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決闘
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「広瀬 蒼士です」
…なんてこった…。
モカはすかさず視線を逸らし、斜め下の床を見た。
明らかにおかしいモカの様子に気付き、先輩が小突く。
「玉森、名前、自己紹介!」
「もかもり たまえです」
「なんで偽名?」
「お久しぶりです、たまえさん」
「え?知り合い?てか、たまえ?!」
先輩はモカと蒼士を交互に見るが、だんだんと混乱してきたらしく、助けを求めるように眼鏡スーツの彼氏に視線を向けた。
「なんだ、知り合いだったのかぁ」
眼鏡スーツは人が良さそうな笑顔を浮かべた。
どうやら、ちょっぴり天然が入っているらしい。
「ああ。もう一度会いたいって、ずっーーーーと思っていたんだ。会えて良かったなあ!」
蒼士の少々異質な攻めの言葉に、先輩と眼鏡スーツ彼氏が息を呑み、視線をモカに向ける。
モカは居心地の悪さに縮こまる。
「ま、まあ、そういうことなら後輩に感謝しなきゃな、アイツが青い顔をしてお前を連れてきた時は、どうしようかと思ったけど」
「アイツな、どうせ変なものでも食ったんだろう、運がなかったんだな」
蒼士は視線を逸らさず真っすぐにモカを見ている。
絶対裏で手を回したよね?
後輩くんに毒を盛った、なんてこと無いよね?
モカの背中を冷汗が伝う。
「たまえさん、出ませんか」
蒼士はいきなり直球で誘ってきた。
「お、お前いくらなんでもそれは性急すぎ…」
「お話があります。二人きりになりたいんですが」
「た、玉森、ど、ど、どうなって」
先輩が焦ってモカの腕をつかむ。
モカは挑むように蒼士を睨んだ。
「いやだと言ったら?」
蒼士はニンマリ笑い、身を乗り出して囁いた。
「切ろうか?お隣の二人のあれ」
顎を逸らし、人差し指と中指を立てて動かして見せる。
「良縁まで切るわけ?」
「縁なら大概のものは切れるんだぜ」
「それでも神主か!」
「今は違うし」
モカは奥歯を噛みしめ、ぎゅっと目を瞑った。
そして再び目を開くと、思い切りよく立ち上がった。
「よい度胸だ!表へ出ろ!」
先輩と眼鏡スーツ彼氏が唖然と見送る中、蒼士とモカは店の外へ出た。
営業妨害になってはいけないので近くにある公園まで歩くことで話がつく。
蒼士は当たり前のようにモカの手を掬い上げて握った。
「なんで手を繋ぐ」
「逃げられたら困るからだよ。ま、逃がさねえけど」
蒼士が不敵に笑う。
モカは高鳴る鼓動を誤魔化すように蒼士を睨んだ。
やがて公園の入口が見えてきた。
入口に並ぶ車止めにぶつからないように、蒼士がそっとモカを誘導する。
そのさりげない優しさにも、ときめく。
モカは蒼士に対する気持ちが僅かも消え去っていないことを自覚して、思わず胸を押さえた。
「お前、懲りもせず男を紹介してもらうつもりだったわけ?」
蒼士はモカの手を引いて歩きながら、薄いグレーのワイシャツの襟元を緩めている。
「…相変わらず失礼だね。今回は先輩の顔を立てるために仕方なくだよ」
「どうせ無理なのに」
モカはムッとして繋がれた腕を引いた。
蒼士がカクンと身体を揺らして振り向く。
「無理だなんてひどい!」
生ぬるい夏の風がモカの髪に絡まる。
蒼士は手を伸ばし、モカの顔にかかった髪を指で整えた。
その甘いそぶりにきゅうきゅうと胸が鳴る。
モカは頬を染めて俯いた。
やがて、少しひんやりした掌が頬をそっと覆う。
「悪あがきは止めろって」
「ほ、ほんと、蒼士って失礼だよ」
「そうじゃねぇの」
蒼士は身を屈めてモカと額を合わせた。
モカはどぎまぎしながら視線を上げ、目の前の整った顔を見つめた。
「ど、どういう意味よ」
「お前の相手は決まってる」
「……それって」
蒼士はモカと目を合わせる。
その瞳は真剣な光を帯びていた。
「お前の縁は俺に繋がっているからだ」
モカは瞬きした後、下を向いた。
「えっと、それはいつから?今はもう無いんじゃない?」
「ずっと前からだ。今もガッツリ繋がってる。他の奴らと一緒にするな、俺とお前を繋ぐ糸は特別なんだ!絶対切れねぇ!」
モカの肩を掴み、蒼士は懸命に訴える。
モカの顔に熱がどんどんと集まっていく。
「と、特別なんだ…へえ、そうなんだ。蒼士と私が、切れない縁で繋がってる、と」
「そうだ!」
「ええ、でもなぁ、私には見えないしなぁ」
モカはちら、と蒼士を窺う。
蒼士は身体を反らして胸を叩いた。
「馬鹿野郎、田出呂神社宮司と祭神様のお墨付きだぞ!信じろ!」
モカはモジモジと手を握り合わせた。
馬鹿なのは蒼士だよなぁ。
言って欲しい言葉はそんなんじゃないんだよなぁ。
「…蒼士はさぁ、縁が繋がってるから私を専属にしたわけ?」
「は?そうじゃねぇよ!」
「縁が繋がってるから、一緒にいなきゃならないと思い込んでるのかもしれないよ」
「違うし!」
「だってさぁ……」
蒼士はモカの両手をバッと握ると胸の前に引き寄せた。
園内灯に照らされた顔が真っ赤に染まっている。
「お前のことが好きだからだ!好きで好きでたまらねぇんだよ!悪いか!」
モカは蒼士の胸に飛び込んだ。
…なんてこった…。
モカはすかさず視線を逸らし、斜め下の床を見た。
明らかにおかしいモカの様子に気付き、先輩が小突く。
「玉森、名前、自己紹介!」
「もかもり たまえです」
「なんで偽名?」
「お久しぶりです、たまえさん」
「え?知り合い?てか、たまえ?!」
先輩はモカと蒼士を交互に見るが、だんだんと混乱してきたらしく、助けを求めるように眼鏡スーツの彼氏に視線を向けた。
「なんだ、知り合いだったのかぁ」
眼鏡スーツは人が良さそうな笑顔を浮かべた。
どうやら、ちょっぴり天然が入っているらしい。
「ああ。もう一度会いたいって、ずっーーーーと思っていたんだ。会えて良かったなあ!」
蒼士の少々異質な攻めの言葉に、先輩と眼鏡スーツ彼氏が息を呑み、視線をモカに向ける。
モカは居心地の悪さに縮こまる。
「ま、まあ、そういうことなら後輩に感謝しなきゃな、アイツが青い顔をしてお前を連れてきた時は、どうしようかと思ったけど」
「アイツな、どうせ変なものでも食ったんだろう、運がなかったんだな」
蒼士は視線を逸らさず真っすぐにモカを見ている。
絶対裏で手を回したよね?
