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第3章 魔導帝国ハビリオン編

これぞ囮作戦だ!

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アスキル達はアントやポイズンビーがいて進めないようだ…森の中の比較的大きな木の影からポイズンビー達を見ていた

俺はポイズンビー達にバレないようにアスキル達の近くまで行ってからゆっくりと地面から出る

「…!…なんだユウトか…驚くだろ」

…いやいや!ゆっくり出てきたじゃん!!驚かせないようにだよ!?今度から本当に驚かすぞ!?

「やっぱりこの近くに巣があるのか?どうだった?」

アスキルは周りに聞こえないように小声で聞いてくる…俺はポイズンビーの巣のダンジョン化の事を説明した


「…ダンジョン化なんて…難易度が跳ね上がるぞ…Aランク…いやそれ以上か…?…」

説明が終わるとアスキルは真剣な顔で独り言を言いながらウロウロし始めた
そしてサラマンダー!足にくっつくな!重いんじゃあ!!

・・・

サラマンダーを足から引っペがしてアスキルと作戦を考える

内容は一つ

ハティオさん達を待つ事だ!

……



「え!?行かないの!?…むぐっ!」

「おい!バカ!静かにしろ!」

ちょっと声を大きめに出してしまいアスキルに手で口を塞がれてしまった…すまんな…驚いてしまったよ…

「助けに行ってどうする?内部がどうなっているのかもわからないしダンジョン化し始めてるならポイズンビーやアント以外の魔物もいるかもしれない…何もわからない状態で俺達が突っ込むのは危険すぎる!わかるだろ!?」

「フゴフゴ…!…ぷはっ!死ぬわ!」

必死に頷いて口を解放してもらう…もう少しで窒息するところだったわ!窒息耐性ってないの!?

「でも冒険者達を救うには一刻も早く行動しないと…」

「そんなのわかってる…!…援軍はまだ来ないだろうし…」

ポイズンビー達の討伐を含めないで冒険者達を救うという事だけなら何か出来るかもしれない…
いや…救ったとしても冒険者達を守りながら巣を抜け出せるのか?…少なくとも冒険者は5人…あ…無理やね…俺には出来そうもないわ…

俺達がそう考えながら頭を捻っていると…

『ユウト!!』

「どぅべらっ!」

「な!なんだユウト!いきなり!」

急に頭に声が響いてきて思わず変な声が出てしまった…いきなりビックリするでしょうが!誰だ!

…って…その声は…

『アルバ!?』

『ああそうだぞ!』

…やべ…存在を完全に忘れてたぜ…すまん

『ユウトよ隣にいるのは誰だ?』

『え?アスキルの事?』


ん?あれ?…なんで隣にアスキルがいるってわかるの?

俺はキョロキョロと周りを見回すがわからない…でも確実にアルバはこっちを見ているってことだ…尾行されてた!ひぃぃ!ストーカーじゃん!

そう思っているとアルバは続けて話し出す

『ソイツは俺のユウトに変な感情を持っている!食い殺してやる!!』

そのアルバの言葉に俺は慌てる

『ちょっ!アスキルはこの国の皇子なんだって!殺しちゃダメに決まってるでしょ!!というか変な感情って何さ!!』

『ユウトの事を変な目で見てる!!ユウトが可愛いからだ!』

『可愛い言うな!!!』

男子高校生に可愛いなんておかしいだろ!このニートストーカー狼!!しかもアスキルが変な目で見てるって?文章的には好意を持ってるって意味なのかもしれないけど…絶対そんな事ない…いつものアスキルを見てればわかるよ…ええ

というかちょうど良くね?アルバに暴れてもらってその隙に冒険者達を救出…行けるか…?時間が無いしやってるみるか!

『話は変わるけど助けて欲しいんだけど』

『なんだ!?なんでもいいぞ!俺に出来ることならなんでも!』

アルバのお言葉に甘えまして俺が考えた作戦を説明する…まぁ作戦っていってもアルバが暴れて気を引いている内に冒険者を助け出してトンズラするというものなんだけどね

そんな説明をアルバにしていると肩を揺すられる…そっちを向くとアスキルが少し怒っていた…なにさ

「いきなり変な声出したと思ったらなに黙ってんだよ!何なんだ!?」

あ…そういえばアルバとの会話って周りに聞こえないからアスキルからすると俺が急に叫んでからボーッとしてるという不思議な光景に見えたんだろう…無視してたわけじゃないんだよ?

