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㊶
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「もしかしてお前、この僕に突っ込めというのか?! いや、それは荷が重い。想像したこともないから自信がない! 困る!」
「スノウ様、落ち着いてください」
スノウは身体を反らし、目を閉じて顔を背けた。
「無理やり僕に合わせる必要はないんだ。僕は主従関係を盾に夜伽を強要するような卑劣な真似はしたくない。父上や母上とは違う! そんな行為をしなくとも、お前となら信頼関係が築けると思っている!」
「いえ、私がスノウ様ともっと深く繋がりたいのです。そうしないと不安で堪りません。どこぞの雌に奪われるくらいなら、私が貴方の初めての相手になりたい。いいえ、できるなら、私だけに縛り付けておきたいのです」
グリンバルドは腕にあった着替えを床に落とし、両腕できつくスノウを抱きしめた。切ない声の余韻が、スノウの耳に残り胸を震わせる。
「心配しなくても、もうどこにもいかない。それに、言っただろう、僕は結婚しないと。僕は父上と同じなんだ。女性を恋愛の対象として見ることができない。父上のように世継ぎを作る為だけに誰かの人生を犠牲にすることもしたくない」
「でしたら、私が一生お相手を務めます」
「……グリンバルド、しかし、僕は……掘られたい側なのだ」
こんな場面で言うのもなんだが、大事なことだと思う。性の不一致は深刻なものなのだと、スノウは経験上知っている。お互いが満足できず、どちらかが無理をするばかりでは長く続かない。どこかで必ずしわ寄せがくるだろう。
「父上のように張形を使われるのも、絶対嫌だ」
「わかっています」
「だったら無理だ。お前のモノは勃たないんだろう? 何を挿れるつもりなんだ? 変なものを挿れられるのはもっと嫌なんだが」
グリンバルドは、答える代わりにスノウの腰を掴み、己に擦りつけた。腹に硬いものが当たり、スノウは首を傾げる。隙間に手をねじ込んで、指と掌でその輪郭を確かめた。
「股間防具か?」
何かに耐えるように眉間を寄せ、グリンバルドは艶めかしい呻き声を口から漏らす。そして、熱っぽく囁いた。
「本物です。正真正銘、私の勃起した陰茎です」
「……えっ?! でも、お前……」
「昨夜、申し上げたはずですよ。私は特定の人物にしか欲情しないと」
グリンバルドはスノウの両頬に掌を当て、引き上げた。燃える黒い瞳で燻され、スノウの顔が再び熱くなる。顔を近づけたグリンバルドがゆっくりと告げた。
「私の身体は、スノウ様にしか反応しないのです」
「スノウ様、落ち着いてください」
スノウは身体を反らし、目を閉じて顔を背けた。
「無理やり僕に合わせる必要はないんだ。僕は主従関係を盾に夜伽を強要するような卑劣な真似はしたくない。父上や母上とは違う! そんな行為をしなくとも、お前となら信頼関係が築けると思っている!」
「いえ、私がスノウ様ともっと深く繋がりたいのです。そうしないと不安で堪りません。どこぞの雌に奪われるくらいなら、私が貴方の初めての相手になりたい。いいえ、できるなら、私だけに縛り付けておきたいのです」
グリンバルドは腕にあった着替えを床に落とし、両腕できつくスノウを抱きしめた。切ない声の余韻が、スノウの耳に残り胸を震わせる。
「心配しなくても、もうどこにもいかない。それに、言っただろう、僕は結婚しないと。僕は父上と同じなんだ。女性を恋愛の対象として見ることができない。父上のように世継ぎを作る為だけに誰かの人生を犠牲にすることもしたくない」
「でしたら、私が一生お相手を務めます」
「……グリンバルド、しかし、僕は……掘られたい側なのだ」
こんな場面で言うのもなんだが、大事なことだと思う。性の不一致は深刻なものなのだと、スノウは経験上知っている。お互いが満足できず、どちらかが無理をするばかりでは長く続かない。どこかで必ずしわ寄せがくるだろう。
「父上のように張形を使われるのも、絶対嫌だ」
「わかっています」
「だったら無理だ。お前のモノは勃たないんだろう? 何を挿れるつもりなんだ? 変なものを挿れられるのはもっと嫌なんだが」
グリンバルドは、答える代わりにスノウの腰を掴み、己に擦りつけた。腹に硬いものが当たり、スノウは首を傾げる。隙間に手をねじ込んで、指と掌でその輪郭を確かめた。
「股間防具か?」
何かに耐えるように眉間を寄せ、グリンバルドは艶めかしい呻き声を口から漏らす。そして、熱っぽく囁いた。
「本物です。正真正銘、私の勃起した陰茎です」
「……えっ?! でも、お前……」
「昨夜、申し上げたはずですよ。私は特定の人物にしか欲情しないと」
グリンバルドはスノウの両頬に掌を当て、引き上げた。燃える黒い瞳で燻され、スノウの顔が再び熱くなる。顔を近づけたグリンバルドがゆっくりと告げた。
「私の身体は、スノウ様にしか反応しないのです」
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