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第二章 うけもち様との出会い
第六話
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「朝穂、これで大丈夫?食べられるとけ?」
「うん、大丈夫だよ。お祖母ちゃん、ありがとう。」
テーブルの前に座った僕にお祖母ちゃんが恐る恐る出してくれたのは、冷凍のチャーハンとインスタントの味噌汁、それとサラダだった。
お祖父ちゃんとお祖母ちゃんの前には、雑穀米に、じゃが芋と玉葱としめじが入った味噌汁、金平牛蒡の副菜に、メインはタルタルソース付きのチキン南蛮だった。美味しそうだなとは思うものの自分で食べようと言う気は全く起こらなかった。
「それじゃあ食べるか。朝穂、遠くからお疲れさまやったなぁ。しばらくうちでゆっくりすればいいとよ。」
「私も爺ちゃんも全然迷惑やないからね?朝穂のいたいだけいていいんやから。」
「うん。二人ともありがとう…。どのくらいいるか分からないけど、お世話になります。よろしくお願いします。」
二人に向かってそれぞれ正座をして頭を下げると、ニッコリと笑ってくれた。
「よし、じゃあ食べるか!」
「あっ!ちょっと待って!」
僕は隣に置いていた焼き菓子をお祖母ちゃんに向かって差し出す。
「全然大したものじゃないけど、一応お土産です。」
「あらあら、まぁまぁ!そんな気を使わんで良かったとに!」
そういいながらもお祖母ちゃんの目はキラキラと嬉しそうに輝いている。
「焼き菓子だからおやつの時間にでも食べてよ。」
「ありがとうねぇ。」
「朝穂、ありがとう!じゃあ今度こそ食べるぞ!俺はもう腹が減って耐えられんとよ!」
情けなく眉を下げるお祖父ちゃんの姿を見て、お祖母ちゃんとクスクス笑うと、僕たちはそれぞれの夕飯を口にしたのだった。
「朝穂、ちょっといい?」
食事を食べ終わって、皆でテレビを見ていると、お祖母ちゃんが僕の隣に寄ってきた。
「ん?何、お祖母ちゃん?」
テレビから視線を外して、お祖母ちゃんの方を向くと、その病状は固く引き締められていた。
「お祖母ちゃん?」
「あんな。朝穂がな、うちにいるのは全然構わんとよ?でもな、朝穂の事情も少し聞いときたいとよ。…おうちで何があったとかな。」
「…。」
僕は下を向いて黙りこむ。お祖父ちゃんとお祖母ちゃんには、家でのことは伝えていない。ただ「お祖父ちゃんたちの家に行って気分転換がしたい」とだけ話しているだけだ。母さんも、家でのやりとりは伝えていないようだ。
「うちで何かあったとか?嫌な思いでもしたとか?」
「そんなことないよ…。」
むしろ嫌な思いをさせたのは自分だ。でもそれを伝えて、二人から嫌われてしまったらどうしようと想ってしまう。ここを追い出されたら、僕にはいよいよ行き場がなくなってしまう。
「朝穂ぉ、家族と何かあったとか…?」
「婆ちゃん、そんな急がんでもええやろ?」
助け船を出してくれたのはまたお祖父ちゃんだった。飲んでいた焼酎のグラスを置いて、優しく微笑んでくれる。
「時間ならこれからいくらでもあるとよ。朝穂が話したくなった時に話せばいいと。なぁ、婆ちゃん?」
「そうやろうか?朝穂が苦しんでるなら、婆ちゃん一緒に考えたいと思ったとよ。」
「お祖母ちゃん、ありがとう…。もうしばらく待ってもらっていい?」
まだ言えない。こんな気持ちは。あんなことがあったことは。僕が絞り出すように言うと、お祖母ちゃんは少し黙って、力強く頷いてくれた。
「分かったよ。婆ちゃんも急ぎすぎてごめんねぇ。爺ちゃんからもお前は何でも急すぎるって怒られるんよ。」
「ううん、お祖母ちゃんは悪くないよ。」