後輩くんに毒を盛った、なんてこと無いよね?
モカの背中を冷汗が伝う。
「たまえさん、出ませんか」
蒼士はいきなり直球で誘ってきた。
「お、お前いくらなんでもそれは性急すぎ…」
「お話があります。二人きりになりたいんですが」
「た、玉森、ど、ど、どうなって」
先輩が焦ってモカの腕をつかむ。
モカは挑むように蒼士を睨んだ。
「いやだと言ったら?」
蒼士はニンマリ笑い、身を乗り出して囁いた。
「切ろうか?お隣の二人のあれ」
顎を逸らし、人差し指と中指を立てて動かして見せる。
「良縁まで切るわけ?」
「縁なら大概のものは切れるんだぜ」
「それでも神主か!」
「今は違うし」
モカは奥歯を噛みしめ、ぎゅっと目を瞑った。
そして再び目を開くと、思い切りよく立ち上がった。
「よい度胸だ!表へ出ろ!」
先輩と眼鏡スーツ彼氏が唖然と見送る中、蒼士とモカは店の外へ出た。
営業妨害になってはいけないので近くにある公園まで歩くことで話がつく。
蒼士は当たり前のようにモカの手を掬い上げて握った。
「なんで手を繋ぐ」
「逃げられたら困るからだよ。ま、逃がさねえけど」
蒼士が不敵に笑う。
モカは高鳴る鼓動を誤魔化すように蒼士を睨んだ。
やがて公園の入口が見えてきた。
入口に並ぶ車止めにぶつからないように、蒼士がそっとモカを誘導する。
そのさりげない優しさにも、ときめく。
モカは蒼士に対する気持ちが僅かも消え去っていないことを自覚して、思わず胸を押さえた。
「お前、懲りもせず男を紹介してもらうつもりだったわけ?」
蒼士はモカの手を引いて歩きながら、薄いグレーのワイシャツの襟元を緩めている。
「…相変わらず失礼だね。今回は先輩の顔を立てるために仕方なくだよ」
「どうせ無理なのに」
モカはムッとして繋がれた腕を引いた。
蒼士がカクンと身体を揺らして振り向く。
「無理だなんてひどい!」
生ぬるい夏の風がモカの髪に絡まる。
蒼士は手を伸ばし、モカの顔にかかった髪を指で整えた。
その甘いそぶりにきゅうきゅうと胸が鳴る。
モカは頬を染めて俯いた。
やがて、少しひんやりした掌が頬をそっと覆う。
「悪あがきは止めろって」
「ほ、ほんと、蒼士って失礼だよ」
「そうじゃねぇの」
蒼士は身を屈めてモカと額を合わせた。
モカはどぎまぎしながら視線を上げ、目の前の整った顔を見つめた。
「ど、どういう意味よ」
「お前の相手は決まってる」
「……それって」
蒼士はモカと目を合わせる。
その瞳は真剣な光を帯びていた。
「お前の縁は俺に繋がっているからだ」
モカは瞬きした後、下を向いた。
「えっと、それはいつから?今はもう無いんじゃない?」
「ずっと前からだ。今もガッツリ繋がってる。他の奴らと一緒にするな、俺とお前を繋ぐ糸は特別なんだ!絶対切れねぇ!」
モカの肩を掴み、蒼士は懸命に訴える。
モカの顔に熱がどんどんと集まっていく。
「と、特別なんだ…へえ、そうなんだ。蒼士と私が、切れない縁で繋がってる、と」
「そうだ!」
「ええ、でもなぁ、私には見えないしなぁ」
モカはちら、と蒼士を窺う。
蒼士は身体を反らして胸を叩いた。
「馬鹿野郎、田出呂神社宮司と祭神様のお墨付きだぞ!信じろ!」
モカはモジモジと手を握り合わせた。
馬鹿なのは蒼士だよなぁ。
言って欲しい言葉はそんなんじゃないんだよなぁ。
「…蒼士はさぁ、縁が繋がってるから私を専属にしたわけ?」
「は?そうじゃねぇよ!」
「縁が繋がってるから、一緒にいなきゃならないと思い込んでるのかもしれないよ」
「違うし!」
「だってさぁ……」
蒼士はモカの両手をバッと握ると胸の前に引き寄せた。
園内灯に照らされた顔が真っ赤に染まっている。
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モカは蒼士の胸に飛び込んだ。
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