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対戦当日
④
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橋を渡りながら、僕はバーノンを振り返った。
「なあ、もし同行するのが怖いなら、魔国の入り口で待機してくれて構わないぞ」
バーノンは欄干に触れる自分の指先を凝視しながら答える。
「えっ? ……一緒に行くよ」
「心配しなくても、僕は戦いを放棄したりしない」
「確かに僕は、君を見張るよう言いつけられているけど」
バーノンはあっさりと明かし、ポケットから白い手袋をつけて装着した。
「『魔の棺』を扱う時専用の手袋だけど使わせてもらおう。こんな得体のしれない植物、素手で触るなんて嫌すぎる」
「やっぱり疑われていたのか」
「少なくとも僕は疑ってないよ。君は真面目でしょ。それに、君といた方が安心だし置いていかれる方が怖い」
「そうか」
「お役目からは逃れられないから付き合うしかないんだ。でもね、君がコソコソと何かを調べていたことは知っていたけど、報告はしていないよ。君に抱いてもらうための取引に使えると思ったからね。だから、さっさと終わらせて僕と一発ヤろう」
「あんたはブレないな。感心するよ」
僕は前に向き直り、ごつごつした蔦の床を踏みしめる。
この男、どこまでもソレしか頭にないらしい。
とはいえ、いくら魔に耐性があろうと、信頼の置ける人物でなければ同行者には選ばれないと思う。本人も言っていた通り、神父としての評価は高いのだろう。そして、不埒な本性を隠し真面目な神父に擬態できるほどにはデキる男なのだ。
彼にとって正義などたいした意味を持たない。彼が重きを置いているのは淫らな性生活の維持。だが、僕の行動により教団の腐敗が明らかになれば、それは崩壊するかもしれない。
だとしたら、バーノンは僕の敵となりうる。
僕は無意識のうちに剣の柄へと手を伸ばし、ぐっと握る。
戦闘を目前に滾り出した闘志が、僕の中に眠る狂気をも呼び覚まそうとしていた。
「なあ、もし同行するのが怖いなら、魔国の入り口で待機してくれて構わないぞ」
バーノンは欄干に触れる自分の指先を凝視しながら答える。
「えっ? ……一緒に行くよ」
「心配しなくても、僕は戦いを放棄したりしない」
「確かに僕は、君を見張るよう言いつけられているけど」
バーノンはあっさりと明かし、ポケットから白い手袋をつけて装着した。
「『魔の棺』を扱う時専用の手袋だけど使わせてもらおう。こんな得体のしれない植物、素手で触るなんて嫌すぎる」
「やっぱり疑われていたのか」
「少なくとも僕は疑ってないよ。君は真面目でしょ。それに、君といた方が安心だし置いていかれる方が怖い」
「そうか」
「お役目からは逃れられないから付き合うしかないんだ。でもね、君がコソコソと何かを調べていたことは知っていたけど、報告はしていないよ。君に抱いてもらうための取引に使えると思ったからね。だから、さっさと終わらせて僕と一発ヤろう」
「あんたはブレないな。感心するよ」
僕は前に向き直り、ごつごつした蔦の床を踏みしめる。
この男、どこまでもソレしか頭にないらしい。
とはいえ、いくら魔に耐性があろうと、信頼の置ける人物でなければ同行者には選ばれないと思う。本人も言っていた通り、神父としての評価は高いのだろう。そして、不埒な本性を隠し真面目な神父に擬態できるほどにはデキる男なのだ。
彼にとって正義などたいした意味を持たない。彼が重きを置いているのは淫らな性生活の維持。だが、僕の行動により教団の腐敗が明らかになれば、それは崩壊するかもしれない。
だとしたら、バーノンは僕の敵となりうる。
僕は無意識のうちに剣の柄へと手を伸ばし、ぐっと握る。
戦闘を目前に滾り出した闘志が、僕の中に眠る狂気をも呼び覚まそうとしていた。
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