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第3章 魔導帝国ハビリオン編

魔物は欲望に忠実ですわはい

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『ユウト…ユウト…』

「………」

 頭で胸をグリグリされること数分
顔の大きさ的にお腹にも刺激を与えられるせいで少し気持ち悪く…うぷ

 なんでこんな事に…って、俺のせいだろうね
わかってはいたよ?アルバの事を酷使してる事くらい
でも、最初の出会いがアレだからねぇ…

 なので、 あまり優しくしない方が良いのかも…と思ってたけど、少しくらいねぎらいも必要かな
じゃないと今後、こんな風にねたりするかもしれん
それはメンド…大変そうだな

 手持ち無沙汰なので目の前の毛に、手を埋める
頭の部分だからか、そこまでフサフサではないけど結構触り心地が良いものだ

『ユウト…』

 ゆっくりと頭と耳の部分を撫でていると、アルバも気持ちいいのか喉を鳴らしながら更に擦り寄ってくる
アルバは体を丸めるように俺にくっ付いているので、俺が倒れてもモフモフなアルバの体の上に倒れるだけだ

  アルバに体重を預けながら少しウトウトする

 
…そうだ、俺は帰れるのかな…
ふとそんな考えが過ぎる
前に賢者先生が帰れるとかなんとか、いってた気がするけど…

 もし、帰れるなら帰りたいかもしれない
男ばっかの世界で男やら人外にヤられてるんだよ?自分が原因だとしても、これは辛い

 でも問題がある
たとえば、この世界と向こうの世界の時間の流れが違かったら帰ったとしても家族は…友達は居ないんじゃないか…とか
そう考えると帰るのがちょっと怖くなる

 あと、スキルは?
今まで賢者先生や身体強化や魔法とか、便利な能力として使ってたけど向こうじゃ使えないと思うし、便利だったからこそ、使えなくなったら自分が色んな意味でダメになる気がする
それも怖い…

 それに帰るとしたら、この異世界での関係は?
アルバやウィリーは元の野生の魔物に戻るのかな?
カイルさんやカール…それにフェル達にも会えなくなる
いや、カールには会えなくていいんだけど

 色々あったけど、やっぱり皆と別れるのは寂しい…それに悲しい
でも、向こうの世界にも戻りたい…家族に会いたいって気持ちもたくさんある

 どうしたらいいんだろう…


「…ウェッ!アルッ…!」

 ボーッと考え事をしてる俺の口に再びアルバの舌が侵入してきて、考えが吹き飛ぶ

 どうにかアルバを押さえ込んでから空を見上げた
青くんだ空に大きな雲が流れていく


(悩むのは、帰る手段が出来てからかな…)


 今は、目の前の事に集中しようと決意しながらアルバの毛の中で少し眠るのだった


・・・

・・・・・・


「…ん…?」

 少し寝苦しさを感じ、ゆっくりと目を開ける

「………」

 目を閉じる

 うん、寝たフリしてたほうがいいわ

『フンフンフン…ハァ…ユウト…』

 …なんか発情したっぽい狼が俺の体をすごい勢いで嗅いでるんですけど
怖いんですけど

『ハァハァ…フンフン…』


 …犯罪臭半端ないわ
どうしたらいいの?教えてグー○ル先生!
ってそんな事やってる場合ちゃうわ!
このままじゃピーな事になってピーになっちまうわ!
それだけは阻止せねば!

 方法?簡単さ!こっちには魔法があるのだよ!!
闇系統の魔法に睡眠があったはず…賢者先生!やっちゃってください!

《対象に対して力を行使出来ません》

 なん…だと…?
まさか契約した相手に対してはスキルを使えないのか!?そんなの理不尽だ!
そんな事よりどうにかしなければ…公共の電波で放送出来ない事態になるかもしれん

「…ッひう!?」

ペロペロ…

「うひゃひゃッ!」


ペロペロペロペロ…


 おいコラァ!!体を舐めるんじゃ…!ってワキを舐めるな汚い!!やめい!!あっ…胸は…って胸も舐めるな!!!やばい雰囲気になるやろが!!
もうこうなったらヤケじゃ!


