92 / 136
魔聖対戦
③
しおりを挟む
セルジュは僕が繰り出す剣の切っ先を優雅に避け、時に跳ね返す。長い髪を靡かせ、まるで踊るように剣を振るった。僕はそれに必死で食らいつく。
はたから見ればさぞ不格好なことだろう。
何度押しのけいなされても、残像を切りつけ床に剣を打ちつけても、歯をギリギリと噛みしめ向かっていく僕は、まるで青臭い獣だ。
けれど、汗を飛び散らし荒い息を吐きながらも、僕は止まらない。
溢れ出る闘志が彼へと向かわせる。
それは、僕にとっての愛にほかならない。
君を傷つけるかもしれない刃を振り回しながら、現実には告げられない思いを、身の内で叫び続ける。
君が好きだ。
君が欲しい。
僕だけを見て。
ずっと抱え続けていた恋情が狂おしく迸る。
僕を愛して。
鋭い剣先が僕の頬をかすめ、生ぬるい液体が顎を伝う。
怯まず踏み込んで打ち下ろした剣が交差し、火花が散る。
僕らは至近距離で見つめ合う。
燃えるような真紅の瞳に映るのは僕だけで、剣身から伝わる容赦ない力は、きっと君の愛。
たとえそれが僕とは違う種類のものでも構わない。
僕は今、こんなにも歓喜に包まれ、躍動している。
僕は心から思った。
――生きていて良かったと。
はたから見ればさぞ不格好なことだろう。
何度押しのけいなされても、残像を切りつけ床に剣を打ちつけても、歯をギリギリと噛みしめ向かっていく僕は、まるで青臭い獣だ。
けれど、汗を飛び散らし荒い息を吐きながらも、僕は止まらない。
溢れ出る闘志が彼へと向かわせる。
それは、僕にとっての愛にほかならない。
君を傷つけるかもしれない刃を振り回しながら、現実には告げられない思いを、身の内で叫び続ける。
君が好きだ。
君が欲しい。
僕だけを見て。
ずっと抱え続けていた恋情が狂おしく迸る。
僕を愛して。
鋭い剣先が僕の頬をかすめ、生ぬるい液体が顎を伝う。
怯まず踏み込んで打ち下ろした剣が交差し、火花が散る。
僕らは至近距離で見つめ合う。
燃えるような真紅の瞳に映るのは僕だけで、剣身から伝わる容赦ない力は、きっと君の愛。
たとえそれが僕とは違う種類のものでも構わない。
僕は今、こんなにも歓喜に包まれ、躍動している。
僕は心から思った。
――生きていて良かったと。
56
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


百花繚乱 〜国の姫から極秘任務を受けた俺のスキルの行くところ〜
幻月日
ファンタジー
ーー時は魔物時代。
魔王を頂点とする闇の群勢が世界中に蔓延る中、勇者という職業は人々にとって希望の光だった。
そんな勇者の一人であるシンは、逃れ行き着いた村で村人たちに魔物を差し向けた勇者だと勘違いされてしまい、滞在中の兵団によってシーラ王国へ送られてしまった。
「勇者、シン。あなたには魔王の城に眠る秘宝、それを盗み出して来て欲しいのです」
唐突にアリス王女に突きつけられたのは、自分のようなランクの勇者に与えられる任務ではなかった。レベル50台の魔物をようやく倒せる勇者にとって、レベル100台がいる魔王の城は未知の領域。
「ーー王女が頼む、その任務。俺が引き受ける」
シンの持つスキルが頼りだと言うアリス王女。快く引き受けたわけではなかったが、シンはアリス王女の頼みを引き受けることになり、魔王の城へ旅立つ。
これは魔物が世界に溢れる時代、シーラ王国の姫に頼まれたのをきっかけに魔王の城を目指す勇者の物語。
後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…
まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。
5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。
相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。
一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。
唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。
それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。
そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。
そこへ社会人となっていた澄と再会する。
果たして5年越しの恋は、動き出すのか?
表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる