ポッコチーヌ様のお世話係〜最強美形の騎士団長は露出狂でした~

すなぎ もりこ

文字の大きさ
上 下
13 / 97
ポッコチーヌ様のお世話係

マクシミリアンの過去②

しおりを挟む
 と、いう訳で、ゲルダはマクシミリアンの世話役に固定してしまった。

「おはようございます。団長、ポッコチーヌ様」

 今朝も麗しの白騎士団長は真っ裸でベッドに座っている。手酷い目に遭った股間のポッコチーヌも無事であるようだ。
 ゲルダは着替えをベッドの隅へ置くと、その美しい肢体を目に入れぬように扉の前に戻る。そうして、目を伏せ背筋を伸ばし、主であるマクシミリアンからの指示を待った。
 
 ゲルダは未だ彼への扱いを決めかねている。
 ニコライから強引に押し切られ、取り敢えずは傍に付くことを了承したが、彼を救済する策など何も持ち合わせていない。それに、ゲルダは研修生だ。白騎士団に在籍する期間は限られている。僅か一ヶ月の間に、この厄介な男を公的な場所へ出られるようにするなど、無理難題過ぎると思った。
 そうして悶々と考えるゲルダに、思いもかけぬ声が掛かる。

「おはよう」

 初めて返ってきた挨拶に驚き、ゲルダは思わず瞼を上げた。

『おはよう』

 その後に続いた高い声を聞き、ゲルダは首を傾げる。

 なんだ今の?

 まさかと思い、恐る恐る訊いてみた。

「えっと、団長、今の声は……」
『昨日は助けてくれてありがとうゲルダ』

 ゲルダは目を瞑り、鼻から息を吸いこむ。
 
 ヤバいよ、ヤバいって。悪化してるよ?股間に人格を与えるどころか、喋らせちゃったよ。
 
 ゲルダは迷った挙句、合わせる事にした。ここで否定して、また情緒不安定になられても困る。

「無事で良かったです。でも、また身の危険を感じた時は呼んで下さい。全力で助けます」
『わかった、そうする。けど、マックスを責めないであげて。昨日の彼は混乱してたの』

 マックスとはマクシミリアンの事だと思われる。愛称で呼ぶほど親しい間柄……という設定なんだな。

「ポッコチーヌ様はお優しいんですね」

 しかし、陰茎と会話するってどうなんだ?

『そうでもないよ。マックスが苦しんでても、どうすることも出来ない。無力なんだ』

 その言葉に、ゲルダははたと思いつく。

 もしかしたら、ポッコチーヌはマクシミリアンの心情をよく知っているのではないか。マクシミリアンが創り出した友人のようなもので。陰茎だけど。客観的に見守っていた存在なのでは。陰茎だけど。
 さすれば、ポッコチーヌと親睦を深め心を開いてもらえば、マクシミリアンの本心を知ることができるのではないか。果ては、心が乖離した原因を突き止め、解決策も見つかるかも! 陰茎だけどっ!

 ゲルダはマクシミリアンをちらと窺う。長い睫毛を伏せて、自らの陰茎を見つめる表情は穏やかだ。ゲルダは小さく息を吸うと、全裸のマクシミリアンの前に進み出て床に膝を着く。そして、半勃ちのポッコチーヌと向き合った。

 ところで、ポッコチーヌって男なの?女なの?
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

嫌われ女騎士は塩対応だった堅物騎士様と蜜愛中! 愚者の花道

Canaan
恋愛
旧題:愚者の花道 周囲からの風当たりは強いが、逞しく生きている平民あがりの女騎士ヘザー。ある時、とんでもない痴態を高慢エリート男ヒューイに目撃されてしまう。しかも、新しい配属先には自分の上官としてそのヒューイがいた……。 女子力低い残念ヒロインが、超感じ悪い堅物男の調子をだんだん狂わせていくお話。 ※シリーズ「愚者たちの物語 その2」※

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

女嫌いな騎士団長が味わう、苦くて甘い恋の上書き

待鳥園子
恋愛
「では、言い出したお前が犠牲になれ」 「嫌ですぅ!」 惚れ薬の効果上書きで、女嫌いな騎士団長が一時的に好きになる対象になる事になったローラ。 薬の効果が切れるまで一ヶ月だし、すぐだろうと思っていたけれど、久しぶりに会ったルドルフ団長の様子がどうやらおかしいようで!? ※来栖もよりーぬ先生に「30ぐらいの女性苦手なヒーロー」と誕生日プレゼントリクエストされたので書きました。

脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。

石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。 ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。 そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。 真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。

処理中です...