異世界に来た私のチートは、秩序ある混沌でした。

29．写真

カットしたプルプルの実を、上手にフォークで食べるフロルの可愛さを写真に収めていると、
カシャッと言うシャッター音に気付かれてしまいました。

寝ている間は気付かれなかったのに……。
盗撮か！

盗撮した画像は、只今待ち受けになっています。
ストーカーか！

さて、切れの無いセルフ突っ込みを2回繰り返した所で、横に来たフロルさんに手元を覗きこまれました。
待ち受けを見せて説明すると、驚いた顔をした後、嬉しそうでした。
良かった、何でも許してくれる子で。
将来が心配だけど。

「ところで、フロルは何歳なの？」
　あまり辛い事は思い出させたくありませんが、フロルの事を、性別以外、何も知りません。

「わかんない。」
　フロルも知りませんでした。
まあそんなものですかな？
名前も私が付けたくらいですし。

写真を撮った時、こっそり、ゴクちゃんに聞こうかなって思ったんですけど、
本人の知らない所で、履歴書、身上書？もしくは健康診断書的なパーソナルデータ見てしまって、
実は赤ちゃんの頃誘拐された、どこかの国の王子でしたとか知ってしまい、シリアスな流れに……とか、
妄想しているうちに、起きてしまったんですよね。
えー、だってこれだけ可愛いのだから、王子様とかでも全然おかしく無いって！

あ、でも健康診断だけならいいかも。
フロルの果物食べてる可愛い写真を出して、
「ゴクちゃん、フロルの健康診断お願いします。」

『どう見ても健康です。おめでとうございます。』
　即答されました。
解りきってたと言われればそれまでですが、昨日の状態から考えると、本当に尊とうといい事です。

そして、気がつくと、フロルにスマホのカメラを向けられてました。
可愛くない私を撮りますか……。
嫌とはいえませんよね、自分は好き勝手撮っておいて。

カシャカシャ音がしてます。
本日、カメラマンデビューのフロルさんに、被写体に選ばれた私は、彼が飽き……満足するまで、
プルプルの実（二個持つと結構重い。）を持たされたりしつつ、沢山写真を撮られてしまいました。
あ、待ち受けにするそうです。
カップルか！