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【番外編】王家の秘密2
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キースさんのいる王宮へ向かおうとした瞬間、部屋の外にいた母とぶつかることとなった。
「お母様」
「伯爵夫人にご挨拶を……と思って来てみたのだけどね……」
珍しく曇ったような表情を浮かべる彼女の表情にやはり私達の推測が正しかったことを思い知らされる。
「お母様、キース様の……いえ、オースティン様のことについてなのですが……」
これは母からすると酷な話かもしれないが、聞かなければいけない。
「部屋に戻りましょう。立ち話では終わらない話ですから――」
母は私の背中に手を添えると、そっと部屋の中へ押し戻した。
「シシリア様は本当にお美しいだけでなく叡智あふれる――まさに王妃にふさわしい方でした」
私の部屋で紅茶を飲みながらそう独白する母へ、私だけでなくエマやティアナの視線も集まる。
「ですがカルロス様には想い人がいらっしゃったんです」
「それは結婚する前のことですか?」
エマは食いつくように母へ質問する。確かに国王家のトップシークレットだ。彼女の好奇心がうずかないわけがない。
「勿論です。まだカルロス様が学生だった頃、『大聖女』の化身と言われる聖女が学園にいたようです。カルロス様は直ぐに彼女と恋仲になられたのですが、グレイスがアルフレッド様と婚約していたようにカルロス様にも婚約者がいました」
「それがシシリア様ですのね」
私の憶測に母は首を横に振って残念そうに否定する。
「前国王のエドガー様のお母様と婚約されていたんです」
「ん?!」
母の言葉に全員が思わず目を見開く。急に関係がややっこしくなってきた。
「その聖女様にお子様ができたのをきっかけに、カルロス様は婚約破棄を公表しその方と結婚しようとされたんです」
アルフレッドもアホな王子だったが、キースさんの父親もなかなかなアホということが判明し驚きを隠せない。
「ところがその方は結婚直前になって行方不明になられ、その代わりにシシリア様がご結婚されたんです。でも陛下の心はずっとその聖女様のもとにあるらしく、離宮にはその方のための部屋までご用意されていたほどなんです」
そのエピソードを聞き、ようやく『大聖女』である私との結婚をシシリア様が反対された事実に納得がいった。シシリア様の中では決して勝つことができない『恋敵』が聖女だったのだろう。
「ではキース様はお父様の子ではありませんのね?」
私は肝心の疑問をぶつけると母は優雅に微笑む。
「あなたのお父様の結婚が遅かったのはね、私が学園を卒業するまで待って下さったからなのよ。もし――その期間にシシリア様の元へ通っていらっしゃったとなると……私からお話しをする必要がでてきますわね」
珍しく母の言葉から殺気を感じ私は苦笑するしかなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これまで漠然と『国王』としか出てこなかったのですが、
現国王:キース(オースティン)
前国王:エドガー
前々国王:カルロス(キース父)
となっております。
もうちょっと続きます。
そして本当に異母兄弟なわけではありませんのでご安心ください。
「お母様」
「伯爵夫人にご挨拶を……と思って来てみたのだけどね……」
珍しく曇ったような表情を浮かべる彼女の表情にやはり私達の推測が正しかったことを思い知らされる。
「お母様、キース様の……いえ、オースティン様のことについてなのですが……」
これは母からすると酷な話かもしれないが、聞かなければいけない。
「部屋に戻りましょう。立ち話では終わらない話ですから――」
母は私の背中に手を添えると、そっと部屋の中へ押し戻した。
「シシリア様は本当にお美しいだけでなく叡智あふれる――まさに王妃にふさわしい方でした」
私の部屋で紅茶を飲みながらそう独白する母へ、私だけでなくエマやティアナの視線も集まる。
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エマは食いつくように母へ質問する。確かに国王家のトップシークレットだ。彼女の好奇心がうずかないわけがない。
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「それがシシリア様ですのね」
私の憶測に母は首を横に振って残念そうに否定する。
「前国王のエドガー様のお母様と婚約されていたんです」
「ん?!」
母の言葉に全員が思わず目を見開く。急に関係がややっこしくなってきた。
「その聖女様にお子様ができたのをきっかけに、カルロス様は婚約破棄を公表しその方と結婚しようとされたんです」
アルフレッドもアホな王子だったが、キースさんの父親もなかなかなアホということが判明し驚きを隠せない。
「ところがその方は結婚直前になって行方不明になられ、その代わりにシシリア様がご結婚されたんです。でも陛下の心はずっとその聖女様のもとにあるらしく、離宮にはその方のための部屋までご用意されていたほどなんです」
そのエピソードを聞き、ようやく『大聖女』である私との結婚をシシリア様が反対された事実に納得がいった。シシリア様の中では決して勝つことができない『恋敵』が聖女だったのだろう。
「ではキース様はお父様の子ではありませんのね?」
私は肝心の疑問をぶつけると母は優雅に微笑む。
「あなたのお父様の結婚が遅かったのはね、私が学園を卒業するまで待って下さったからなのよ。もし――その期間にシシリア様の元へ通っていらっしゃったとなると……私からお話しをする必要がでてきますわね」
珍しく母の言葉から殺気を感じ私は苦笑するしかなかった。
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これまで漠然と『国王』としか出てこなかったのですが、
現国王:キース(オースティン)
前国王:エドガー
前々国王:カルロス(キース父)
となっております。
もうちょっと続きます。
そして本当に異母兄弟なわけではありませんのでご安心ください。
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