Room 510

ひふみ しごろく

文字の大きさ
上 下
38 / 47

コスプレ妄想話:婦警さん編(1/4)

しおりを挟む
わたしと私のイメージプレイ
~婦警さん編~

えらく長くなったので幕ごとに分割しました。
全4幕になります。

***


「制服って想像、いや妄想の翼が羽ばたきますよね」

また彼が訳のわからないことをいい出した。
最近お酒を教えたのだが楽しいらしく事あるごとに飲みたがる。
そして飲むとべらべらと脳内妄想が垂れ流されるのだ。
わたしも楽しいんだけど、時々ついていけなくなることがある。
この日もそうだった。

「そうなの?」

「そうなんです。制服を着ている貴女をこんな風に犯したい、辱めたい!って妄想が羽ばたくんです」

「じゃあ、聞くだけきいてあげるわ。さ、コップを空けて。もう1杯飲みながら語ってよ。貴方のド変態な妄想を」

「えー、いいんですか?」

「聞くだけだからね!」

グラスのサングリアを空けると、彼は語りだした。



「登場人物の紹介です。
新米婦警さん。想定はもちろん貴女です。
犯人。私です。
センパイ。貴女のセンパイです。私は貴女の恥ずかしい姿を他のヤツに見られるのが死ぬほどイヤなのですぐ退場します。物語の小道具です。

舞台設定は現代、日本。
警察に詳しくないので設定はガバガバです」

酔っ払っているわりにしっかりした語り口と設定。
そう思って身構えたが導入こそ警察と犯人だが話の大半は警察である必要もない、わたしの想像を超える超ド変態な妄想で占められていた。
だが、ペラペラとうれしそうに話す彼を見ているのはおもしろいので語るに任せてみた。

***

<一幕>
秋の夕暮れ。
ふと見かけた現場から物語は始まりますよ。
何事もきっかけは些細なものですよね。

かわいいくまちゃんのぬいぐるみが、不審な男性に連れ去られる瞬間。
それが私の不幸の始まりだった。

「センパイ、今の…まさか、誘拐?」

「オレたちで片付けちまおうぜ」

「え、でもそれって服務規程違反で」

「大丈夫。一刻を争う状況だ。行こう!」

男が向かったのは古いアパートの一室。
特に尾行に気づいた様子もない。
挙動からみてプロじゃない。素人による出来心の犯罪と思われる。
こじれると偶発的に悲劇を生みかねない。
緊張で頭がしびれる。

何事もなかったように平然と帰宅する犯人の後を追い部屋を確認。
今どき珍しい、映像なしのインターホンをピンポン。
はいはい、どちらさまですか?宅配かな?と気の抜けるような一言から今に至る。

***

「…なんでくまちゃん?とお思いでしょうが、私と貴女以外はどうでもいいので聞き流してください。
あ、それと貴女は防音を気にされるので鉄筋コンクリート造のマンションに変更です。
これならどれだけ叫んでも安心です」

「…よくわからない配慮をありがとう。それよりも続きを聞かせて」

自家製サングリアを一口飲み、彼が続ける。

***

新築のマンション。防音もしっかりしたプライバシーに敏感な昨今の事情に即した建物。
室内は清潔に保たれている。
ゴミもまとめられ、流し台もキレイ。
某家具量販店でコーディネートしたと思われる家具類。
キチンと収納されており、犯人は几帳面な性格なのだろう。
部屋は今いるリビングに奥に寝室だろうか、もうひと部屋ありそうだ。間取りは広い。
連れ去ったくまちゃんはリビングのソファーに座らされていて、乱暴に扱われた形跡はない。

「ゆ、許してください。ほんの出来心だったんです。この通りくまちゃんは無事です。見逃してください!」

やはり素人の衝動的な犯行だった。
と言っても許されるものではない。

「そうはいかない。あなたは悪そうなタイプに見えないが、有ったことを無かったことにはできなんだ。すまない。詳しいことは署で聞くよ」

「そうですか…。って、あれ?これっていわゆる…」

「ん?」

犯人が何か思いついた顔をした。
閃いた!ってやつ。

あちゃー。

センパイは良い人なんだけど要領が悪いと言うか直球勝負過ぎると言うか。
もうちょっとタイミングを考えて言ってくれたら、この事件はここで終わっていたかもしれない。
しかし現実は最悪で最悪な方向に転がっていった。

「こ、この人質がどうなってもいいのか!それ以上近づいたら、こいつを殺すぞ!」

くまちゃんを盾にとりヤケクソ気味に叫ぶ犯人。
あのように言われたら、そうなりますよね、うん。


「センパイ…人質を確保してから言えばよかったのでは…」

「そうだったな、すまない。どうもオレは機転が利かない」

「いつものことですけどね」

「おまわりさん達、ふたりは仲良しなんですね」

「そうでもないですよ?
私は新米でセンパイが初ペアなんだけど、この半年間センパイがいいとこ見せようとしてそそっかしいばかりで苦労ばかりです」

思わずため息が出る。

「婦警さんも大変なんだ。ちょっとわかります」

「あら、あなたの上司もちょっと困ったひとなの?」

「ええ、まぁ、ちょっと…」

「苦労するわよねー」

「え?ねぇ、ちょっと!何ふたりで理解しあってるの?!」

せっかく油断させようとしているのに、この人は本当に空気が読めない。
このひとがペア長じゃなかったら…そもそもこの現場に今ふたりでいないか。

「おっとそうでした。どちらかというと敵・味方でした。センパイの言う通り馴れ合っている場合じゃない。
えっとですね、新米さん。まず武器をこっちにください。ベルトごと、まとめて全部です。無線機とかそう言った装備も一式お願いします」

ずしりと重い装備を渡す。
まずい。どんどん悪化していっている。

「これが本物の銃か。思ったより小さい」

「あのー、やけに手慣れた感じがするんですが…」

「え?ああ。子供の頃西部劇が好きだったんですよ。モデルガンでガンスピンの練習もずいぶんしました。ですから銃の構造は熟知しています。ドラマであるような『安全装備が…』とかは無駄です」

犯人が饒舌になってきている。
ふだんはおとなしいのに自動車を運転したり、凶器を持つと気が大きくなるタイプかもしれない。

「人に銃口を向けるのはとても気が引けるのですが、状況が状況なのでご容赦を」

手慣れた手付きで銃を握り、センパイに向ける。

「すいませんがセンパイも装備一式こちらへお願いします。くれぐれも、くれぐれも余計なことは控えてください。ボク、殺人犯とかイヤです」

…センパイがヘマしないように忠告してくれてありがとう。

「うーん。これは後戻りできない感じだ。これって最後は追い詰められて自殺したり、おふたりを巻き添えに無理心中とか、スナイパーに射殺されるとか悲惨な結末しかない気がする」

「そうだ!そうならないように自首しろ!それが一番だ!早い方がいい」

「すごく正論だと思うんですが、迂闊を連発するセンパイに言われるとなんだか腹が立ちますね」

そのとおり。
犯人の言うように私たちは迂闊だったとしか言いようがない。

閉じられたカーテンの隙間からみえる西日。
日が落ちていく。
私の気分のように。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

身体交換

廣瀬純一
SF
男と女の身体を交換する話

処理中です...