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治療と提案
②
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「だからさあ、その薬草は煎じちゃダメなんだって。それじゃあ薬効が台無しなの! しぼり汁に凝固剤を入れて固めた方がいいんだよ ……あれ? もしかして気が付いたの? すごい! やっぱりあの処方で正解だったね。即効じゃないか!」
「お前うるさい、そしてオリバーに近寄るな」
駆け寄ってくるバーノンに手の甲を向け、セルジュがしっしと払う。
「嫌だなぁ、魔王のくせに心が狭いったら」
バーノンが腕を組んで不貞腐れる。
「あんたもここに来ていたのか」
僕が声をかければ、バーノンは自慢げに顎を反らした。
「これでも薬学の知識はあるからね。きっと役に立てると思ったんだ」
「事実、たいへん貢献していただきました。彼は『下魔の薬』の開発にも携わっているそうで、薬師たちはそれを知って色めき立っています」
「魔国の薬学は遅れているのです。他国からの技術提供が望めませんし、何よりあまり需要がないので」
バーノンと一緒に入ってきた白衣の魔族は、水差しと紙袋が乗せられたトレイをアリシアに手渡しながら説明した。セルジュが彼の言葉を補足する。
「大概の病は魔力でなんとかなるからな」
「そうはいっても、魔力切れもありますしね。特に魔力の弱い者に関しては、もしもの時のために常備するよう推奨しています。まあ、薬と呼ぶには烏滸がましい、ほとんどが薬草を乾燥させただけのものなんですが」
「けど、抜群に薬効が高いんだよ。それに、魔族と人間に効き目の差がないんだ。君や僕のように魔力を弾く者にもちゃんと効く」
嬉々としてまともなことを語るバーノンは、別人のようだった。少なくとも、いかなる時も情事のことしか頭になかった色情狂には見えない。
「それで、アリシア様と相談したんだ。魔国の薬草をズーガリアとの和平交渉材料に加えたらどうかって」
バーノンの隣に進み出たアリシアが、得意げな表情で頷いた。
「お前うるさい、そしてオリバーに近寄るな」
駆け寄ってくるバーノンに手の甲を向け、セルジュがしっしと払う。
「嫌だなぁ、魔王のくせに心が狭いったら」
バーノンが腕を組んで不貞腐れる。
「あんたもここに来ていたのか」
僕が声をかければ、バーノンは自慢げに顎を反らした。
「これでも薬学の知識はあるからね。きっと役に立てると思ったんだ」
「事実、たいへん貢献していただきました。彼は『下魔の薬』の開発にも携わっているそうで、薬師たちはそれを知って色めき立っています」
「魔国の薬学は遅れているのです。他国からの技術提供が望めませんし、何よりあまり需要がないので」
バーノンと一緒に入ってきた白衣の魔族は、水差しと紙袋が乗せられたトレイをアリシアに手渡しながら説明した。セルジュが彼の言葉を補足する。
「大概の病は魔力でなんとかなるからな」
「そうはいっても、魔力切れもありますしね。特に魔力の弱い者に関しては、もしもの時のために常備するよう推奨しています。まあ、薬と呼ぶには烏滸がましい、ほとんどが薬草を乾燥させただけのものなんですが」
「けど、抜群に薬効が高いんだよ。それに、魔族と人間に効き目の差がないんだ。君や僕のように魔力を弾く者にもちゃんと効く」
嬉々としてまともなことを語るバーノンは、別人のようだった。少なくとも、いかなる時も情事のことしか頭になかった色情狂には見えない。
「それで、アリシア様と相談したんだ。魔国の薬草をズーガリアとの和平交渉材料に加えたらどうかって」
バーノンの隣に進み出たアリシアが、得意げな表情で頷いた。
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