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真夜中に③
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「…えっ?」
突然、私がこもっている布団の上から優しく手を当てられる感覚がした。そして、何度とそこを優しく優しく撫でられる。
(ま、まさか!)
「御門君!来てくれた…っ!?」
「おわっ!!!」
布団から飛び出して私を撫でてくれていた人物に抱きついた。しかし、聞こえてきたのは御門君よりもずっと低い声。体も御門君よりだいぶ筋肉がついている。
「…えっ?」
「あ、いや、あの。」
目に飛び込んでくるのは、サラサラとした真っ白な髪。それが顔を覆ってしまっていてどんな顔をしているか分からない。でも褐色の肌に複雑な刺青が入ったムキムキの上半身は裸。そして頭にツヤツヤとした真っ黒な角が生えているのを見れば、その人物が御門君でないことな一目瞭然だ。
見たこともない男がわたしの部屋に無断で侵入してきた。
「っ!!!!きゃっもごぉ!」
「わぁー!だ、駄目!大きな声出さないで!」
大きく口を開けて盛大な悲鳴を上げようとしたが、それは目の前の男の人の大きな手で口を塞がれて阻止されてしまった。
(な、なにこの人!いや、殺される!)
見たこともない造形。人間とは違う体の巨大さ。怖くて怖くて、私はジタバタと暴れまくる。しかし、男の人に歯がいじめにされて全く動けなくなった。
元の世界に帰る前に殺されてしまうんだ。そう思った私は、ボロボロと泣き続けた。
「お、お願いだから静かにして。危害は加えないから。お願いにきただけなんだ。話をしたいだけだから、大きな声を出さないで。」
きっと歯がいじめにされたまま締め殺されるんだと思ってぎゅっと目をつむってみたが、その瞬間は一向に訪れない。それどころか、低く優しく耳元で囁かれ、体に甘い刺激が走り「ん!」と変な声が出てしまった。
「落ち着いて?…うん、いい子だ。」
これ以上その声を耳元で聞かさないでほしい。違う意味で顔を赤くしてしまった私は了承の意味で彼の体を優しく叩いた。それに気づいた男は、少しだけ体を離して私の顔を覗き込んでくる。
(わぁ…綺麗な緑…。)
髪の間から見える瞳は、新緑を思わせる美しい緑。見ているだけで心が穏やかになっていくようだった。
「もう離して大丈夫?大きな声出さないって約束できる?」
まるで幼子に聞くように尋ねられたが、そんな扱いを心地よく感じてしまう。素直にコクリと頷くと、口元だけ見える漢が少しだけ笑った。
「落ち着いてくれてよかった。もしずっと騒ぎつつけられたら、城に連れて行かないといけない所だったよ。」
(城?)
城はここのことなんじゃないだろうか。意味がわからず首を傾げると、男が頭を撫でてくれる。それが気持ちよくて目を細めてしまった。そんな私に気付いたのか、男はずっと頭を撫で続けてくれる。
「可愛いね。…はじめまして。僕は魔王。魔王のライヤードだよ。」
「へっ?」
女神と聖女の言葉を思い出す。この世界を守るために勇者とともに旅に出て魔王を討ち滅ぼすと。
「よろしくね。」
この世界の仇敵、魔王がわたしの目の前にいる。
突然、私がこもっている布団の上から優しく手を当てられる感覚がした。そして、何度とそこを優しく優しく撫でられる。
(ま、まさか!)
「御門君!来てくれた…っ!?」
「おわっ!!!」
布団から飛び出して私を撫でてくれていた人物に抱きついた。しかし、聞こえてきたのは御門君よりもずっと低い声。体も御門君よりだいぶ筋肉がついている。
「…えっ?」
「あ、いや、あの。」
目に飛び込んでくるのは、サラサラとした真っ白な髪。それが顔を覆ってしまっていてどんな顔をしているか分からない。でも褐色の肌に複雑な刺青が入ったムキムキの上半身は裸。そして頭にツヤツヤとした真っ黒な角が生えているのを見れば、その人物が御門君でないことな一目瞭然だ。
見たこともない男がわたしの部屋に無断で侵入してきた。
「っ!!!!きゃっもごぉ!」
「わぁー!だ、駄目!大きな声出さないで!」
大きく口を開けて盛大な悲鳴を上げようとしたが、それは目の前の男の人の大きな手で口を塞がれて阻止されてしまった。
(な、なにこの人!いや、殺される!)
見たこともない造形。人間とは違う体の巨大さ。怖くて怖くて、私はジタバタと暴れまくる。しかし、男の人に歯がいじめにされて全く動けなくなった。
元の世界に帰る前に殺されてしまうんだ。そう思った私は、ボロボロと泣き続けた。
「お、お願いだから静かにして。危害は加えないから。お願いにきただけなんだ。話をしたいだけだから、大きな声を出さないで。」
きっと歯がいじめにされたまま締め殺されるんだと思ってぎゅっと目をつむってみたが、その瞬間は一向に訪れない。それどころか、低く優しく耳元で囁かれ、体に甘い刺激が走り「ん!」と変な声が出てしまった。
「落ち着いて?…うん、いい子だ。」
これ以上その声を耳元で聞かさないでほしい。違う意味で顔を赤くしてしまった私は了承の意味で彼の体を優しく叩いた。それに気づいた男は、少しだけ体を離して私の顔を覗き込んでくる。
(わぁ…綺麗な緑…。)
髪の間から見える瞳は、新緑を思わせる美しい緑。見ているだけで心が穏やかになっていくようだった。
「もう離して大丈夫?大きな声出さないって約束できる?」
まるで幼子に聞くように尋ねられたが、そんな扱いを心地よく感じてしまう。素直にコクリと頷くと、口元だけ見える漢が少しだけ笑った。
「落ち着いてくれてよかった。もしずっと騒ぎつつけられたら、城に連れて行かないといけない所だったよ。」
(城?)
城はここのことなんじゃないだろうか。意味がわからず首を傾げると、男が頭を撫でてくれる。それが気持ちよくて目を細めてしまった。そんな私に気付いたのか、男はずっと頭を撫で続けてくれる。
「可愛いね。…はじめまして。僕は魔王。魔王のライヤードだよ。」
「へっ?」
女神と聖女の言葉を思い出す。この世界を守るために勇者とともに旅に出て魔王を討ち滅ぼすと。
「よろしくね。」
この世界の仇敵、魔王がわたしの目の前にいる。
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