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第四章 神様たちは積極的
第四話
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「とまぁ、そういう訳じゃ。それでそなたは我か須佐のか、どちらの神使になるのじゃ?」
保食神様が身を乗り出して尋ねてくる。目をキラキラさせて聞いてくるが、そんなことこの場でパッと決められることでもないし、まだ頭が混乱しているのだ。
「ちょ、ちょっと待ってください!僕にはそんなことすぐには決められませんから!」
「そんなことないだろ?俺か、そこの餓鬼んちょか、どっちが好きかを選ぶだけだろ?餓鬼なんかより、俺の方がいいだろ?」
「こんなエロ神よりも我の方が可愛らしいじゃろ!」
「とりあえずその話は保留にさせてください……。」
大きくため息をついた後、保食神様と速さんの前に置いてあるお皿を片付けることにした。
「そんなに悩むようなことじゃないとは思うけどなぁ。神使になったって、何か生活が変わる訳じゃあない。ただ、日常の中に俺に愛でられるという項目が追加されるだけだ。」
「我だってそうだ。そなたは自分の思うように生活すればよい。ただ、毎日我のためにご飯を作ってくれればいいだけの話だ。」
「そんなことに付き合ってたら、僕の生活が変わりますよ!」
台所で洗い物をしながら、僕はすっとぼけている神様二人に怒鳴り散らしたのだった。
「なぁ、そなたは名前はなんというんじゃ?」
「僕は朝穂だよ。」
「朝穂か!良い名ではないか!朝穂には我のことをうーちゃんと呼ぶ権利を与えてやろう!喜ぶがいいぞ!」
「うーちゃん……。」
保食神様、改めてうーちゃんは、僕の部屋にで座布団の上に座りつつにっこりと笑う。ご飯を食べ終わった後、速さんは「店番があるから今日は帰る。また来るからな。」と言って、うーちゃんと喧嘩しながらも、帰っていった。(玄関を出る前に熱烈な抱擁を交わされたのには、驚いたけど……。)
「そういえば、朝穂はここに住んでるのか?我はずっとお櫃の中に入ってたから分からんのじゃ!」
「僕は昨日からここに住むことになったんだよ。」
「そうなのか?どうして昨日からなんじゃ?別のところに住んでおったのか?」
「そうだよ。ここから少し遠いところに住んでたんだけど、引っ越して来たんだ。」
「そうなのか!それは我にとってはとても都合が良い!遠くに住んでるのであれば、いちいちこちらに来てご飯を作ってもらわなければならんからな!」
「僕がご飯を作るって言うのは決定事項なんですね……。」
うーちゃんは「当たり前であろう!我の言うことは絶対だ!」とふんぞり返っている。
「神に使えるというのはなかなかできるとことではないのだぞ?誇りに思うが良い。我が神の力を取り戻したあかつきには必ずそなたに褒美を取らせよう!」
「楽しみにしてまーす……。」
適当に返事をしたせいで、うーちゃんがぎゃあぎゃあと怒っているがスルーすることにする。
「朝穂?おるかぁ?」
すると、玄関の方からお祖父ちゃんの声が聞こえてきた。僕がうーちゃんや、速さんとゴタゴタしているうちに、帰ってきたようだ。
(そうだ!お祖父ちゃんに相談しよう!)
