こんな異世界望んでません！

第3章 魔導帝国ハビリオン編

初めての皇族…って、このタイトルまだ続くんかい☆

「うっ…あああ…ぁ…」

「んひゃぁ…へ…？」

 中に違和感を感じたのはアスキルに入れられた直後だった。
アスキルのモノが中でビクビク震えているのがわかる。
そして温かいものが出ているのも……。

「え…ま…まさか…」

 驚いた俺は顔を上げる。
そこには俺の事を見つめるアスキルが。
そしてアスキルの顔がジワジワと赤くなり、プルプル震え始めてしまった。

 …し、しまったぁ！！
いやまて！まだ言ってないぞ！早漏そうろうだなんて男のプライドを貶けなすような事は！

 繋がったまま、俺達の間に変な空気が流れる。
アスキルはプルプルが止まらないし、俺はなんてフォロー…というか、話しかけたらいいのか…。
そんな状態が少し続いた。

「う…ぅ…ぐうぅ…ぅ」

 最初に空気を破ったのはアスキルだった。
プルプルと震えながらも唸り始めたのだ。
どうしたのだろう？と思い、口を開きかけたが、キッという感じに睨まれ、喋れなくなる。
その時、体の中に違和感が。
中のアスキルのモノが再び固くな――

「くぅッ！！」

「あ゛…ッッ！！！？？？」

 突然の刺激に頭の中がチカチカする。
次の瞬間には腰を両手で鷲掴みにされ、激しい律動が始まる。

「あッ…あッ…ヒッ…いやッ…あんッ…んひぃっ！」

 ガツガツと腰を振られ視界がボヤけてしまう。
何かを言おうとするもマトモな言葉が紡げずに出るのは嬌声のみ。

「はぁっ……！舐めるなよッッ！一度…！出せば…！くぅ…ッ長続きするんだっ！うっ…気持ち…いいッッ！」

「んあぁッッ！！」

 力の有らん限りの律動に翻弄され続ける俺。
目の前の赤らむ顔でこっちを見つめる美少年と部屋に響くパチュパチュという生々しい音とのギャップが激しい。

「ユウト…んっ…もっと…」

「ふ…ぅんッ…！んんっ…ちゅ…」

 目の前の顔が降ってきたと思ったら貪るように唇を奪われる。
唾液だけならず空気までも奪われて、息苦しさに襲われてしまう。
必死に体を動かそうとするが、ガクガク揺さぶられて中々アスキルに伝わらない。

「んぅ……ユウトぉ…んちゅぅ…」

 「んんんっっっ！！んぐぐぐッッ！！」

 苦しくて殺気…というか、威圧スキルを使おうか……と本気で検討し始めた頃、やっと口が離れ息を吸う事が出来た。
はぁぁぁ！！空気が美味しい！！ちょっと熱気っぽい空気だけど！それでも呼吸って素晴らしい！！
唾液の橋がかかってるとか気にしねぇ！

「ユウト…好きだ…愛してる…」

「んへ…？」

 いつの間にか腰を掴んでいた手が俺の両手を掴んでいた。
両手とも指を絡ませていわゆる恋人繋ぎのような状態になっている。
そんな両手を俺の顔の横に置いて、アスキルがボソッと何かを呟いた。
だが、俺は呼吸をするのに必死で聞き取れず……。

「俺の子を孕んでくれたらずっと一緒に…」

 またもや何かを言っていたが、よく聞き取れない……。
なんかハラミだがロースだか言っていたような気がするけどよくわからん。
なんで肉の部位の話してるのやら……。

 そんな事を考えてる間にも律動は止まらず、先程よりも更に速度が上がり両手にも力が入っていくのがわかる。
この感じ……もしかして。

「ま…まっへぇ…ッ…だしゅ…だしゅなぁ！」

「くっ…！出すぞ…出す！！ユウトッッ！！俺の子を産んでくれッッッ！！ぐぅっ！！う……ああぁぁぁぁああッッッ！！！」

「んんんっっ！」

 ドクドクと流れる熱いものが俺の中を蹂躙する。
そして塗り込められるように腰を動かされ、その度に体がビクビクと反応してしまう。
だが、俺があげようとしていた嬌声は全てアスキルの口に吸い込まれてしまった。

「んちゃ…あへぇ…も…まだ…出てりゅぅ…」

「ユウト…ユウト…好きだ…好き…」

 長い時間出されていたような気がする。
男なのに男に突っ込まれて出されて最悪だ……と、思うのに、それをされてあんあん鳴いてしまう自分も最悪だ、と思う。
というか初めてなのにキスが上手いな……ってそんな事関係無いか…。
ってあれ？なんかアスキルのちんこが大きく…？


