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幸せ

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あの後私はリンドール領に戻り、お父様から正式にルーファス様との婚約者となった事を言われました。

いつの間にと思いましたが、あの階段事件の時、ルーファス様が国王陛下にあっておられたのは、婚約をする手はずを整えるためだったそうです。
お父様は、ルーファス様からの話に、当初私を嫁に出すことはせず、家で共に暮らす事を考えていたそうですが、ルーファス様からの強い希望と、国王陛下直々の手紙から私を婚約者にする事を許可したそうです。

余談ですが、お父様と国王陛下は、学園の同級生で、仲が良かったようです。

そんなこともあり、トントン拍子で、婚約、そして結婚へと至りました。

結婚式のときに、何故かリオ様の声が暗かったのですが、体調が悪かったのでしょうか?もしそうだったら、申し訳ないです。



◇◇◇◇◇◇◇



『んっ....おはようございますルー』
手でルーファス様を探します。
「あぁ...おはようマリア。調子はどうだ?」
私の手を自分の頬においてから、ルーファス様は私のおでこに優しくキスをしてくださいます。

『ふふっ大丈夫ですよ?もう安定期に入っていますから』
「そうか...だが、安静にしてろよ?」
『はい』

私のお腹には6ヶ月になるルーファス様との赤ちゃんがいます。
それに...

ガチャッ
「ママ...」
まだ眠たいのか、ヨタヨタと私たちの部屋に入ってきたのは、今年で3歳になる長男のシエルです。

『おはようシエル』
「ママおはよう...パパ抱っこ」
「...こい」
シエルには、寝室のベットがまだ高くて登れないので、こうしていつもルーファス様が抱き上げて座らせてくださいます。

「ママ...ギュー」
ふわっと香るシエルの匂いに安心し、お腹が苦しくならないように、優しく抱きしめます。
『シエルはいつまでも甘えんぼさんね』
「いいの...だって僕のママだもん」
「違う..俺の妻だ」
ルーファス様の声が聞こえたと共に腕の中の温もりが消え、背中から抱きしめられました。

「パパ...ママは僕の」
「俺のだ」
「違うもん!僕のママだもん!」
「俺の妻だ」
いつもの2人の声に、安心感と、自分の幸せを実感します。
そして、

『あっ!』
「「どうした(の)!」」
『ふふっ2人とも私のお腹に手を当ててみて?』
「もしかして...」
「赤ちゃんに何かあったの!ママ!」
『ここ、わかる?赤ちゃんが動いてるの』
「っ!本当だ!ママ赤ちゃん動いてる!
赤ちゃん!お兄様だよ?早く出ておいで!一緒に遊ぼう!」
シエルが私のお腹に向けて話している姿が、愛おしいです。

「元気に産まれてこいよ」
ルーファス様は優しくお腹を撫でてくださいました。

私の日常は、とても充実しています。
色々ありましたが、学園も卒業し、ルーファス様と結婚、そしてシエルを妊娠して出産。現在は2人目の妊娠。
王家は安泰だと周りの方々に言われますが、私はルーファス様とシエルとお腹の子どもと一緒に暮らすことができるだけで、幸せなのです。


いらない存在だった私を、目が見えない私を、愛してくださったルーファス様と子ども達と共に、私はこの世界で生きていきます。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

一方でアマンダはというと、
あの階段事件の後すぐに城の騎士に捕らえられ、身分の剥奪と今後一切のマリアとルーファスとの接触の禁止により、市井で暮らすようになりました。
元々彼女の母親は、花売りで、偶々彼女の母親と関係を持ったベイゼン男爵は家庭を持っていた。だが、子どもはいなかったため、アマンダを男爵家に養子として迎えたようです。しかし、アマンダが、養子に入ってからは、「私はヒロインだから」というセリフを言い、少ない金を好き放題使っていたようです。しかし、実際に一人で市井に住むとなると金が必要だと考えたようですが、
「どうしてヒロインの私が、こんなところで暮らさないといけないのよ!ふざけんじゃないわよ!!」
という言葉が聞こえてきそうです...。

アマンダは、色々な仕事をしてみたものの、皿は落とすわ接客は雑だわ、客の悪口を堂々というわですぐに首となっていました。しかし、彼女は前世の影響から、男に取り入るすべを知っていたようで、その結果花売りがアマンダの天職となり、それはそれで稼ぎ、それを見初められ、金持ちの年寄りの妻となったようです。その後はパタリと話を聞かなくなったので、落ち着いていると思われます。一部では、その金持ちの年寄りは、妙な性癖があり、その屋敷に入ったら2度と出てくることはできないと噂されています。真実がどうなのかはわかりませんが、ご愁傷様です。


◇◇◇◇◇◇◇◇

一応完結はしますが、少しずつ編集はしていきたいと思いますので、ご了承ください。
拙い文を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。




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