この世界が終わるまで 勇者の僕は恋をする

すなぎ もりこ

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神父の襲来

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「知られたくないんでしょ。内緒にしてあげるよ。その対価として勇者様が僕と一晩過ごしてくれたらいい。君は快楽を味わうだけで、僕は念願が叶う。またとない取引だと思わない?」
 セルジュは片眉を上げ、僕の胸に納まる小柄な男を見下ろしている。
「そうだ、オトモダチも説得してくれないか。僕はずっと彼のことを好ましく思っていたんだ。彼が欲しくてたまらなかった。幾度となく誘ったのに、彼は頑なで全然靡いてくれないんだ。僕ならきっと気持ちよくさせてあげられる。さっきだって、もう少しで堕ちそうだったのにさ」
「バーノン黙れ」
 セルジュがゆっくりと手を翳した。僕は不穏な空気を感じ取り、焦る。
「なあ、コイツの言うことは聞くなって」
「手で扱いて咥えたらみるみる大きくなった。想像通り立派でいやらしいおちんぽだった。僕もうその様子を見るだけでヒクついて濡れてきちゃった」
「黙れ」
 セルジュはバーノンの頭を後ろから掴むと、ぎりぎりと締め付けた。
「いたっ、痛いよ、勇者様止めさせてっ、何この人、怖いっ」
「セルジュ、離せ」
「下品な言葉を吐く口を塞いでやる。永遠にな」
 僕は、悪魔のごとき形相で呪詛の言葉を吐くセルジュから目を離せず、けれど、止めさせなければ大変なことになると己を奮い立たせた。
 僕はセルジュの腕を掴み、引きはがそうと力を込めた。
 お互いの筋肉が張り詰め、血管が浮き出る。しかし、セルジュは頑として離さず、歯をギリギリと鳴らしている。牙を剥きだして鼻の付け根に皺を寄せる様は、まさに獣そのものだった。
 やがてバーノンの身体から力が抜け、僕の腕から滑り落ちる。セルジュはバーノンの頭を掴んだまま、ブンッと後方へ投げ捨てた。
 バーノンの身体は扉にぶつかり、ズルズルと床に横たわる。
 僕は直ぐさま走り寄り、彼の首に指を当てて脈を取った。
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