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マゴテリアへ

第24話

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「ファニア!!!」

「分かってるわ!!!」


 バライカの手がマリアに触れようとした瞬間。空から大きな声が聞こえてきた。それにいち早く気付いたバライカは大きく舌打ちをして、マリアから距離を取る。


「まさか君たちまでやって来るとは思わなかったよ。」

 乱れた前髪を払ってバライカがニヤリと笑う。

「ファニアがなんか嫌な予感がするとかいうから来る羽目になったんだろうが。早く帰らねーと王に怒られるんだから、さっさとバライカ倒すぞ。」

「分かってるわ。私だってこいつの近くになんて一秒もいたくないのよ!なのにミストレイアが『あなたも行ったほうがいいわ』って言うから!予言の妖精の言うことは聞いとかないと後で痛い目に遭うのよ!」

 ギャアギャアと2人で罵り合いながら男女が空から降って来る。


「ラシード様…。」

「おう、アリアネス。久しぶりだな。相変わらず可愛らしいぞ?」

 不敵に笑うのは、ファニアを横抱きにしているラシードだった。





「やぁ、ファニア。やっと僕に会いに来てくれたんだね。この日をどれほど待ち望んだことか。本当はもっとロマンチックな場所で…」

「御託はいいわ。私はあなたのものにはならない。以前もそう言ったはずよ、元妖精王バライカリオーン。」

 ラシードの腕から降りたファニアは鋭い目つきでバライカを睨みつける。しかしバライカはそんな視線を向けられてもうっとりとした表情でファニアを見つめていた。

「あぁ、やはり君はとても美しい。その見た目もその魂もその力も!完璧な僕に相応しいパートナーは君しかいないんだよ、ファニアスタス。どうしてそれが分からないんだ?」

 演技かかった仕草で頭を抱えるバライカの瞳が赤から黒に戻る。

「っふぅ!!」

 すると苦しんで荒くなっていたオネオンの息遣いが元に戻る。そんなオネオンにすぐにマリアが駆け寄った。

「オネオン!オネオン、大丈夫?」

「マリア…。」

 オネオンが呆然とマリアの顔を見つめる。マリアは涙を流しながらもにっこりと笑った。

「ふふ。死に損なっちゃいました。」

「っ!そんなことを言うな!」

「あっ…。」

 オネオンが顔をしかめてマリアの体を抱き寄せる。ぎゅっと強く抱きしめるとマリアの体がガタガタと震えていることが分かったオネオンはたまらない気持ちになって、抱きしめる力を強くした。


「何を勝手に感動の再会をしているのかな?」

 バライカが抱き合うマリアとオネオンに攻撃を放つ。

「ファニア!」

「だから分かってるって!」

 2人の前に躍り出て手のひらで攻撃を防いだファニア。ラシードは姿勢を低して走り出し、キウラとアルフォンソ、ロヴェルを捕えていた兵士を蹴りで昏倒させた。

「キウラ!アルフォンソ!マリアを守れ!ロヴェルはさっさと加勢しろ!!!」


「「「はい!」」」

 自由になった三人はそれぞれの武器を手に取って同時に動き出した。
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