ぐちゅんッッ！

「んあぁぁっっ！！？？」

「ユウト…ごめん…まだ足りない…もっと」

 俺が何か言う前に再び律動が始まった。
さっき出したばかりだというのに、この皇子は絶倫なんか？
ツンデレ二重人格絶倫美少年皇子ってキャラ濃すぎやろ。

 ただ、そんな文句も口には出せない。
なぜなら快楽やら酸素不足やらで体力が限界なんです。
もう意識がフラフラしてるというか…。

「ユウト…ッ！愛してる…！俺の…俺の…ッッ！」

「んぁ…ぁ…んひぃ…ぁ…も…だめ…ん…」


 下半身の感覚が無くなってきた頃、俺はアスキルのキスを受けながら意識を失ったのだった。



・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


《称号の解析が完了しました……不具合は確認出来ませんでした》

《全ての精霊の解析が完了しました……これにより『精霊種』への進化を試みます……失敗しました》

《続いて精霊の再生を開始します……》

《術式の解析が完了……『龍脈』へ接続を開始します……》

《【賢者】の進化を試みます……失敗しました》



《複数の遺伝子の解析を完了……『亜人種』へ進化を開始します……成功しました

【再生】が【高速再生】に進化しました……
【痛覚軽減】が【痛覚無効】に進化しました……
【威圧】が【覇気】に進化しました……
【隠密】が【忍者】に進化しました……
【忍者】を獲得した事により【消音】が消滅しました……》



・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・



 月明かりが射し込む暗い部屋。
そこに数人の男達が集まっていた。
そして一人の男が対面に座っている二人に話しかける。

「傷の具合はどうだ？」

 それに答えたのは二人のうちの一人。
その細い目で対面の男を見据える。

「まだ治りませんね…最後にあれだけの力を使ってくるなんて予想外でしたよ」

 ため息をついて、無くなった右手を庇うように左手を動かす。
それを見ていた隣の男は、苛立つように吐き捨てる。

「はんっ！お前があの老いぼれをさっさと殺さなかったせいだろうが。そのせいで俺まで巻き添えになったじゃねぇか。」

 そう睨みつける男だが、その体には目立った傷は無く、赤い鱗が月の光で美しく煌めくだけだ。

「それを言うならあなたがあの時、ヤツの頭を撃ち抜いていればそれで終わっていたじゃないですか」

「なんだと？」

 どちらも引く気は無く、一触即発の気配を漂わせ始めた時、対面の男が手を叩いて空気を変える。

「いいじゃないか、結局相手の力は削れたのだろう？あの四天魔道士は一番厄介だったからな」

「…そうだな」

 男に同意したのは男の隣に座っている男だ。
その男を見て細めの男は口を開く。

「あなたの方はどうだったんだい？一応破壊は出来たらしいけど」

 それを聞いた男はどこか遠くを見るようにして、話し始めた。

「ああ、邪魔が入ったが破壊には成功した。まさか“力”を使う事になるとは思わなかったがな」

「あなたが“力”を使うとは驚きですよ、まさか彼らがそれほどまでに戦えたとは…」

 細めの男は記憶の中にある二人の少年を思い出す。
自分の攻撃に反応し、防御したのは驚きだったが、まさか目の前の男に対応出来るほどだとは思っていなかったのだ。

「まぁいいじゃないか、皇子の方は解呪されるかもしれないが、もう一人の方は始末出来たのだろう？」

「ああ、あれを耐えられるとは思えん」

 実際、あの即死攻撃を受けて耐えられる者はこの中にいる者ですらほとんどいない。
それはいいのだが、男が思案しているのは別の理由だ。
あの少年と戦った後から何故か彼の事が忘れられない。
殺した相手の事など普段は即忘れてしまうのに。
殺した事を後悔すらしている自分がいるのだ。
それに困惑し、男は思考を深く沈めていく。

 そんな男を見つめ首を傾げるが気にせずに再び手を叩いて注目を集める。

「ハビリオンの話は終わりだ、もうあそこは長くないからな」

 男が話し出して、今まで喋らなかった別の男に話しかける。

「それでそっちの方はどうだった？」

 話しかけられた男はジッと見つめ返し、口を開いた。

「隔離完了、天使が見つかる可能性はほぼゼロだ」

 それだけ言うと再び沈黙する。
それを見た男は頷くと、一番窓際に座っている男に話しかけた。

「報告は以上でございます」

「………」

 話を聞いた男は何も言わず静かに周りの者達を見回す。
それだけで彼らには理解出来た。


「我等の願いのために」

「「「我等の願いのために」」」


 そんな男達の言葉が部屋に響いた。