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ポッコチーヌ様のお世話係
マクシミリアンの過去②
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と、いう訳で、ゲルダはマクシミリアンの世話役に固定してしまった。
「おはようございます。団長、ポッコチーヌ様」
今朝も麗しの白騎士団長は真っ裸でベッドに座っている。手酷い目に遭った股間のポッコチーヌも無事であるようだ。
ゲルダは着替えをベッドの隅へ置くと、その美しい肢体を目に入れぬように扉の前に戻る。そうして、目を伏せ背筋を伸ばし、主であるマクシミリアンからの指示を待った。
ゲルダは未だ彼への扱いを決めかねている。
ニコライから強引に押し切られ、取り敢えずは傍に付くことを了承したが、彼を救済する策など何も持ち合わせていない。それに、ゲルダは研修生だ。白騎士団に在籍する期間は限られている。僅か一ヶ月の間に、この厄介な男を公的な場所へ出られるようにするなど、無理難題過ぎると思った。
そうして悶々と考えるゲルダに、思いもかけぬ声が掛かる。
「おはよう」
初めて返ってきた挨拶に驚き、ゲルダは思わず瞼を上げた。
『おはよう』
その後に続いた高い声を聞き、ゲルダは首を傾げる。
なんだ今の?
まさかと思い、恐る恐る訊いてみた。
「えっと、団長、今の声は……」
『昨日は助けてくれてありがとうゲルダ』
ゲルダは目を瞑り、鼻から息を吸いこむ。
ヤバいよ、ヤバいって。悪化してるよ?股間に人格を与えるどころか、喋らせちゃったよ。
ゲルダは迷った挙句、合わせる事にした。ここで否定して、また情緒不安定になられても困る。
「無事で良かったです。でも、また身の危険を感じた時は呼んで下さい。全力で助けます」
『わかった、そうする。けど、マックスを責めないであげて。昨日の彼は混乱してたの』
マックスとはマクシミリアンの事だと思われる。愛称で呼ぶほど親しい間柄……という設定なんだな。
「ポッコチーヌ様はお優しいんですね」
しかし、陰茎と会話するってどうなんだ?
『そうでもないよ。マックスが苦しんでても、どうすることも出来ない。無力なんだ』
その言葉に、ゲルダははたと思いつく。
もしかしたら、ポッコチーヌはマクシミリアンの心情をよく知っているのではないか。マクシミリアンが創り出した友人のようなもので。陰茎だけど。客観的に見守っていた存在なのでは。陰茎だけど。
さすれば、ポッコチーヌと親睦を深め心を開いてもらえば、マクシミリアンの本心を知ることができるのではないか。果ては、心が乖離した原因を突き止め、解決策も見つかるかも! 陰茎だけどっ!
ゲルダはマクシミリアンをちらと窺う。長い睫毛を伏せて、自らの陰茎を見つめる表情は穏やかだ。ゲルダは小さく息を吸うと、全裸のマクシミリアンの前に進み出て床に膝を着く。そして、半勃ちのポッコチーヌと向き合った。
ところで、ポッコチーヌって男なの?女なの?
「おはようございます。団長、ポッコチーヌ様」
今朝も麗しの白騎士団長は真っ裸でベッドに座っている。手酷い目に遭った股間のポッコチーヌも無事であるようだ。
ゲルダは着替えをベッドの隅へ置くと、その美しい肢体を目に入れぬように扉の前に戻る。そうして、目を伏せ背筋を伸ばし、主であるマクシミリアンからの指示を待った。
ゲルダは未だ彼への扱いを決めかねている。
ニコライから強引に押し切られ、取り敢えずは傍に付くことを了承したが、彼を救済する策など何も持ち合わせていない。それに、ゲルダは研修生だ。白騎士団に在籍する期間は限られている。僅か一ヶ月の間に、この厄介な男を公的な場所へ出られるようにするなど、無理難題過ぎると思った。
そうして悶々と考えるゲルダに、思いもかけぬ声が掛かる。
「おはよう」
初めて返ってきた挨拶に驚き、ゲルダは思わず瞼を上げた。
『おはよう』
その後に続いた高い声を聞き、ゲルダは首を傾げる。
なんだ今の?
まさかと思い、恐る恐る訊いてみた。
「えっと、団長、今の声は……」
『昨日は助けてくれてありがとうゲルダ』
ゲルダは目を瞑り、鼻から息を吸いこむ。
ヤバいよ、ヤバいって。悪化してるよ?股間に人格を与えるどころか、喋らせちゃったよ。
ゲルダは迷った挙句、合わせる事にした。ここで否定して、また情緒不安定になられても困る。
「無事で良かったです。でも、また身の危険を感じた時は呼んで下さい。全力で助けます」
『わかった、そうする。けど、マックスを責めないであげて。昨日の彼は混乱してたの』
マックスとはマクシミリアンの事だと思われる。愛称で呼ぶほど親しい間柄……という設定なんだな。
「ポッコチーヌ様はお優しいんですね」
しかし、陰茎と会話するってどうなんだ?
『そうでもないよ。マックスが苦しんでても、どうすることも出来ない。無力なんだ』
その言葉に、ゲルダははたと思いつく。
もしかしたら、ポッコチーヌはマクシミリアンの心情をよく知っているのではないか。マクシミリアンが創り出した友人のようなもので。陰茎だけど。客観的に見守っていた存在なのでは。陰茎だけど。
さすれば、ポッコチーヌと親睦を深め心を開いてもらえば、マクシミリアンの本心を知ることができるのではないか。果ては、心が乖離した原因を突き止め、解決策も見つかるかも! 陰茎だけどっ!
ゲルダはマクシミリアンをちらと窺う。長い睫毛を伏せて、自らの陰茎を見つめる表情は穏やかだ。ゲルダは小さく息を吸うと、全裸のマクシミリアンの前に進み出て床に膝を着く。そして、半勃ちのポッコチーヌと向き合った。
ところで、ポッコチーヌって男なの?女なの?
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