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頑張れ
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会場に着いてからはしばらく出場する人が居なかったので、次のテストに向けて皆で勉強をしてた。
「…それで、ここがA∪Bになるから、答えは…」
「あ、そっか。なるほど、ありがとうございます、将也先ぱ………て違う!」
勉強はいいけど…何で先輩が私たちに教えてるの?……しかも意外とわかりやすいし。
「先輩、こないだテスト赤点取ったって言ってませんでした?自分の勉強はいいんですか?…と言うか先輩、今日出場するんですよね!?」
そんなふうに言った見せたらすごーくすごーく不思議そうに私を見て、
「そうだけど?」
なんて言う。
こんな呑気なものなのかな…私が気にしすぎてる?
「まあまあ、気にしすぎてもダメだからさ~」
にへらと笑う先輩はやっぱりつかみにくい。先輩が気にならないなら、いっか。
「ねぇ逆に聞くけどさ、ここ分かる~?」
将也先輩に毒気を抜かれているとふとマネージャーの夏奈先輩に声をかけられる。
手渡された教科書とワークノートを受け取りながら思ったのは…
いや、私後輩なんですけど!?しかも天体系苦手…。
「えーと…あれ?」
そんなことを思いながら覗き込んだワークノートは教科書から単語を見つければいいだけのものだった。
「…先輩、これ、ここに載ってますよ。」
ちょっと言い難いけど言った方がいいよね、と思って伝えてみると、夏奈先輩は一瞬ぽかんとしたあと、顔を輝かせて言った。
「ホントだ!!ありがとう、美香ちゃん。助かる~、流石!」
と、特に気にしたように笑っているけど、流石って何故に…?
何でか分からないないのだけれど、この間、1年生の皆がテストの点数を聞かれてから、変に信頼されちゃったんだよね。
別にそんなに凄いこと出来るわけじゃないのにな…と、内心ため息をつきつつ他の人達の相手もしながら勉強をして空き時間を潰していた。
しばらくして、将也先輩がアップに出ていった頃、女子の部長である佳奈先輩の試合が始まった。
結果は残念ながら決勝には届かなかったけれど、先輩は満足そうに応援ありがとうと笑っていた。
それから1時間と少しした頃
「続きまして、トラックでは男子三千メートル傷害が行われます。」
会場全体に女性のアナウンスが流れた。
「将也、ファイト~!!」
競技場の赤いタータンのトラックには将也先輩を含め、十数人の男子選手がスタートを目前にしていた。私たちはそれを応援席から眺め、先輩が走り出すその瞬間を待っている。
そして、ついに
「On your mark……Set」
という声とともにスターターのピストルを持つ腕が掲げられた。
次の瞬間、パアンと言う音と共にいっせいに選手が走り出す。当然、将也先輩も。
今、先輩のラストランがスタートしました!
「…それで、ここがA∪Bになるから、答えは…」
「あ、そっか。なるほど、ありがとうございます、将也先ぱ………て違う!」
勉強はいいけど…何で先輩が私たちに教えてるの?……しかも意外とわかりやすいし。
「先輩、こないだテスト赤点取ったって言ってませんでした?自分の勉強はいいんですか?…と言うか先輩、今日出場するんですよね!?」
そんなふうに言った見せたらすごーくすごーく不思議そうに私を見て、
「そうだけど?」
なんて言う。
こんな呑気なものなのかな…私が気にしすぎてる?
「まあまあ、気にしすぎてもダメだからさ~」
にへらと笑う先輩はやっぱりつかみにくい。先輩が気にならないなら、いっか。
「ねぇ逆に聞くけどさ、ここ分かる~?」
将也先輩に毒気を抜かれているとふとマネージャーの夏奈先輩に声をかけられる。
手渡された教科書とワークノートを受け取りながら思ったのは…
いや、私後輩なんですけど!?しかも天体系苦手…。
「えーと…あれ?」
そんなことを思いながら覗き込んだワークノートは教科書から単語を見つければいいだけのものだった。
「…先輩、これ、ここに載ってますよ。」
ちょっと言い難いけど言った方がいいよね、と思って伝えてみると、夏奈先輩は一瞬ぽかんとしたあと、顔を輝かせて言った。
「ホントだ!!ありがとう、美香ちゃん。助かる~、流石!」
と、特に気にしたように笑っているけど、流石って何故に…?
何でか分からないないのだけれど、この間、1年生の皆がテストの点数を聞かれてから、変に信頼されちゃったんだよね。
別にそんなに凄いこと出来るわけじゃないのにな…と、内心ため息をつきつつ他の人達の相手もしながら勉強をして空き時間を潰していた。
しばらくして、将也先輩がアップに出ていった頃、女子の部長である佳奈先輩の試合が始まった。
結果は残念ながら決勝には届かなかったけれど、先輩は満足そうに応援ありがとうと笑っていた。
それから1時間と少しした頃
「続きまして、トラックでは男子三千メートル傷害が行われます。」
会場全体に女性のアナウンスが流れた。
「将也、ファイト~!!」
競技場の赤いタータンのトラックには将也先輩を含め、十数人の男子選手がスタートを目前にしていた。私たちはそれを応援席から眺め、先輩が走り出すその瞬間を待っている。
そして、ついに
「On your mark……Set」
という声とともにスターターのピストルを持つ腕が掲げられた。
次の瞬間、パアンと言う音と共にいっせいに選手が走り出す。当然、将也先輩も。
今、先輩のラストランがスタートしました!
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