った。
数枚目に文芸司書申請書を見つけた。
確かにリズデのサインがある。
「元々そちらを目指していたようですよ。学園でも文芸を専攻していて単位も修得済みだったのに、それから外交科に編入してますね」
「検定に合格したら、ここを辞めるつもりなのか?」
「さあ?ただ、両親からは故郷の国立図書館に勤めるように言われていたと聞いたことはありますけどね。…まあ、身形こそあんな風ですが、リズデも貴族のご令嬢で妙齢ですからね、親御さんも手元に置いて良い縁談を世話したいと考えていらっしゃるんじゃないですか?」
マルコはポールの話を聞きながら、書類を凝視していたが、全く頭に入ってこなかった。
「てっきり、リズデから聞いているものと思ってました」
ポールの言葉にとどめを刺され、マルコはむっつり黙りこんだ。
他の職員はすべて退勤したようだ。
マルコの席の背後にある窓からは薄闇に浮かぶ弓形の月が見える。
ポールがマルコに気付いて立ち上がった。
「お帰りなさい、ボス。今日の会議はまた長引きましたね~」
マルコは胸元を緩めて椅子に腰を下ろし、背凭れに寄りかかった。
「ああ。年寄り連中が、いちいち難癖つけてきやがる。かといえば、休憩中には懲りもせず縁談話やらなんやらを持ち出してすりよってくるし」
ポールは苦笑いしながらマルコのデスクに近付くと、手元の書類を差し出した。
「お疲れのところ申し訳ないですが、サインをお願いします。今月締め切りの検定申請書類です。書記官が3人、2級事務官が2人、それでもって文芸司書1人」
「文芸司書?」
マルコは怪訝な表情で書類を受け取った。
外交部署から文芸司書の検定を受けるなど異例の事だ。
ポールは、笑みを浮かべながら答えた。
「リズデです」
その名前を思いがけずに聞いて、マルコの胸が一瞬跳ねた。
昨晩の失態を思い返しそうになり、振り払うように書類を捲った。
数枚目に文芸司書申請書を見つけた。
確かにリズデのサインがある。
「元々そちらを目指していたようですよ。学園でも文芸を専攻していて単位も修得済みだったのに、それから外交科に編入してますね」
「検定に合格したら、ここを辞めるつもりなのか?」
「さあ?ただ、両親からは故郷の国立図書館に勤めるように言われていたと聞いたことはありますけどね。…まあ、身形こそあんな風ですが、リズデも貴族のご令嬢で妙齢ですからね、親御さんも手元に置いて良い縁談を世話したいと考えていらっしゃるんじゃないですか?」
マルコはポールの話を聞きながら、書類を凝視していたが、全く頭に入ってこなかった。
「てっきり、リズデから聞いているものと思ってました」
ポールの言葉にとどめを刺され、マルコはむっつり黙りこんだ。
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