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35.物語

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さて、歯を磨いたら寝ますよ!
浴槽の縁にまた虫除けを下げる。
金魚……、ブリは、この虫除け何ともない模様です。

腕の中に当然の様にすぽっと収まるフロルさんと湯船で寝ます。
「昼間のベッド、出しても良いのよ?」
 そう言うと、腕の中でイヤイヤをされました。
あんなに楽しそうに跳ねまわってたのに……。
そして、くすぐったいです。

物語のお母さんは、小さな子に寝る前に、子守唄を歌ったり
物語の読み聞かせをしたりして情操教育をすると聞いた事があります。

覚えている限りで、私にそんな記憶はありませんが。

取りあえず、歌は自信ないのでお話とかどうでしょう?
「昔話する?」
 そう聞いたら、期待に満ちた目で見られました。
と言っても、そんな詳しくは無いので、うろ覚えの定番の話です。

「ある時、赤ずきんちゃんと言われる可愛い女の子が両親のお使いで森のおばあさんの所に行きました。」
 この話いつも思うけど、危ない森に可愛い女の子一人で出かけるっておかしいよね。

「赤ずきんちゃんは女子力(物理)の高い子だったので、一人でも平気です。」
 という、事にしておこう。

「おばあさんの所に行くと、おばあさんはベッドにいました。」
 おばあさん、なんで森の中に一人で住んでたんだろう……。

「一人暮らしのおばあさんは、その方面では有名なきこりだったので、
 こんな時間に寝てるのを、不思議に思った赤ずきんちゃんはおばあちゃんを観察します。」
 おおっ、フロルさん、真剣に聞いてます。
ここで、あの有名な問答です。

「おばあさんのおめめはどうしてそんなに大きいの?」
 ちょっと可愛い声のつもり。

「お前の顔を良く見る為だよ。」
 おばあさんぽい声にしようとしたけど、ただの変な声になってしまった……。
それでも真剣に聞いて居るフロルの為に続けます。

「おばあさんのお耳はどうしてそんなに大きいの?」
 ここで気が付いてしまいました。

「お前の声を良く聞く為だよ。」
 私には、フロルと同じ犬科の生き物(?)を完全な悪者にする事はできません。

「おばあさんのお口はどうしてそんなに大きいの?」
 そんなあせる私の気持ちを無視して物語は進みます。
他ならぬ私によって。

「お前を食べる為だあーーーー。ついに本性を現した狼が赤ずきんに飛びかかります。」
 させるか!

「その時、赤ずきんは被っていた頭巾を脱ぎ、オオカミの口に被せて言いました。
 「まずは、交換日記から始めましょう」可愛い女の子は受け流しも一流でした。」
 ……赤ずきん、ナイスディフェンス!

いや、以前から気になってたのよ、赤ずきんと言うタイトルになる程のアイデンティティが
ビジュアル的な要素を除いて、作中で機能していない事が。

ほっとしながら、フロルを見ると、え?終り?みたいな顔をしてます。
「続きはフロルの夢の中で……。」
 もう寝て!お願い。
すると、わかったという様に頷いて目を閉じました。
……駄目な保護者でごめんよう……。

「なにその終わり方ー!おかしいでしょう!!」
 騒ぐ魚類は無視して寝ますね。
っていうか、聞いてたのかよ!
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