「朝穂、ゆっくりでいいと。ゆっくりやっていこや。」
今度は僕がお祖父ちゃんに向かって力強く頷く番だった。
「うん、大丈夫だよ。お祖母ちゃん、ありがとう。」
テーブルの前に座った僕にお祖母ちゃんが恐る恐る出してくれたのは、冷凍のチャーハンとインスタントの味噌汁、それとサラダだった。
お祖父ちゃんとお祖母ちゃんの前には、雑穀米に、じゃが芋と玉葱としめじが入った味噌汁、金平牛蒡の副菜に、メインはタルタルソース付きのチキン南蛮だった。美味しそうだなとは思うものの自分で食べようと言う気は全く起こらなかった。
「それじゃあ食べるか。朝穂、遠くからお疲れさまやったなぁ。しばらくうちでゆっくりすればいいとよ。」
「私も爺ちゃんも全然迷惑やないからね?朝穂のいたいだけいていいんやから。」
「うん。二人ともありがとう…。どのくらいいるか分からないけど、お世話になります。よろしくお願いします。」
二人に向かってそれぞれ正座をして頭を下げると、ニッコリと笑ってくれた。
「よし、じゃあ食べるか!」
「あっ!ちょっと待って!」
僕は隣に置いていた焼き菓子をお祖母ちゃんに向かって差し出す。
「全然大したものじゃないけど、一応お土産です。」
「あらあら、まぁまぁ!そんな気を使わんで良かったとに!」
そういいながらもお祖母ちゃんの目はキラキラと嬉しそうに輝いている。
「焼き菓子だからおやつの時間にでも食べてよ。」
「ありがとうねぇ。」
「朝穂、ありがとう!じゃあ今度こそ食べるぞ!俺はもう腹が減って耐えられんとよ!」
情けなく眉を下げるお祖父ちゃんの姿を見て、お祖母ちゃんとクスクス笑うと、僕たちはそれぞれの夕飯を口にしたのだった。
「朝穂、ちょっといい?」
食事を食べ終わって、皆でテレビを見ていると、お祖母ちゃんが僕の隣に寄ってきた。
「ん?何、お祖母ちゃん?」
テレビから視線を外して、お祖母ちゃんの方を向くと、その病状は固く引き締められていた。
「お祖母ちゃん?」
「あんな。朝穂がな、うちにいるのは全然構わんとよ?でもな、朝穂の事情も少し聞いときたいとよ。…おうちで何があったとかな。」
「…。」
僕は下を向いて黙りこむ。お祖父ちゃんとお祖母ちゃんには、家でのことは伝えていない。ただ「お祖父ちゃんたちの家に行って気分転換がしたい」とだけ話しているだけだ。母さんも、家でのやりとりは伝えていないようだ。
「うちで何かあったとか?嫌な思いでもしたとか?」
「そんなことないよ…。」
むしろ嫌な思いをさせたのは自分だ。でもそれを伝えて、二人から嫌われてしまったらどうしようと想ってしまう。ここを追い出されたら、僕にはいよいよ行き場がなくなってしまう。
「朝穂ぉ、家族と何かあったとか…?」
「婆ちゃん、そんな急がんでもええやろ?」
助け船を出してくれたのはまたお祖父ちゃんだった。飲んでいた焼酎のグラスを置いて、優しく微笑んでくれる。
「時間ならこれからいくらでもあるとよ。朝穂が話したくなった時に話せばいいと。なぁ、婆ちゃん?」
「そうやろうか?朝穂が苦しんでるなら、婆ちゃん一緒に考えたいと思ったとよ。」
「お祖母ちゃん、ありがとう…。もうしばらく待ってもらっていい?」
まだ言えない。こんな気持ちは。あんなことがあったことは。僕が絞り出すように言うと、お祖母ちゃんは少し黙って、力強く頷いてくれた。
「分かったよ。婆ちゃんも急ぎすぎてごめんねぇ。爺ちゃんからもお前は何でも急すぎるって怒られるんよ。」
「ううん、お祖母ちゃんは悪くないよ。」
「朝穂、ゆっくりでいいと。ゆっくりやっていこや。」
今度は僕がお祖父ちゃんに向かって力強く頷く番だった。
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