「変態撃退パーンチッッ!!!」


『ぐぶッ…!!?』


 渾身のストレートがアルバの顔に直撃
変態はここに沈黙した


「ふっ…」


 そんなアルバを見つめながら、何も無かったように立ち上がり拳に息を吹きかけキメ顔する


 森の中に不思議な光景が生まれた瞬間だった


・・・


『すまない…ユウト…』


 右ストレートのおかげか、正気に戻ったアルバはしょんぼりとした様子で謝ってきた
耳が垂れ悲しげな目をしたアルバは飼い主に怒られた大型犬のようだ

『だが、俺は活躍したと思う』

「ん?」

 悲しげな表情で俺を見るアルバ
クイーンビーの巣の話かな?

『だからもう少しご褒美があってもいいんじゃない…か?』

「…う」

 それはそうだ
今回アルバにはたくさん活躍してもらったと思う
でもその活躍を直接見てなかったから雑な扱いになってしまった
だからご褒美というか、何かプレゼントでもあげようかな…

「わかった、今回たくさん活躍した…と思われるアルバにご褒美をあげたいんだけど、何がいいの?」

 正直、魔物が欲しいものってなんだろ?食べ物とかかな

 俺の言葉を聞いたアルバは悲しい顔から一転して、輝くような顔で言った

『それはもちろんユウトとの交尾にきまっ』

「変態撃退パーンチッッ!!!」



・・・


 森から出た俺はゴーレム部隊達の確認をしながら学院へと戻る

 すると学院の門の前に誰かが立っているのが見えた
よく見るとウィアベルさんだとわかる
誰かを待っているのかな…と思いながら近付くとウィアベルさんの目線がこちらにある事に気付いた
あれ?

「ユウト君、待っておったぞい」

 なんとウィアベルさんが待っていたのが俺だったとは
なにかあったのかな

「実はの…」

 ウィアベルさんと並んで学院の寮に戻りながら話を聞く




「え?城に招待?」


 ウィアベルさんから聞かされたのは、このハビリオンの城…つまりアスキルの家に招待というものだった

「ポイズンビーの巣を発見し、ダンジョン化を防いだ事が理由じゃな」

「そう…なんですね」


 あの時は、巣を何とかしようという思いでいっぱいだったから凄いことをしたという感覚は無いけど、ダンジョンになっていたら結構大変な事になっていたんだろうな
だからこその表彰式的なものをするのかな?それとも招待だから話を聞くだけなのかね?

「あの…礼儀とかわからないです…けど」

「ホッホッホッ…今回は公式のものではないからの、そう緊張しなくても良いじょ」

 ウィアベルさんがそう言って安心させてくれるが、やはり緊張してしまう
相手はアスキルじゃなくて王様でしょ?いや…ここは魔導帝国だから皇帝なのかな?
ひぇ…ちょっと…というか、だいぶ怖い…

 あれ?でも城ってことは…

 パッと頭に過った事、それはこの異世界に来てからのカイルさんの言葉だった


 “女と言う分類にわけられる人間はいるがとても少なくて産まれたとしてもすぐに国などに保護されてしまうんだよ”

 …つまり、あの城には女の子がいる…!!

「行きましょう…!」

「ぬ…?急に元気になったのぉ…」

「いつなんでしょう!今日ですか!?」

「コレ慌てるでない、明日の朝に学院の門に迎えが来るのでな落ち着くのじゃ」

 よっしゃぁ!!明日には女の子と会えるのか!!来ましたよ来ましたよ!ふぅー!!

 異世界に飛ばされてからずっと男しか見てなかった…だが、むさ苦しい世界に一筋の光が舞い降りたのだ!
イエーイ!!

 あああ!今からドキドキしてきたぞ!!


「むふふ…むふっぐふ…」


「本当にどうしたんじゃ一体…」


 俺の顔を見ながらウィアベルさんがちょっと引いていたのには気付かなかった




 目指せハーレム!!!





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