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左右を木々で覆われた薄暗い道を進むうち、先に明るい光が見えてきた。私は手網を引いてスピードを落とし、目を凝らす。
連立する幹の隙間から、横に真っ直ぐと走る水平線が見えた。
私は馬を下り、明るい方へ向かって歩く。薄墨毛の馬は黙って後をついてきた。
青い空を映す湖面は静かに波立っていた。遠くで鳥がチチチと鳴いている。たっぷりと水を貯めた湖を濃緑の葉を茂らせた針葉樹が囲み、その背後には尖った山が聳え立つ。ゴツゴツした山肌にはまだ雪が残っていた。
私は白い砂にブーツを載せる。靴底に細かな粒子が擦れ合う感触がした。沈みこんでいく足を踏ん張り視線を上に向ければ、真新しい足跡が目に入る。古い窪みをなぞるように重ねられたそれは、真っ直ぐ湖へと続いていた。
岸に水色の小舟が浮かんでいる。
小さな水音を立て微かに揺れていた。
私は砂に足を取られながらも目的のものに辿り着き、中を覗き込む。
そこには、美しい人が眠っていた。
煤けてもなお煌めきを失わないブロンド。
美しく弧を描く眉。
長く艶やかな睫毛。
官能的な赤い唇。
日々の仕事に荒れた長い指を胸の前で組み、安らかな表情を浮かべていた。
私はそっと呼び掛ける。
「エマ」
微動だにしない人の頬を撫でる。
「起きて、エマ」
私の身体を震えが襲い、背中に汗が滲んだ。
私は大きく息を吸い、大声で叫ぶ。
「お願いっ、起きて、エマッーー」
静けさで覆われた湖畔に、私の声が響き渡る。
どこかで鳥の飛び立つ気配がした。
連立する幹の隙間から、横に真っ直ぐと走る水平線が見えた。
私は馬を下り、明るい方へ向かって歩く。薄墨毛の馬は黙って後をついてきた。
青い空を映す湖面は静かに波立っていた。遠くで鳥がチチチと鳴いている。たっぷりと水を貯めた湖を濃緑の葉を茂らせた針葉樹が囲み、その背後には尖った山が聳え立つ。ゴツゴツした山肌にはまだ雪が残っていた。
私は白い砂にブーツを載せる。靴底に細かな粒子が擦れ合う感触がした。沈みこんでいく足を踏ん張り視線を上に向ければ、真新しい足跡が目に入る。古い窪みをなぞるように重ねられたそれは、真っ直ぐ湖へと続いていた。
岸に水色の小舟が浮かんでいる。
小さな水音を立て微かに揺れていた。
私は砂に足を取られながらも目的のものに辿り着き、中を覗き込む。
そこには、美しい人が眠っていた。
煤けてもなお煌めきを失わないブロンド。
美しく弧を描く眉。
長く艶やかな睫毛。
官能的な赤い唇。
日々の仕事に荒れた長い指を胸の前で組み、安らかな表情を浮かべていた。
私はそっと呼び掛ける。
「エマ」
微動だにしない人の頬を撫でる。
「起きて、エマ」
私の身体を震えが襲い、背中に汗が滲んだ。
私は大きく息を吸い、大声で叫ぶ。
「お願いっ、起きて、エマッーー」
静けさで覆われた湖畔に、私の声が響き渡る。
どこかで鳥の飛び立つ気配がした。
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