一応謝ってから俺が考えた作戦をアスキルにも伝える…ただしアルバの事は濁しながらだけど…

アスキルとサラマンダーにはここでアルバと同じように気を引いてもらいたい…大変かもしれないけどアルバがほとんどを引き付けてくれるしサラマンダーもいるから大丈夫だろう…きっと

「ユウト……本当に大丈夫か?一人でなんて…その…別に…心配してるわけじゃねぇけど…!」

少し顔を赤くしながらそう言ってくるアスキル…
心配してくれてるのはわかるけど普通顔は赤くならないよね?アスキルの七不思議か…いやまぁ別に不思議が七つあるわけじゃないけども…

「大丈夫!行こう!作戦開始だ!」

「仕方ないな…やってやるか」

アスキルは渋々ながら作戦に同意してくれたので作戦を実行する…
そもそも皇子をこんな所に引っ張って来て大丈夫なのか?と思うがもう手遅れだろう…まぁサラマンダーとアルバもいるし万が一…なんてのは無いだろうと信じたい

先に作戦に同意してくれたアルバは既に巣の近くまで来ているらしい…アスキル達に見えないように少し離れているけどね

俺はまず足にくっついたサラマンダーを引き剥がして【影落ち】で再び地面に潜りそのまま巣の近くまで行き…そして近くにポイズンビー達がいない場所を探してそこの地面から様子を伺う…

『ユウト!準備はいいぞ!』

アルバから合図が来たので地面から出てすぐに隠密と消音を使って出来るだけ気配を小さくする…副作用?今は気にしない!
そして更に

「【思考誘導】」

この暗黒魔法は暗示のようなもので効果は【俺がいることを疑問に思わなくなる】というものだ…本当は光魔法とかで姿を消すっていうのも考えたけどこっちの方が何かあった時に便利だと判断したからだ…でも本当にこれ効いてるのかね…ちょっと怖い

まぁいいやこれで準備は完了したのでアルバに伝える

『いいよ!アルバ突撃!』

「グオォォォォン!!!」

そういった途端森に雄叫びが響き渡る…一瞬ビクッとなったが叫んだのはアルバだったので一安心…まぁさすがに白狼と呼ばれる魔物だけはあるね…迫力があるぜ

その雄叫びでポイズンビーとアント達は攻撃態勢に入りアルバがいるだろう方向へ向かっていき…そして意識外から放たれた火によって数匹のポイズンビーが地に落ちた…サラマンダーの攻撃らしい…アイツ足にくっつくだけじゃなかったのか…

「ギャギャギャ!!」

ポイズンビーとアント達は突然の攻撃に驚くがすぐに復帰しアスキル達とアルバに向かっていく

…そんな中

(抜き足差し足忍び足…っと)


コソコソとポイズンビー達の巣に向かう影が一つ…それは俺だ

なんかアスキル達に凄い負担をかけてるような気がしなくもないが俺だって重要だし!?地味だけど重要だし!?重要だから二回も言ってるし!?
…うんなんかごめんなさい


巣の入り口は山の斜面にあるが別に中腹辺りにある訳ではなくアント達も入れるように山のふもとに作られている…ポイズンビーも入るから縦長ではあるけど

つまり登らずとも巣の中には入れるのだ…だがしかし

(うーん…ぶつかりそう…)

巣を守ろうとアントやらポイズンビーやらがめっちゃたくさん出入り口から出てきてるので下手すると入る前に潰されてしまう…だが早く入らないと冒険者達が危ない

進化した身体機能強化をフルに使い壁伝いにカニ歩きで移動する…

なんかどっかのお笑い芸人の動きに似てしまったが俺以外に知る者はいないので気にしない

そしてアント達にぶつからないように進むこと数分…ついに俺は巣の中に侵入したのだ!









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