ひとりぼっちの僕が幼女神に癒され、エロ神様に溺愛される話

めろめろす

文字の大きさ
上 下
4 / 22
第二章 うけもち様との出会い

第一話

しおりを挟む
窓枠に肘をついて頭を支える。ぼーっとしている間に、乗車した路線バスの中から見る景色はどんどんと様相が変わっていく。ビルやマンションなどが多かった都守町を出ると、30分ほど田んぼが広がった田舎道を進む。そして、どんどん山奥へとバスが進んでいた。駅を出発して、1時間ほど経つと、コンクリートで舗装はされているものの、でこぼこした場所が見られるようになったほか、斜面からは湧水がコンコンとわき出ていたり、その水量が増して、天然の滝が見れるような場所も出てきている。最初、数十人ほど乗っていた乗客も、今では片手で数えられる程度に減ってしまっていた。

(そういえば父さんの実家に行くの、何年ぶりかな。)

父さんの実家で過ごした最後の記憶は小学6年生の時だ。毎年、お正月やお盆など、長期休みがある時には、父さんの運転する車に乗って、山の中腹にある父さんの実家に帰省していた。でも僕が中学生になってから、僕と兄さんは部活で忙しくなったり、沙知もピアノの習い事を始めたりして、行くことがなくなっていた。

「…確か、お祖父ちゃんたちのうちってすごく古かったような…。」

父さんの実家はとても古い建物だと聞いたことがある。見た目もかやぶき屋根で、お祖父ちゃんいわく「ずーっと昔からここに建っている」らしい。確かにいったい何年たっているのかと疑問に思うほど、真っ黒になって艶光している柱や年季の入った家具を見ると、それも嘘じゃないってことが分かる。家の裏は里山になっていて、おばあちゃんが山菜や栗、筍などたくさんの旬のものを取ってきてくれ、父さんがそれを料理してくれた。それを家族とお祖父ちゃん、お婆ちゃんとでたくさん笑って食べていた。

そこまで思い出して、考えることをやめた。どれだけ願っても過去に戻ることはできないのだから。家を出る前に、お祖父ちゃんに電話すると「気のすむまでうちにいて構わない」と言ってくれた。もう学校に行く気もないし、本当に気が済むまでいさせてもらおうと思っている。

「ふわぁ…。」

大きなあくびをする。まだお祖父ちゃんたちの家がある椎羽村まで1時間以上かかる、まだまだ先は長い。僕はカバンの中に入れいてた携帯食料を取り出して、一口齧った。

「うわぁ…こんなに田舎だったっけ?」

車内の案内アナウンスが椎羽村の名前を告げる声で目を覚ます。バスは鬱蒼と茂った林の中の細い小道を進んでいた。急いで荷物をまとめて、降車ボタンを押す。いつのまにか、僕以外の乗客は全員降りてしまっている。数分すると、古ぼけたブリキ製のバス停の前でバスが停車した。お金を払ってバスを降りると、すぐにバスは出発してしまった。
降りた場所は赤いペンキが所々剥げたアーチ型の橋のたもとだった。橋は深い谷の間にかかっていて、こちら側と向こう側の山をつないでいる。斜面には所々家屋と思われる建物が見えている。遠くで何かの動物の泣き声が聞こえ、谷にか細く響いた。

「えっと、確かこの先に小学校があるはず…。」

スマートフォンの地図アプリで確認すると、橋を渡って200メートルほど行くと、椎羽小学校が見えてくるはずだ。そこにお祖父ちゃんが迎えに来てくれる予定になっている。アプリが示してくれる方向へと歩き出す。橋は車道の横に少し狭い歩道があり、そこを進む。谷を覗き込むと、随分下の方に小川が見えた。季節は秋から冬に移り変わっていて、綺麗な紅葉が飛び込んできた。景色をスマートフォンで撮影しながら、道を歩いていると、先の方に大きな銀杏の木が見えてくる。黄色に色づいた銀杏からは、ひらりひらりと葉っぱが舞い落ちている。その木は小学校の校門前に植えてあるようで、その下には木製のベンチが置いてある。近くまで来て周りを見てみたが、まだお祖父ちゃんたちは来ていないようだ。ベンチに座って、しばらく待つことにした。
ゆっくりと落ちていく銀杏の葉を見ていると、ささくれ立った心が少しだけ慰められるような気がする。頬をなでる風が心地良い。バスの中であんなに寝たはずなのに、僕はまた眠気に誘われてしまった。

「あぁ、そうか、そうだな。我に任せておけ。」
「………。」
話声が聞こえる。目を開けると、真っ白な場所だった。声の方へ視線を向けると、小さな女の子がうずくまってぶつぶつと何かを喋っている。

「そう急くな。時間がかかる。えぇい、うるさい!我に任せておけばいいのだ!」

しかも何か怒っているようだ。近寄って声をかけようとするが、足が動いてくれない。

「そこのお前。迷い込んだな?さっさと去ね。」
「あっ。」

少女が立ち上がってこちらを振り返った。

「朝穂?こんな所で寝ていたら風邪を引くぞ!」

少女の顔を見ようと思ったが、ぱちりと目を開けてみると、そこにいたのはお祖父ちゃんだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

失恋して崖から落ちたら、山の主の熊さんの嫁になった

無月陸兎
BL
ホタル祭で夜にホタルを見ながら友達に告白しようと企んでいた俺は、浮かれてムードの欠片もない山道で告白してフラれた。更には足を踏み外して崖から落ちてしまった。 そこで出会った山の主の熊さんと会い俺は熊さんの嫁になった──。 チョロくてちょっぴりおつむが弱い主人公が、ひたすら自分の旦那になった熊さん好き好きしてます。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

処理中です...