日和見症候群

宮翠(Miya_Midori)

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河合鈴鹿の事情

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生徒会を辞めた次の日、流石に部活も委員会も何もやらないのは如何かと考えていた。
それなりにラクそうで、なにかやってる感じのする委員会は無いかな、なんて考えながら、図書室で過ごしていた。

『ねえねえ、河合かわいさん。生徒会抜けたんだって?実は図書委員会の人が足りてなくてさ。本当は、部活に行きたいけれど、図書委員の仕事も抜けられなくて…。良かったら図書委員会に入ってくれないかな?』

1年生の時のクラスメイトから突然話しかけられてびっくりしたけれど、丁度何かないかと探していた私にはぴったりだった。


早速次の日から、図書委員の仕事に取り組むことになった。
図書委員の仕事は主に貸し出しの受付、返却された図書を本棚に戻す作業、あとは掃除くらいだった。
全部1人で担当するらしいが、まだ委員になったばかりなので、しばらくは他の委員とペアになって仕事を覚える事になった。

放課後、急いで図書室に向かうと既にペアの子は来ていた。

「初めまして、河合鈴鹿かわいすずかさん、かな?」

あ……イケメンだ。中性的な顔つきで、髪が長かったら、女の子にも見えるかもしれない。間違いなく私よりか、綺麗だ。

「僕は、糸瀬和人いとせよりひとです。今日からしばらくよろしくね。クラスは2-Dだよ。たしか河合さんは2-Bだよね。」

「は、はいィ……よろしくお願いします。」

糸瀬くんはクスッと笑うと、手招きをして、私は受付へと誘導された。
委員の仕事について一通り説明を受け、本日は受付の仕事を一人でやってみる事とした。

「河合さんは覚え良さそうだし、一人でできちゃうよね?僕は返却された本を戻してるから、困ったことがあったら呼んでね。」

仕事中は、本を戻す糸瀬くんの横顔をチラチラ見ながら過ごした。
本当に綺麗な顔。
ここまでのイケメンなら1年生の時点で彼を知らない事なんて無さそうなのに、先輩に夢中になっていたせいだろうか?
その日は特に話すこともなく、いつのまにやら帰宅時間になってしまった。

「お疲れ様、今日はありがとう。受付は問題なく出来そうだし、明日は返却された本を一緒に戻してみようかな。じゃあ、また明日」

彼の髪型は、前下がりのマッシュヘアーだ。動くと髪で目元が隠れたり見えたりとミステリアスな雰囲気を醸し出している。中性的な顔つきもあって、儚さを感じる美少年。

明日もこの顔を拝めるのか。眼福。
そして翌日、私と糸瀬くんが急接近するハプニングが起こったのだ。
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