お祖父ちゃんならうーちゃんや速さんのことをどうにかしてくれるかもしれない。
「ちょっときて!」
「なっ!引っ張るでない!」
座布団の上に座り込んでいるうーちゃんがの手をとって、無理やり立たせて玄関まで連れていく。玄関ではお祖父ちゃんがタオルで汗を拭きながら笑っていた。
「おぉ、おったか!速が来たっちゃろ?さっき店によってみたらそういっちょったからよお。若いもんとはなしてみたかったからって言ってたわ。だから今日の晩飯に誘っといたわ!」
「えっ!速さんを誘ったの?」
「なんじゃ?速が嫌いか?」
「嫌いとかじゃないけど……。」
「ならいいやろ?じゃあお祖父ちゃんはちょっと仕事にいってくるからのぉ。」
「あっ!まってお祖父ちゃん!この子って!」
ふわぁと大きなあくびをしているうーちゃんを指差す。
「この子ぉ?なんのことじゃ?まだ寝ぼけとるんか?」
ケラケラと笑ってお祖父ちゃんが出ていく。
「だから言ったじゃろ?見えんとな。」
隣でうーちゃんがニヤリと笑った。
保食神様が身を乗り出して尋ねてくる。目をキラキラさせて聞いてくるが、そんなことこの場でパッと決められることでもないし、まだ頭が混乱しているのだ。
「ちょ、ちょっと待ってください!僕にはそんなことすぐには決められませんから!」
「そんなことないだろ?俺か、そこの餓鬼んちょか、どっちが好きかを選ぶだけだろ?餓鬼なんかより、俺の方がいいだろ?」
「こんなエロ神よりも我の方が可愛らしいじゃろ!」
「とりあえずその話は保留にさせてください……。」
大きくため息をついた後、保食神様と速さんの前に置いてあるお皿を片付けることにした。
「そんなに悩むようなことじゃないとは思うけどなぁ。神使になったって、何か生活が変わる訳じゃあない。ただ、日常の中に俺に愛でられるという項目が追加されるだけだ。」
「我だってそうだ。そなたは自分の思うように生活すればよい。ただ、毎日我のためにご飯を作ってくれればいいだけの話だ。」
「そんなことに付き合ってたら、僕の生活が変わりますよ!」
台所で洗い物をしながら、僕はすっとぼけている神様二人に怒鳴り散らしたのだった。
「なぁ、そなたは名前はなんというんじゃ?」
「僕は朝穂だよ。」
「朝穂か!良い名ではないか!朝穂には我のことをうーちゃんと呼ぶ権利を与えてやろう!喜ぶがいいぞ!」
「うーちゃん……。」
保食神様、改めてうーちゃんは、僕の部屋にで座布団の上に座りつつにっこりと笑う。ご飯を食べ終わった後、速さんは「店番があるから今日は帰る。また来るからな。」と言って、うーちゃんと喧嘩しながらも、帰っていった。(玄関を出る前に熱烈な抱擁を交わされたのには、驚いたけど……。)
「そういえば、朝穂はここに住んでるのか?我はずっとお櫃の中に入ってたから分からんのじゃ!」
「僕は昨日からここに住むことになったんだよ。」
「そうなのか?どうして昨日からなんじゃ?別のところに住んでおったのか?」
「そうだよ。ここから少し遠いところに住んでたんだけど、引っ越して来たんだ。」
「そうなのか!それは我にとってはとても都合が良い!遠くに住んでるのであれば、いちいちこちらに来てご飯を作ってもらわなければならんからな!」
「僕がご飯を作るって言うのは決定事項なんですね……。」
うーちゃんは「当たり前であろう!我の言うことは絶対だ!」とふんぞり返っている。
「神に使えるというのはなかなかできるとことではないのだぞ?誇りに思うが良い。我が神の力を取り戻したあかつきには必ずそなたに褒美を取らせよう!」
「楽しみにしてまーす……。」
適当に返事をしたせいで、うーちゃんがぎゃあぎゃあと怒っているがスルーすることにする。
「朝穂?おるかぁ?」
すると、玄関の方からお祖父ちゃんの声が聞こえてきた。僕がうーちゃんや、速さんとゴタゴタしているうちに、帰ってきたようだ。
(そうだ!お祖父ちゃんに相談しよう!)
お祖父ちゃんならうーちゃんや速さんのことをどうにかしてくれるかもしれない。
「ちょっときて!」
「なっ!引っ張るでない!」
座布団の上に座り込んでいるうーちゃんがの手をとって、無理やり立たせて玄関まで連れていく。玄関ではお祖父ちゃんがタオルで汗を拭きながら笑っていた。
「おぉ、おったか!速が来たっちゃろ?さっき店によってみたらそういっちょったからよお。若いもんとはなしてみたかったからって言ってたわ。だから今日の晩飯に誘っといたわ!」
「えっ!速さんを誘ったの?」
「なんじゃ?速が嫌いか?」
「嫌いとかじゃないけど……。」
「ならいいやろ?じゃあお祖父ちゃんはちょっと仕事にいってくるからのぉ。」
「あっ!まってお祖父ちゃん!この子って!」
ふわぁと大きなあくびをしているうーちゃんを指差す。
「この子ぉ?なんのことじゃ?まだ寝ぼけとるんか?」
ケラケラと笑ってお祖父ちゃんが出ていく。
「だから言ったじゃろ?見えんとな。」
隣でうーちゃんがニヤリと笑った。
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