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弱った身体を元気にします!~果汁酒まとめ~
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「お酒で健康的になっていただきたいと思っておりましたの」
私はそう言ってリタ姉達の前に貧民街時代に作っていた果汁酒をズラリと並べる。
「酒って体にいいのかい?」
リタ姉は半信半疑といった表情で私の顔を覗き込む。既にこのやり取りは定番になりつつあるが私は自信満々の表情で果汁酒を紹介していく。
「まずこちらはアロエ酒ですわ。アロエの葉をよく洗い、はちみつ、酒、レモンと一緒に二ヶ月漬けましたの」
「アロエねぇ……凄い味するよね?」
アロエヨーグルトが流行った時期もあったが、加工されていないアロエを食べるととんでもなく苦い。
「アロエ酒にしましても苦みが強いので甘さを加えて飲むと美味しくいただけますわ。便秘、冷え性、肌荒れなどに効果的なんです。ただ妊娠中などはあまりお勧めいたしませんわ」
私が説明する横でせっせとキースさんがメモを取ってくれている。元々文字が読めなかったリタ姉達だが、酒場で顔を合わす度にちょっとずつ教えたところ最近では簡単な文章やレシピならば読解できるようになっていた。今回の果汁酒についてもレシピと効能を後で一緒に渡す予定だ。
「あ、これイチゴだよね」
レオ姉はイチゴ酒を指し、目を輝かせる。
「熟したイチゴと砂糖、酒で漬けたものですわ。こちらは滋養強壮にピッタリです」
「見た目もいいからカウンターに飾っておくわ」
確かに瓶に入ったイチゴがぷかぷかと浮かぶ様子はおしゃれではある。
「この赤い小さな実はなんだい?」
「こちらはクコの実ですわ。乾燥したクコの実にイチゴ酒のように砂糖と酒を加えて漬け込みます」
「これはどんな効果があるんだい?」
流れが大体分かってきたようだ。レオ姉の質問に私は笑顔で応える。
「疲労回復、内臓の病気にもピッタリなんです。不老長寿の妙薬ともいわれていますわ」
「なんだい、いきなりスゴイのが来たね」
「薬みたいですわよね。クワの実も同じように咳止め、疲労回復などの効果がありますの」
私はそう言って紫色の液体が入った瓶を彼女達の前に押し出す。
「あ、この実、森で沢山なっているのを見たことあるわ」
「えぇ、ここに通うようになって、採集してまいりましたの」
森に通っていた時、コロが森の入口まで迎えに来てくれていたが、携帯電話があるというわけではないので、なんとなくこれぐらいの時間……というようにアバウトな待ち合わせをしていた。
そのため時には一人でも森を一時間以上歩くこともあり、そういった時には森の中で木の実や葉を採集していた。果汁酒の場合(果物により異なるが)一ヶ月から一年以上熟成させる必要がある。いつか役に立てばと思って作っていたのだ。
「どの果汁酒も一日一杯程度が適量と言われています。お客様にもそれとなく提供していただけると嬉しいですわ」
「あぁ~~疲れている客にはクコ酒を出すってことかい?」
「そうですわ。効能はラベルで張り付けておりますので、それを見ながら提供していただけると嬉しいですわ」
「食事をした客には無料でサービスしてもいいかもしれませんね」
工場長からシェフへ昇格(降格?)したリタ兄が、いつの間にか厨房から顔をのぞかせた。
「手間暇はかかっていますが、材料費はさほどかかっておりませんし在庫も大量にございますので無料で提供していただいても大丈夫ですわ。あとお願いしたいのが、住民の獣人の方々にも無料で提供していただきたいんですの」
私の提案に三人は不思議そうな表情を浮かべる。
「獣人の方々は自分の健康体に非常に自信を持っていらっしゃいます」
獣人達に直接聞くのは失礼に当たりそうなので、コロに一度
「診療所がなくて困らなかった?風邪をひいた時はどうするの?」
と聞いたところ、バカにしたような表情で
「そんなもん、寝てりゃ治るだろ。困ると言えば侵入者と戦って怪我を負った時だな。あれは治すのに一苦労する」
と語っていた。おそらく身体をいたわるという発想がないのだろう。村長がキースさんの診療所を歓迎したのも外科的治療を期待したに違いない。だが普通の風邪も侮ってはいけない。風邪で命を落とすということも、最悪ありえるのだから。
「自分の身体を気にかけて、健康体を維持する努力をする必要があるということを獣人の方々にも知っていただきたいんですの」
「あ――それは私達もしてないかも」
レオ姉は感心したように呟く。
「簡単なことでしてよ?いつもと違うな……と思ったら、この果汁酒を飲めばいいだけですの」
「酒を飲んで健康になるって響きがいいね」
酒好きなリタ姉は既に果汁酒を物欲しそうな目で見ている。
貧民街と異なりここの住民は一定の収入があり、風邪を理由に診療所に来てくれれば今度こそ儲かりそうだ。だがそれよりも彼らが健康で笑顔で過ごしてくれる方を希望してしまうのは医者の嫁失格だろうか……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【注意】
今回紹介した『果汁酒』による効能はあくまでも民間療法です。経験に基づいた知識であるため体質に合わない場合があります。体調に異変を感じた場合は、直ぐに使用を中止してください。
【参考文献】
e-yakusou.com:健康を維持する薬用酒/健康酒のご案内(最終閲覧日:2019年6月11日)
http://www.e-yakusou.com/yakusou/yo005.htm
私はそう言ってリタ姉達の前に貧民街時代に作っていた果汁酒をズラリと並べる。
「酒って体にいいのかい?」
リタ姉は半信半疑といった表情で私の顔を覗き込む。既にこのやり取りは定番になりつつあるが私は自信満々の表情で果汁酒を紹介していく。
「まずこちらはアロエ酒ですわ。アロエの葉をよく洗い、はちみつ、酒、レモンと一緒に二ヶ月漬けましたの」
「アロエねぇ……凄い味するよね?」
アロエヨーグルトが流行った時期もあったが、加工されていないアロエを食べるととんでもなく苦い。
「アロエ酒にしましても苦みが強いので甘さを加えて飲むと美味しくいただけますわ。便秘、冷え性、肌荒れなどに効果的なんです。ただ妊娠中などはあまりお勧めいたしませんわ」
私が説明する横でせっせとキースさんがメモを取ってくれている。元々文字が読めなかったリタ姉達だが、酒場で顔を合わす度にちょっとずつ教えたところ最近では簡単な文章やレシピならば読解できるようになっていた。今回の果汁酒についてもレシピと効能を後で一緒に渡す予定だ。
「あ、これイチゴだよね」
レオ姉はイチゴ酒を指し、目を輝かせる。
「熟したイチゴと砂糖、酒で漬けたものですわ。こちらは滋養強壮にピッタリです」
「見た目もいいからカウンターに飾っておくわ」
確かに瓶に入ったイチゴがぷかぷかと浮かぶ様子はおしゃれではある。
「この赤い小さな実はなんだい?」
「こちらはクコの実ですわ。乾燥したクコの実にイチゴ酒のように砂糖と酒を加えて漬け込みます」
「これはどんな効果があるんだい?」
流れが大体分かってきたようだ。レオ姉の質問に私は笑顔で応える。
「疲労回復、内臓の病気にもピッタリなんです。不老長寿の妙薬ともいわれていますわ」
「なんだい、いきなりスゴイのが来たね」
「薬みたいですわよね。クワの実も同じように咳止め、疲労回復などの効果がありますの」
私はそう言って紫色の液体が入った瓶を彼女達の前に押し出す。
「あ、この実、森で沢山なっているのを見たことあるわ」
「えぇ、ここに通うようになって、採集してまいりましたの」
森に通っていた時、コロが森の入口まで迎えに来てくれていたが、携帯電話があるというわけではないので、なんとなくこれぐらいの時間……というようにアバウトな待ち合わせをしていた。
そのため時には一人でも森を一時間以上歩くこともあり、そういった時には森の中で木の実や葉を採集していた。果汁酒の場合(果物により異なるが)一ヶ月から一年以上熟成させる必要がある。いつか役に立てばと思って作っていたのだ。
「どの果汁酒も一日一杯程度が適量と言われています。お客様にもそれとなく提供していただけると嬉しいですわ」
「あぁ~~疲れている客にはクコ酒を出すってことかい?」
「そうですわ。効能はラベルで張り付けておりますので、それを見ながら提供していただけると嬉しいですわ」
「食事をした客には無料でサービスしてもいいかもしれませんね」
工場長からシェフへ昇格(降格?)したリタ兄が、いつの間にか厨房から顔をのぞかせた。
「手間暇はかかっていますが、材料費はさほどかかっておりませんし在庫も大量にございますので無料で提供していただいても大丈夫ですわ。あとお願いしたいのが、住民の獣人の方々にも無料で提供していただきたいんですの」
私の提案に三人は不思議そうな表情を浮かべる。
「獣人の方々は自分の健康体に非常に自信を持っていらっしゃいます」
獣人達に直接聞くのは失礼に当たりそうなので、コロに一度
「診療所がなくて困らなかった?風邪をひいた時はどうするの?」
と聞いたところ、バカにしたような表情で
「そんなもん、寝てりゃ治るだろ。困ると言えば侵入者と戦って怪我を負った時だな。あれは治すのに一苦労する」
と語っていた。おそらく身体をいたわるという発想がないのだろう。村長がキースさんの診療所を歓迎したのも外科的治療を期待したに違いない。だが普通の風邪も侮ってはいけない。風邪で命を落とすということも、最悪ありえるのだから。
「自分の身体を気にかけて、健康体を維持する努力をする必要があるということを獣人の方々にも知っていただきたいんですの」
「あ――それは私達もしてないかも」
レオ姉は感心したように呟く。
「簡単なことでしてよ?いつもと違うな……と思ったら、この果汁酒を飲めばいいだけですの」
「酒を飲んで健康になるって響きがいいね」
酒好きなリタ姉は既に果汁酒を物欲しそうな目で見ている。
貧民街と異なりここの住民は一定の収入があり、風邪を理由に診療所に来てくれれば今度こそ儲かりそうだ。だがそれよりも彼らが健康で笑顔で過ごしてくれる方を希望してしまうのは医者の嫁失格だろうか……。
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【注意】
今回紹介した『果汁酒』による効能はあくまでも民間療法です。経験に基づいた知識であるため体質に合わない場合があります。体調に異変を感じた場合は、直ぐに使用を中止してください。
【参考文献】
e-yakusou.com:健康を維持する薬用酒/健康酒のご案内(最終閲覧日:2019年6月11日)
http://www.e-yakusou.com/yakusou/yo005.htm
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