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エピローグ②

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 皆で魔王城に引き上げた数日後、御門とサキラが城を訪ねてきた。ライヤードはすぐに追い返せと命令したが、それを聞いた亜月が「会いたい」と言い出した。

「なんであんなやつらに会いたいの?…まさかまだあの男のこと…!」

「勘違いしないで。」

 鋭い目つきになったライヤードの頬を亜月はムギュッと両手で挟み込む。

「最後に挨拶したいだけです。もう二度と会うことはないだろうから。」

 亜月の言葉にライヤードの表情が和らぐ。そして部屋に控えていた部下に2人を応接室に案内するよう命じた。
 
 ライヤードと亜月が連れ立って応接室に入る。


「っ!!亜月!!」

 ソファに腰を下ろしていた御門が勢いよく立ち上がり、亜月に抱きつこうとする。それをライヤードが舌打ちしながら足蹴りして阻止した。

「御門!?あなた!何をするのです!」

 そんな御門にサキラが慌てて駆け寄った。

「何するってのはこっちのセリフだよ。何を勝手にアヅキに抱きつこうとしてるだ。殺されてもおかしくないのに蹴りだけで許してあげた僕を褒めて欲しいくらいだよ。」

「抱きつくなどするはずがありません!ただ御門はアヅキさんが心配で!」

「亜月!良かった!生きててくれて良かった!亜月が俺を助けてくれたんだよな?やっぱり俺のこと好きなんだろ?はは!また俺のことサポートさせてやってもいいんだぞ?くそっ!王族のやつら!俺に勇者としての力がなくなったって言って城から放り出しやがった!俺は勇者なのに!みんなを救える救世主なんだ!なぁ!お前は俺を救うための聖獣なんだよ!だから女神なんかじゃなくて俺を助けろ!お前の働き次第ではまた愛してやってもいい!サキラもいい女だけど、お前が役に立つなら亜月を一番にしてやってもいいっぶっぅ!!!!」

「聞くに耐えない!!!」


 勝手なことを喚き散らす御門をぶん殴ったのは亜月だった。口から血を流して倒れた御門はうめきながらピクピクと痙攣している。

「浮気したあなたに私からの贈り物よ。よくも他の女に乗り換えてくれたわね。誰があんたみたいな男のところに戻るもんか!優しくて正義感のある男だと思ってたけど、私の勘違いだったわ!二度とその面見せるな、バーーーカ!」

 亜月が大声で怒鳴る。それを見て後から部屋に入ってきていたメルリダが心底愉快そうに笑っている。
 ライヤードは「さすが僕のお嫁さん…強くて美しい…。」と恍惚の表情だ。
 ミィもライヤードと同じく「さすがわたくしの聖獣。強くて美しいですわ…。」とニンマリ笑っていた。

 御門を沈めた後、亜月はツカツカとサキラに歩み寄る。「なっ!なによ!!」と警戒するサキラの頭に亜月は渾身の拳骨を叩き込んだ。

「いったぁーーーーーい!なにすんのよ!」

「なにすんのよはこっちのセリフよ!よくも人の男とったわね!あんたろくな死に方しないんだから!あんたが私を反女神に差し出したのまだ許してないから!御門もね!御門は私の女神が愛するこの世界にいさせない。元の世界に戻します。ミィさん、お願いします!」

「わかりましたわ。」

 ミィがにっこりと笑ってパチンと指を鳴らす。すると御門が倒れている床が眩く光出す。

「っ!!だめ!御門を連れて行かないで!!!」

 御門の体が光に包まれて消える。サキラはそれに縋ろうとするが、間に合わず床に盛大に倒れ込んだ。


「そんな!そんなぁ!もう私にはミカドしかいないのに!私はミカドを!!」

「愛してるの?」

 亜月が尋ねると「当たり前じゃない!」とサキラが答えて睨みつけてきた。

「私は彼が少し目移りしたからってすぐに嫌いになるようなことはしない!心の底から愛してるのよ!だって私たちは運命の相手なんだから!」

 ボロボロと涙を流すサキラを見て、亜月はにっこりと笑った。


「ならあっちでも支えてあげて。1人で頑張れない弱い人なの。…ミィさん、お願い。」

「はい、分かりましたわ。」

 またミィが指を鳴らすとサキラが立っている床が光出す。

「っ!!!せいぜい御門を手放したことを後悔するのね!私が彼を幸せにするんだから!」

「うん、よろしくね。」


「っ~~!悪かったわね!!!!」

「はは!」

 最後のサキラの絶叫に、亜月は思わず笑ってしまったのだった。
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